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yukiko160830
秋の空時計 #毎週ショートショートnote
ムカムカする胃、ガンガンする頭。
…完全に二日酔い。
僕はベッドの中から、部屋の中心にある柱を見た。
「17時か…」
柱にはブルーの時計が掛かっている。
彼女から貰った。
…いや、正しくは元カノに作ってもらった時計か。
…思い出した。
昨晩、突然に別れを告げられたんだった…。
他に好きな人が出来た。
価値観が合わない。
一緒にいる意味がわからなくなった。
って、わかりやすい理由ならよかった。
『時計の勉強のためにスイスに行く』
だってさ。
『そっか…』
しか、言えないじゃん?
だから僕は、消化不良をツマミに酒を煽った。
いつ寝たのかなんて、覚えていない。
遠距離恋愛でもいいじゃん?
…そんなわけないよな。
ぐるぐる同じことを考えては同じ結論に至る。
「あ゛ーーーっ!!」
耐えきれず、叫んでみた。
気持ち悪い…。
吐き気がする…。
…もう知らん!
こういうときは迎え酒じゃ!
僕は一度部屋を出て、タンブラーに氷を詰め込んで部屋に戻った。
…酒臭い…。
僕はクーラーを切って、部屋の窓を全開にした。
窓から流れ込んでくる風は、クーラーよりも冷たい。
…もう、終わってたんだな。
僕は、時計を柱の一番高いところに掛け直した。
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