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事例取材の「時間」も、カスタマーサクセスの一部

(こちらは、cmkt Advent Calendar2020、9日目の記事です。)

こんにちは、SmartHRのyukisanです。

カスタマーマーケティングの中で必ず取り上げられる「事例」。カスタマーマーケティングの目的は、「カスタマーサクセス」であり、スケールする手段として「事例」があるとされていますが、事例を取材する時間そのものも「カスタマーサクセス」の一環だな、と思ったので、書いてみることにしました。

私自身は、2020年9月にSmartHRに入社してはや3ヶ月が経ちました。早い。入社後はまずはひたすら導入事例取材の予定を入れ、約2ヶ月間で行った取材数は11件、公開された記事数は4件。とにかくSmartHRの事例にはどんなものがあるのか、お客様の課題は何なのかを理解するために走ってきた3ヶ月でした。

その中で、前職の経験も含めて改めて思うのが、「事例取材の時間そのもの」も、カスタマーサクセスの一部であるということです。(これはむしろ前職で一緒だったCSMの方から教わったことでもあります。)

※2019年に開催された、「カスタマーマーケティングmeetup vol.3」でLTさせていただいたときも、「「CSとマーケで一緒に事例記事を作ったらみんなハッピーになった話」と題してLTさせていただきました。

「事例取材の時間」が、なぜカスタマーサクセスの一部なのか

「事例の取材」と聞くと、「マーケティング担当からプロダクトの評価を客観的にヒアリングされる時間」という印象がありますが、それだけでなく、「サービスを導入してどうなったのか」「これからどうしていきたいのか」「顧客自身の今の想いはどうなのか」を改めて振り返る時間にしたいと思っています。

仕事をする以上、みなさんミッションがあり、目標があります。その目標とのギャップを埋めるために日々の行動があるので、何か成し遂げたいことのためにサービスを活用しているはずです。

CSMとのMTGの時間では、そういった振り返りを、担当の方の想いを聞きながらじっくりヒアリングするのは少し難しく、どうしても機能面やプロダクト活用の文脈で「これからどうしたいか」という話になりがちです。

事例取材という場は、顧客の想いを語ってもらい、その想いを互いに共有し、決意を新たにする。顧客自身も改めて「こういうチームにしたい」「こんな会社にしたい」という想いを振り返り、明日からの行動につなげる時間にしたいと思っています。これも、顧客の成し遂げたい姿に近づくための、カスタマーサクセスの一部なのではないかと感じています。

「取材」という手間暇が、想像以上のアウトプットを生み出す

別に取材じゃなく、電話のヒアリングやメールやアンケート回答でも良いのでは?と思うかもしれません。実際にアンケートを元に事例コンテンツを作ったこともありますので、作りたいものによって手段を変えて良いと思います。
取材がおすすめな理由は、自分が想像する以上のアウトプットが出ることが多いことです。

例えば、自分自身がスポーツクラブの会員だとして、「スポーツクラブのサイトに掲載したいので、お客様の声をアンケートで回答してください」という依頼があったとします。
アンケートフォームでテキストで回答する場合と、対面でインタビューされながら回答する場合では、出てくる情報量が圧倒的に異なります。

インタビューで回答する場合は、「テレワークで運動していなかったから、昨年買ったばかりのブーツが入らなくて。体重はそんなに増えてないと思ってたんですけど、足が太くなってやばいんですよ。今年の冬どうしたらいんですかね?って思って。お金貯めて思い切って購入した結構いいブーツだったんですよね(笑)」みたいな話ができますが、アンケートフォームに入力する形だと、「痩せたかったから入会した」と書くだけになると思います。

顧客の課題やなりたい姿を具体的に引き出し、顧客本人も改めてそれを認識し、場合によっては「私頑張ったな〜」と、自己肯定感も向上する。そんな時間にできるのは取材の形をとる方だと思います。(さらに、サービスにもいい印象をもってもらえたらなお嬉しい。)

ですので、自社のサービスに好意的な印象を持ってくださっている方には、業種や従業員規模などのカテゴリにとらわれずお話を聞き、そんな時間を共にしたいと思っています。

取材の時間からだからこそ生まれる「ドラマ」がある

これまでお客様に事例取材を重ねる中で、「お客様にとっても良い時間になったのかな」と思う瞬間がありました。いくつかその瞬間を紹介します。

・「これからはこういうことがやりたいんだよね」と、上司からメンバーにビジョンを伝える
・「○○さんのおかげで私はXXな仕事ができているんですよね」と、メンバーに対して感謝を伝える
・「あの時のあれは大変だったよね」「でも乗り越えられてよかったよね」と、お互いをたたえあう

普段業務上で称賛される場が少ない職種の方だと、なおさらこのような会話が出ることが嬉しくてたまに泣きそうになります。
さらに、自社にとって良かったと思うできごともあります。

・自社で企画したユーザー会への出席率が上がる
・イベントやセミナーへの登壇を快諾していただける
・「○○プランにしてXXがやりたいよね」「え、そんなことができるなら詳細聞きたいな」と、商談の機会を見いだせる
・「○○を行いたいので、ぜひXXの機能開発をお願いしたい!」と機能の要望をその背景から自然にヒアリングできる
・新しい顧客を紹介してくれる

これらは無理やりやろうとするとうまくいきません。顧客との接点をこちらの都合で設けようとすればするほど、顧客は離れていきます。
事例取材に協力いただいた方は、上記のようにとても協力的であることが多く、改めて、取材は双方にとって良い時間なのではと感じています。

※涙腺が弱い

事例取材担当者には、まさに「心はCS、体はマーケ」が求められる

以前#cmkt主催の長橋さんお話されていた、カスタマーマーケティング実践に求められるスキルセットの例えに、「心はCS、体はマーケ」という言葉があります。

事例取材は、打診〜記事公開まではカスタマーサクセス視点でホスピタリティを大事に、1対1で顧客との貴重な接点を大事にしながら進める必要があります。記事公開後は1対nにスケールできるよう、マーケティング的な観点で活用していくことが求められます。

私が所属している、SmartHRのサーキュレーションマーケティングユニットでは、お客様がお客様を呼びたくなる仕組みづくりをミッションとしています。(詳しくは来週公開予定の@fujijunさんの記事をお待ちください!)
どんなことをすれば事業貢献につながるか模索中で、難しく、答えのない役割です。

そんなカスタマー“サクセス”マーケティングが実践できるよう、これからもお客様のお話を聞いていきたいなと思っています。