Scentlyさんの香水 : 愛刀 二王直清
香りの解釈レターが付いて大人気のScentlyさんの香水、3つ目が届きました。
初回は愛車、2つ目は愛機でお願いし、すごく良い香りで解釈に感激したので、久しぶりにまたお願いしました。
Scentlyさんの香水はODPですが、海外ブランドのようにガツンと香るのではなく、わりと穏やかなので重宝します。
今回は機械ではなく人がモデルです。
愛刀のうち最近迎えた郷土刀「二王」の作者「二王直清」です。
直清さんは幕末の長州・萩で鍛刀した人で、刀には「長州住二王直清作之」「文久三年二月日」を銘が切られています。この文久三年は高杉晋作が奇兵隊を結成した年です。
当時の年齢は分かりませんが、本名などは分かっていて、時代や環境などと一緒に人となりを想像するのも楽しいものです(推し活ですので当然、美化されます)。
時代を反映しているのか、平均的な刀より長く、厚く、重いです。樋も彫られ、長めの中心(なかご)の端には控え目釘穴があけられています。いかにも実戦的な作りです。刀が大きいので、作った直清さんも心身ともに強靭で体も大きかったかもしれません。
幕末の血気盛んな志士たちに囲まれ、熱いものを心に秘めて黙々と豪刀を鍛えたのでしょう。ただ熱いだけの人ではなく、ストイックに技術を追求したはずです。直清さんの刀は太宰府天満宮にも奉納されており、技量も高かったようです。刀鍛冶兼鉄砲鍛冶でもあり、写真で見た在銘の古式銃はすごく機能美に溢れていました。
銘切が非常に丁寧できっちりした、まるで習字の先生のような真面目な字が目を引きます。教養もあり、几帳面な性分でもあったのでは。
熱さと冷静さ、豪胆さと繊細さが共存しているような人が想像できます。
萩に招かれていた有名な刀工・源清磨とも交流があったと思います。鍛冶場でどんな会話を交わしたのか、想像するだけで楽しいです。
Scentryさんから届いたのはとてもクールで芯の強そうな紳士の香りでした。
今まで試したものの中では、ディプティックのオードミンテが一番近いと感じました。すごく好みの香りです。
TOP:Mint, Pink pepper, etc.
MIDDLE:Olibanum(別名フランキンセンス、乳香), Cardamon, etc.
LAST:Vetiver, Cedarwood, etc.
最初はハーバルでキリっとしたフゼア調メンズ寄りの香りで、徐々に柔らかくなります。
乳香のまろやかな甘さはありますがオリエンタル調にはならず、色気もほぼないと思います。最後は優しく落ち着いた香りになりました。
解釈レターのカラーには、刀の鉄の色と、三方を海に囲まれた郷土のイメージでダークブルーを入れてもらいました。
レターには「芯が強くまっすぐで、何者にも染まらない情熱的な側面を持ち合わせている人ではないか」と書かれていました。
そこから「燃える思い」という花言葉を持つカルダモンの「パワフルでスパイシーさを感じさせる芯の通った香りが、イメージに通じるものがある」と選ばれたようです。
また「教養もあり、真面目で中身は非常に熱い人」という内容から、どっしりと地に足がついたイメージの、地中深く根を張るベチバーについても特記されていました。
自分が思い描く人物像にぴったりの解釈と香りへの絶妙な紐づけに脱帽です。
レターの最後は「守ってくれる頼もしさに思いを馳せていただければ幸いです」と締めくくられていました。直清さんの解像度が上がるとともに、守り刀「二王直清」の良さを改めて感じることができました。
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