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秋の空時計 #毎週ショートショートnote

ムカムカする胃、ガンガンする頭。
…完全に二日酔い。

僕はベッドの中から、部屋の中心にある柱を見た。

「17時か…」

柱にはブルーの時計が掛かっている。

彼女から貰った。
…いや、正しくは元カノに作ってもらった時計か。

…思い出した。
昨晩、突然に別れを告げられたんだった…。

他に好きな人が出来た。
価値観が合わない。
一緒にいる意味がわからなくなった。

って、わかりやすい理由ならよかった。

『時計の勉強のためにスイスに行く』

だってさ。

『そっか…』

しか、言えないじゃん?

だから僕は、消化不良をツマミに酒を煽った。
いつ寝たのかなんて、覚えていない。

遠距離恋愛でもいいじゃん?
…そんなわけないよな。

ぐるぐる同じことを考えては同じ結論に至る。

「あ゛ーーーっ!!」

耐えきれず、叫んでみた。

気持ち悪い…。
吐き気がする…。

…もう知らん!
こういうときは迎え酒じゃ!

僕は一度部屋を出て、タンブラーに氷を詰め込んで部屋に戻った。

…酒臭い…。

僕はクーラーを切って、部屋の窓を全開にした。
窓から流れ込んでくる風は、クーラーよりも冷たい。

…もう、終わってたんだな。

僕は、時計を柱の一番高いところに掛け直した。


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