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紙幣発行は昔から中央銀行が独占していたわけではない

 現在の世界では、中央銀行紙幣の発行を独占している。
 しかし、昔からそうだったわけではない。
 多くの銀行が銀行券を発行していた時代がある。
 銀行券の発行は次第に中央銀行に集約されることになった。イギリスでは、戦費調達の必要から1694年にイングランド銀行が設立されていたが、紙幣発行権を独占するようになったのは、19世紀の半ばだ。

 19世紀の半ば、アメリカでは「山猫銀行」と言われた銀行が紙幣を自由に発行できるフリーバンキングの時代があった。アメリカで中央銀行であるFRBが設立されたのは、1913年のことだ。
 日本でも、明治維新後、多くの国立銀行(「国法によって設立された」という意味であり、政府の銀行ではなく、民間の銀行)が独自の銀行券を発行した。

 ハイエックは、1976年の『貨幣の非国有化』で、中央銀行が銀行券の発行を独占するのは望ましくないとして、複数の銀行が独自の銀行券を発行し、これらが競合することが望ましいとした。
 これは、さまざまな仮想通貨が発行されている状況と似ている。
 仮に「リブラ」が発行されるなら、ハイエックが考えたような状況になるだろう。



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