川
知らぬ街を走った
そこには家と車と汚れた空気が
人は八方へ歩いてゆく
知らぬ川沿いを走った
そこには悠々生い茂る草と
舗装された道のコントラスト
南風が吹く川沿いの道を
人は二方へ歩いてゆく
リードを大きく伸ばして犬を散歩する強面の男
肌を真っ赤に焼いた帰り支度をする釣り人
橋の下から聞こえる楽器の音
父の肩の上ではしゃぐ少女
それを眺める僕とスケボー少年
川には誰一人近づかず
その流れる方向に
人々は歩いていくだけで
彼らを横目に
真っ直ぐ川へ進んでいく少女を見た
そうか 君は川へ向かっていくのか
死にに逝かず 川で生きることを選んだその娘を
誰が止めることができよう
死とは 生きる場所の変遷だと
少女の背中がそう叫んでいた
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