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+CLOTHET POPUPストアで感じたオムニチャネル越境ECの可能性

北参道で開催された+CLOTHETのPOPUPストアに行って来ました。普段、オンラインでしか商品を購入する事ができないブランドなので、POPUPストアはプロダクトを見て、触れる事のできるとても良い機会でした。

日本ブランドが越境ECサイトを使って海外に進出する際に、品質の良いプロダクトを販売しているのに売れない事がよくあります。

その理由は、WEBだけではそのプロダクトの魅力や作り手の想いが十分に伝わっていないからです。そんな時に役立つのがPOPUPストアです。

今回は、日本ブランドが国内で行ったPOPUPストアイベントですが、そこからいくつかオムニチャネル越境ECの可能性について気付きが得られたので、備忘録として筆を執りました。

オンライン限定でショップを展開している方や海外展開を検討されている方の参考になりましたら幸いです。

「世界中の素晴らしい生地(CLOTH)をあなたのCLOSETに届けたい」

+CLOTHETは、“世界中の素晴らしい生地(CLOTH)をあなたのクローゼット(CLOSET)に届けたい”というブランドコンセプトで、約150年、生地の企画、製造、販売に携わってきた企業が展開している新ブランドです。

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ファッションディレクターの干場氏とのコラボアイテムや生地、着心地にこだわったシャツ、スーツ等を取り揃えています。

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■Philosophy

+CLOTHET(クロスクローゼット)は、原材料の調達から生地の開発、そしてプロダクトの製造までを一貫して行うことで、お客様に最適な価格でクオリティの高い商品をお届けしたい。世界中の素晴らしい生地(CLOTH)をあなたのクローゼット(CLOSET)に届けたい。この想いを胸に、関わるすべての人たちに優しいブランドであることを目指しています。

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■ ブランド名の由来

ブランド名「+CLOTHET」には、生地(CLOTH)と交わる(CROSS)からなるクロス(+)と、生地(CLOTH)とクローゼット(CLOSET)を組み合わせた造語の(CLOTHET)という、二つの意味が込められています。

■テイラーのこだわり

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生地は勿論の事、南 祐太氏、五十嵐 徹氏、吉田 泰輔氏といった現在テーラード業界で活躍している三人のテーラーにより、モダンなシルエットと快適な着用感にこだわり作られています。

どんなに見た目が素敵な洋服でも、着心地が良くなければ袖を通す機会も自然と減ってしまうもの。それは、長年生地にこだわってきた私たちからすれば、とても残念なことです。

だからこそ、私たちが提案する洋服は、デザインや機能、価格のみならず、着心地に至るまで最適化されなければならない、と考えています。

+CLOTHET(クロスクローゼット)のパターンメイキングには、現在テーラード業界でも活躍している三人のテーラーが参画し、モダンなシルエットと快適な着用感にこだわりました。時代の風をしっかりと感じさせながらも普遍性を備え、さらに着心地が良い。そんな洋服を作り続けていきます。

今回、お店の方のお話を聞いていて、とても面白いなと思ったのが、南 祐太氏が手掛けるシャツの説明でした。

人体の構造上、肩と腕は前の方にでるようになっています。本来のシャツはそれを想定して、肩から腕にかけて身体に沿うように縫うと、とても着心地が良くなります。

しかし、そういった工夫をすると工程が増えてしまうので、一般のシャツはそういったステップを飛ばしているものが多いです。+CLOTHETシャツはそういった工程をしっかり踏んで着心地の良さを大事にしている。

肩、腕周りの縫製一つとってもそんなこだわりがあるんだと感心しました。

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こういったブランドコンセプトや作り手の想いを読んでいるだけでもワクワクしますね!詳しく知りたい方はお店のサイトをご覧ください。

POPUPストアがもたらす3つのメリット

POPUPストアは大きく分けて3つのメリットがあるなと感じました。

■ 1.ユーザーに商品を体験して貰う事ができる

ルイ・ヴィトン やSupremeのような世界的に知名度(実績)のあるものを評判価値商品、機能的特性や素材が優位性のあるものを実利価値商品としたとき、実利価値がポイントのアパレルアイテムは、WEBサイト上の説明や写真だけでは十分に価値を伝える事が困難な場合が多いです。

