楽園を旅してきた。けれど、まだわたし自身にたどり着かない 〜 I’ve never been to me 〜

シャーリーンの美しい歌声と「愛はかげろうのように」という邦題で知られる、80年代のヒット曲。日本でもドラマの主題歌として日本語詞で歌われたことがあるので、美しくロマンティックな曲として、かつてはウェディング・ソングとしても人気がありました。ところが、オリジナル曲の歌詞は、実はかなり “壮絶” です。(特に、シャーリーンのバージョンは、曲中の語りもかなりジメッとして)きびしいです。ただ、このきびしさに、いまのわたしは、深く共感せずにはいられません。


ねぇあなた、人生を恨んでるのね
母親であることが不満で、夫の言いなりで
あなたは、やったことのないさまざまを夢見ているはず
でもわたしは、誰かがわたしに教えてくれればよかったのにと思うの
いまわたしがあなたに教えたいように

あゝわたしはジョージアへも行った、カリフォルニアへも行ったわ
行ける場所へなら何処へでも行ったの
伝道師の手をとって、太陽の下で愛しあったこともある
けれど、どこにいても知りあいなどつくらずにそこから逃げてきた
なぜって、自由でいたかったから

わたしは楽園を旅してきた 
けれど まだわたし自身にはたどり着かない

ねぇあなたお願い、行かないで
聞いてもらいたいの、なぜわたしがいま独りなのかということ
わたしには分かる、あなたの瞳にはわたしと同じものが棲んでいること
くたびれ果てたこころのわずかでも、分かってもらえないかしら
長い時を生きてきた、わたしのこころを

あゝわたしはニースへも行った、ギリシャの島々へも行ったわ
ヨットの上でシャンパンをすすりながらね
モンテカルロでは女優のハーロウみたいに振る舞って
手に入れたものを見せびらかしたわ
王族たちに裸にされて、女が目にするはずのないものも見てきたの

わたしは楽園を旅してきた 
けれど まだわたし自身にはたどり着かない

ときどき涙することもあるのよ、生まれてこなかった子供たちを想って
もしかしたら、わたしの人生を満たしてくれたかもしれない子供たち
でも、わたしは甘い人生を選んだの。知らなかったのよ、
甘いどころか、苦い人生になろうとはね
わたしはずっと夢中になっていたの、ちょっとした放蕩の暮らしに
自由になるための代償としては、ずいぶんと高くついたけれど        

わたしは楽園を旅してきた
けれど まだわたし自身にはたどり着かない


ランディ・クロフォード も歌っていて、彼女の歌声の力強さにあわせたアレンジによるものと思いますが、わたしはこれがなかなか好きです。シャーリーン版は有名すぎるので、ここではランディ版を、どうぞ。


よろしければサポートをお願いします。頂いたサポートは、活動費に使わせて頂きます◎