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方向音痴のわたしに道を聞かないで

わたしは方向音痴らしい。

「こっちかな?」と思って歩いた道は、高確率で間違えてしまう。ほぼ真っすぐの道順なのに、なぜか脱線している。先輩と駅5分以内のお店に行くために、同じ場所をグルグル回ってしまい、先輩に呆れられた過去もある。空間把握能力が全然だめ。もしGoogle Mapが存在しなければ、私はどうなっていたんだろう。就活の面接には間に合わず、クライアントの打合せに出席できず、ネットで話題のお店には一生行けず、招待された結婚式に参列できない。現代文明がなければ、わたしは多分生きていけない。

そんな方向感覚皆無のわたしに、道を尋ねてくる人がいる。

「すみません、レストラン〇〇〇〇ってどこにありますか?」

つい数日前、マンションの前で上品な中年ご夫婦から声をかけられた。近所には、とある歌に登場するレストランがある。マンションに住むまで知らなかったけど、物件概要でスーパーや学校とともに、そのレストランまでの距離が書かれるほど有名だ。なので、私も引っ越してきてから1度食べに行ったし、何度も目の前を通り過ぎてきた。普通の人間なら、当然道案内ができるはずだ。

ところが、わたしは方向音痴だった。

「えーと、、、(キョロキョロ)、、、あっちに進んで右ですぅ……」

在住歴1年超のアラサーとは思えない、つたない案内だ。本来なら「この道を真っすぐ進んで、右の方に進んで信号を渡ったらあります」くらい言えなきゃいけない。子どもでも、もう少しちゃんと教えるんじゃなかろうか。ご夫婦は「ありがとうございます」と言ってくれたけど、わたしは恥ずかしさと情けなさで落ち込んだ。(幸い、わたしが示した方向は一応合っていたけど。。)

ふと、コロナ前の思い出がよみがえる。今より外国人が多かった街中で、何度か英語で道を聞かれてしまった。受験勉強を一生懸命していたので、外国人の質問はどうにか理解できた(最寄り駅への行き方を聞かれた)。でも言葉が全く出てこない。中1で習う”straight"や"right"といった単語さえ吹き飛んだ。私は一言も発さず、「真っすぐ進んで左へ行く」を指差しだけで伝えたのだった。。

当時は「自分の英語力がないから、ちゃんと話せなかった……」と落ち込んでいた。英会話レッスンに行ってみたり、英単語帳を買ったりした。でも今思えば、英語力の問題ではない。方向音痴だから。日本語ですらまともに案内できていないのだから、英語で案内できるはずもないのだ。。

もう私が道案内をしなくてもいいように、全人類がGoogle Mapに頼る世界になってほしい。

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