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「予想外」を愛すること

きっかけは
「ロフト付きの部屋に住んでみたい!」
だった。

10年以上前、実家の家探しの際にも
「ロフトのあるおうちがいい!秘密基地みたい!!」
と幼いながらに主張していたのを思い出す。
(その後の生活を考え敢え無く却下されたのだが)

年を重ねたとて、そこまで大きく希望が変わるわけではない。
3年前転居が必要になった際に
「都内で…家賃はこのくらいがよくて…」
とロフト付きの部屋をSUUMOアプリを検索したところ、ヒットしたのが

1件だった。

そう、たったの1件である。見間違いではない。

もともとロフト付きの物件は少ない上、入力した条件的にも絞られたのだろう。
「運命的!!!!この部屋が良い!!」と即問い合わせをし、内見に向かった。

だが実際に見てみるとその物件は共用部分も含めかなり窮屈な造りで、
「この敷地面積でこの造り、加えてこの価格設定はかなり強気な感じがしますね…」
と、同行してくれた仲介業者も首をかしげていた。
いくら夢のロフト付きと言えど…な内観であったため、そこに住むことを断念した。


その後、当てが外れてしまい「どうしよう…」となっていたところ
「せっかくなのでこの辺りの空いている物件をいくつか見て回ってみますか?」
と提案をもらい、ロフト付きではないが住み心地のよさそうな近場の物件をいくつか紹介してもらった。

引っ越しはしなくてはならなかったので、
その中で最も駅に近く、夜も安心して歩けそうなところで手を打った。

現在の家に住み始めた経緯である。


あれから3年。

夢のロフト付き物件ではなく、どこにでもありそうなシンプルな1Kの部屋。
廊下に備え付けのキッチンは狭く、まな板を置くことすらままならなかった。
あるものと思い確認していなかったため引っ越してから気づいたが、風呂場に追い炊き機能はなかった。
内見時に「映らないですね…これはおもちゃ(飾り)かもしれないです!」と言われたインターホンのモニターは、ちゃんと機能した。
想像より壁が薄く、近隣の部屋で飼われている動物の鳴き声がよく聞こえた。

生活の中に「予想外」はたくさんあった。

されど
「都内 ロフト付き物件」
という条件だけで探し、暮らし始めたこの家・この街が
私は大好きになった。

元々この街に住みたい、という憧れがあったわけでも、
よく遊びに来ていた馴染みの街だったわけでもない。

それでも、ここで過ごした時間は愛おしいものだった。



今回、2人暮らし用の物件へと引っ越しをすることになった。
お互いの希望条件のすり合わせが必要になり、
単身用と比べると2人以上同居可物件には数にも限りがあり、
近場だけに絞って探してもなかなか見つからない。

されどこの街での暮らしを手放すのは惜しく、
検討エリアを広げるのも憚られる。

「3年前に越してきた際には身一つでどこへでもいけたのに、
この数年で大事なものを抱えすぎてしまった…」と悩みつつも、

「都内 ロフト付き物件」だけで飛び込んだこの街・暮らしが大切なものになったように、
本当に譲ることのできない条件なんて、きっと実際はほとんど存在しないのだろう。

少々目の肥えてしまった今の自分に
「本当に必要なものはどれ!!」と問いつつ、
希望条件を「なくても困らない」「あったら嬉しい」「絶対に必要」
に振り分ける作業を進めようと思う。

私と比べて希望が少なく
「ここでもいいし、ここでもいいよ~」と寛容な恋人の、
「だけど侑希が乗り気じゃないのならもう少し探してみよう」
に感謝しつつ。

人生4度目の引っ越し、良いものになりますように。




最後までお読みいただき、ありがとうございました🧸


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