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推し活の意外な終わり方

私は子供の頃から特撮ヒーローが好きでした。
年代バレしそうですが仮面ライダーBLACK RXからずっと何かしらの作品が好きでした。

「でした」とあえて過去形。

特撮ヒーローは毎年新しい作品が作られてシリーズ化しているので、終われば寂しいし次が始まれば楽しみという無限ループのような感じでした。
かく言う私も子供の頃からずっと好きで観ていてそのまま大人になるまで楽しく見続け、沼にハマればイベントやグッズに手を出すという推し活でした。
長いシリーズなのでもちろんどうしても作風が合わなかったりしたこともあって真面目に観なかったりしたことはありましたが全く観ないことはほとんどなく、私自身もこのまま離れられないんだろうなと思っていたんです。

ところが状況が徐々に変わり始めたのが10年ほど前のことでした。
母親がパーキンソン病という難病であることがわかりました。
そのあたりはまた別記事にでもと思い割愛しますが、少なくともきっかけの一つだったと思います。
当初は薬でほとんど症状もなく生活出来ていた母親の状態が悪くなり始めたのが4年前。

その頃、ある作品の沼にハマっていた私はイベントに行けるものは全部行きました。
心の中で今後はもうイベントは自由に行けることはないだろうなと覚悟していたからです。
結果、行きたいイベントはほとんど行けて、観たいものは見られて、とても晴れやかにその作品のラストを見届ける事ができました。

その後、今から3年前に母親は骨折をきっかけに寝たきりとなり現在まで私がワンオペで介護しています。(デイや訪問看護サービスは利用してますが)

そんな中、ある作品の沼にハマりました。
母親の状態も落ち着いてるわけではなかったのですが、それなりに介護生活にも慣れが生まれていてうまく推し活に折り合いがつけられていました。
それでも行きたいイベントに全て行くわけには行かず、泣く泣く諦め、毎年行われているキャストの卒業イベントには行こうと心に決めてケアマネと相談していました。

その段階では母親の体調は芳しくなく、どうなるかわからないと思われていたのですがなんとか落ち着きました。
母親を頼んだりと色々手を打ってイベントもオーラス含めて地元の公演は全て確保でき、その作品を通じて知り合った沢山のフォロワーさん達と現地で会って語らおうと楽しみにしてました。

実際多分、ここまで無理が出来るのは最後だなと思っていたのです。

ところが、そこへ新型コロナウイルスCOVID-19がやってきました。

第一波の少し前のことです。

キャストの作品卒業イベントはもうそこで本当に最後だったのに、全国で行われるはずだったイベントは全て中止になってしまいました。

延期ではなく中止。

キャストの方々は売り出し中の若手俳優なので何度もスケジュールを押さえ直すわけには行かないのも理解していますし、会場も新たに取れるわけではないのも理解していますが、介護で疲れていた自分へのせめてものご褒美と楽しみにしていたそれが全て無くなってしまった。

最初で最後のイベントだったのに無くなってしまった事、自分が参加できないだけならまだしも映像にすらならない事。

もし、なんらかの奇跡を経て、どこかで公演できたとしてもいつもそうだった卒業公演で皆で泣きながらラストを迎えるあの時の気持ちは戻らない事。

期待しても、こんなに簡単に無くなってしまい、なおかつ二度と彼らには会えない事。

ほとんどの方には言ってなかったのですが介護疲れに加えてそのイベントを支えにしていたこともあって心は完全に折れ、実は心療内科へ通っています。

その後、新たな作品がいくつかスタートしましたが、考えるのはなんであの時より状況が悪いのにイベント出来るの?という気持ちしか湧き上がりませんでした。

そこでもう私は特撮ヒーローというジャンルから完全に身をひいたのです。

身を引こうと思ったのではなく「なんであの時より悪いのにイベント出来るの?」と思ってしまい辛くなってシャットダウンするようになった結果完全に離れたのです。
そしてあの時あんなに好きだった作品も観ると中止になった悔しさを思い出してしまいほとんど封印状態です。

その後スピンオフ映像はいくつか発表されましたが結局観ることも出来ずにいます。

こんな形でまさかあんなに好きだった特撮ヒーローの推し活を終えてしまう日が来るなんて思わなかった。
今後、二度とないとは言い切れませんがカウンセリングの状態を精一杯、客観的に見てもおそらく難しいのではないかと思います。

その後は元々好きだった二次元ジャンル(今はアイドリッシュセブンが主ですがおそらくそこにテイルズオブアライズが入りそう)に絞り推し活はのんびり継続中ではいます。

特撮ヒーローの時のように1年だけで終わりという切迫感はなく、のんびり推していけることは自分にとっても、いまの家庭環境的にも本当に心に余裕が出来てありがたいです。

もちろん今のジャンルにもいつか終わりは来るでしょうがそれでも長い年数やっていた事もあって受け入れることはできそうです。

コロナがなければ私はまた特撮ヒーロー好きになっていたのかなぁと思ったりもしますが、これもこういう時の流れなんだなぁと最近では思うようになりました。
そして願わくば、誰も悪いわけではなくどうしようも無い状況で私のような辛い思いをしてジャンルを離れる方がこの先もう出ないことを祈ります。


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