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ゆきしろ
2022年12月26日 10:59
指先に触れるとふと消えてしまふ雪のやうに、あなたも触れたら消えてしまいさうでまだ消えてほしくはないから、あなたに触れずにいるのです。
2022年12月24日 21:47
不当に愛される心苦しさ、冷めたコーヒーの口に残る苦味。どうせお互いいずれ死ぬのだから、どうかゆるしてください。愛する毎に罪を重ねている、幸福を感じる度に罪の意識は濃くなり、黒い冬は深まってゆく。キャンドルに火を灯すくらいの慰みは、どうかゆるしてください。
2022年12月22日 01:11
そのうち動きはしまいかと、昨夜まで人間だったその物体をじっと見つめた。が、その場に時間が固定されたかのように、物体は物体のまま横たわっていた。それは一瞬にも永遠にも思われた。無が、断絶が、永遠が目の前にあった。この固さと冷たさと静けさに触れるために、わたしはここへ帰ってきたのだろう。空気も時間も空間も、何もかもが冷え固まった氷のようなこの四角い部屋で、人間だったそれと語らうために。死の手
2022年12月18日 00:48
「またね」って言い合うみたいな軽いノリで、3年半交際していた恋人と別れた。きっとなにもかもわかってたのかもしれない、とっくに準備はできていたのかもしれない、お互いに気づいていながらただ言い出せずにいただけなのかもしれない。さようなら、美しい人。私を美しくしてくれた人。私の世界を見る目が美しいと言ってくれた人。今までもこれからも、私は私で、きみはきみだ。
2022年12月16日 23:15
違う歴史を背負ったわたしたちが、「今」を共有している奇跡。それは空模様のように移ろいやすく、流れ星のように一瞬だ。けれど今このときだけが、確かなぬくもりと手応えを持っている。生きている。動いている。1秒後、何が起きてもおかしくないということに、ときめく。
2022年12月11日 22:09
あの頃とだいぶ変わったつもりでいたぼくはぼくのままでなにも変わってなくて、たくさんの他者のレンズを搭載しただけで、他者のレンズ越しでしか自分も世界も愛せないのかもしれない。そしてたくさんの他者のレンズをインストールするために、ぼくはたくさんの本を読むのかもしれない、あなたと関わるのかもしれない、己を限りなく希釈して、美しいものを見て美しく生きるために。
2022年12月5日 08:43
一晩寝たら忘れてるだろう、そう思ったことすらわすれて眠りに就いた。朝になっても好きだったから、きっと本物なのだろうお味噌汁はなにを入れても美味しいから、私たちの今日がたとえ辛い一日であったとしても、大丈夫。毎日何もかもを忘れて、昨日は昨日に置き去りにして。好きなものを日々あたらしく好きになろう。いまを直ちに生きよう。起床は1日のうちで自分が最大の敵になる瞬間だ。この敵に