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脚本で使われているセリフのテクニック紹介

最近はバカリズムさんが脚本を書いた「素敵な選TAXI」を見たいわさきゆうきです。今回は僕が勉強したセリフを書く上でのテクニックについてシェアしようと思います。

「誤解」を使って説明セリフを消化する

 説明セリフというのは視聴者にとってものすごく負担をかけます。いわゆる大学の講義をずっと聞くくらいの負担と考えてもらって大丈夫です。皆さんも映画を見ていて登場人物がず~っと何かの説明(過去のこと・これからの計画など)をしていたら眠くなったりしたことはありませんか?説明セリフというのはそのように視聴者を退屈させる危険性をはらんでいるんです。それを少し緩和できるのが「誤解」です。登場人物が何かの情報を得ようとして質問をしますが、それとは違う回答が返ってくる。それに対して「いやいや、違います」といってさらに質問をなげかける。このやりとりがあるだけで「一方的に説明」というものを隠すことができます。それに加えて誤解をした方が伝える情報が後の伏線とかになっているといいですね。
 下に僕が見た「素敵な選TAXI」での実際のやりとりでそのテクニックが使われている部分を抜粋しました。「誤解」のテクニックを使ったバージョンと使わないバージョンと用意したのでぜひご覧ください。

「誤解」がない場合
○喫茶店・フロア(昼)
あきが話し込んでいるバイトと店長に割って入る。
あき「店長」
店長「何?」
あき「オススメってなんですか?」
店長「オススメ?なんの?」
あき「メニューのおすすめです」
店長「全部オススメだよ」
これでも成立しているのですが、どこか尋問っぽく聞こえますよね。
そして、下が実際のドラマのセリフを僕が書き起こしたものです。

「誤解」がある場合
○喫茶店・フロア(昼)
あきが話し込んでいるバイトと店長に割って入る。
あき「店長」
店長「そんな人気あるの?」
バイト「店長、知らないんですか?」
店長「知らない」
あき「店長」
店長「あきちゃん、知ってた?」
あき「何がですか?」
店長「このドラマ」
店長が雑誌を指さす。
あき「あ~、はいはい」
店長「あ、みんな見てんだね」
あき「それより店長。オススメってなんですか?」
店長「俺的にはこの『デリカシーなき戦い』」
バイト「なになに?」
あき「ドラマじゃなくて」
店長「え?」
あき「メニューのおすすめです」
店長「ああ、全部オススメだよ」
*僕が台本に書き起こしたバージョンもPDFで貼り付けておきます。

 ただ、一つ言っておきたいのは「説明セリフが全てダメ」というわけではありません。例えば、バックトゥザフューチャーでデロリアンがタイムマシンであることの説明は必要ですし、ターミネーターでスカイネットが未来から殺人マシーンを送り込んで来ているということも視聴者が物語を理解する上で必要な知識です。適尺を守って視聴者を退屈させないための工夫としてこの「誤解」を使ってみてください。

参考にした動画
本記事で書いたことは以下の動画から学びました!(英語です)
洋画だとアーロンソーキンスのソーシャルネットワークなどでこの技法が多く使われているのでそちらを見てもいいかもしれません

ハリウッド映画から学んだ脚本術をパワポのスライドに書いて教科書を作ってます!こちらもぜひ見てください!


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