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百聞は一見に如かずと言いますが、どんなにテキストや動画、ARを通して商品の価値を伝えようとしても一度、生地に触れ、袖を通す体験に勝るものはありません。

私自身、このブランドの事は以前から知ってましたが、実際に袖を通したのは今回が初めてで、サイト上の説明を読んで想像していたイメージと商品に袖を通した時の印象が合致し、購入に至りました。

■ 2.ブランドの理解を深めてもらう事ができる

POPUPストアに足を運んでくれるユーザーというのは、
⑴過去に商品を購入した事のある方
⑵商品の購入を検討していたもののサイズ感や素材感が分からず購入できていなかった方
⑶ 偶然、POPUPストアを見かけて、来店してくれた方
と様々です。

それぞれのユーザーに合わせた準備をしていれば、ロイヤルカスタマー化、新規顧客の獲得が可能です。私はこのブランド事を以前から知っていたものの、ブランドのコンセプトや商品の特徴は知らない為、購入に至っていなかった⑵のユーザーでした。

しかし、服に袖を通し、商品の説明をお店の方にお聞きした事で、ブランドの理解が深まりました。またショップカードに書かれていたブランドコンセプトを見て心が動かされました。

今回、私に商品の説明をしてくださったお店の方は全身が+CLOTHETで統一されていて、ビシっと決まっていて、とてもカッコよかったです。話を聞いてみたところ、ここのアイテムを愛用しているとの事でした。

ブランドコンセプトに共感した方だからこそ、彼の説明には熱が帯びており、彼の説明を通してブランド、商品の良さが伝わり、熱量が私にまで伝播してきました。

■ 3.ユーザーの生の声を拾う事ができる

POPUPストアや実店舗を持ち、オムニチャネルで展開する事の一番のメリットはユーザーの声をダイレクトに聞く事ができる事でしょう。

海外展開をする際に海外の競合の商品を取り寄せて比較してみたり、デスクトップリサーチを通してユーザーインサイトを知ろうとしますが、最初に仮説立てたペルソナと実際に購入するユーザー像に乖離が有る事があります。

また、こちらが刺さると思っていた訴求軸が実はユーザーにとっては優先度の低かったりと実際にユーザーの声を聞いてみないと分からない事は少なくありません。

こちらが意図した訴求ポイントを店員さんのセールストークに盛り込み、A/Bテストをする事で、実際にユーザーに刺さるポイントが何なのかダイレクトに反応を得る事ができます。

BtoBマーケティングではエースセールスマンのトークスクリプトをサイトに盛り込む事でサイトの引き合いを増やす事ができると言われていますが、ECサイトも同じで、エースショップ店員のトークスクリプトをECサイト上に盛り込む事で、ユーザーの知りたい情報を盛り込んだ、より実店舗での接客に近い、ECサイト作りができます。

オムニチャネルでECを展開している企業は増えている

オムニチャネルでECを展開している企業は国内外で増えています。今回のようなPOPUPやイベントもブランド認知を広げる戦略として大きな価値があると思います。

また、越境ECに取り組む企業の中にも実店舗と連動し、顧客に価値を伝えようとする取組みを行っているところも増えています。ただ上手くオムニチャネルが機能し、ユーザーが行き来している成功事例というのはまだまだ多くありません。

オムニチャネルでECを展開している場合、来店した訪日外国人を顧客化する事もできるので、日本語のショップカードだけでなく、QRコード付きの英語のショップカードを用意しておく等、細かな配慮の積み重ねがECの売上を伸ばして行きます。

東京に旅行で訪れた方向けの現代アートFarewell my Tokyoシリーズを販売するCiaolinkも商品が置かれているTRUNK HOTELやGINZA SIX、POPUPイベントでショップカードを置いて貰い、帰国後に購入して貰えるよう工夫をされていました。

私自身、クライアントの海外展開を考えるにあたり、POPUPストアや実店舗とEC等、オムニチャネルでどのように商品の魅力や価値を伝えていくかを考えていけると、より戦略の幅が広がると感じました。


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