見出し画像

リモートワークの弱点とその対策〜コミュニケーションはどうするとよいか〜

はじめに

本記事の目的は、リモートワークとオフィスワークでの最大の違いである、対面コミュニケーションの有無から発生するリモートワークの問題点を整理し、対策をすることでリモートワークの品質を向上させることである。

僕自身はリモートとオフィスの両方でソフトウェアエンジニアをやっているが、本稿ではどんな職種やチームでも共通する一般的なノウハウをまとめている。

時間のない人や、リモートワークについてイメージがある人は、「リモートワークに必要なコミュニケーションスキル」節だけサクッと読むだけでいい。

はっきり言って、普段の仕事でお作法がきちんと出来ている人にとっては、全て当たり前のことで、何一つ目新しいことはないのだが、オフィスワークだとその辺が多少おざなりの人でもなんとかなってしまう。

リモートワークが怖いのは、そうしたおざなりになっている部分が顕著にデメリットとして表出し、チームの生産性を下げてしまうところだ。(後述)

リモートワークをチームに導入しようとしているリーダーや管理職の方々は、あらためて必要なコミュニケーションスキルをチェックし、リモートワークをさせるのが心配なチームメンバーに共有するのもいいだろう。

執筆の背景

リモートワークの良い点や、便利なツールについては、既にたくさんの人が共有しており、ちょっと検索すればいいものがすぐに見つかるようになった。

しかし、ここで見落とされがちなのは、リモートワークのメリットとセットで考えるべきこと、すなわちオフィスワークのメリットが享受できなくなること(リモートワークのデメリット)への対応を考えることだ。

仕事の進め方のハウツーがちゃんとインストールされていない人がチームに一人でもいる状態でリモートワークをやると、かえってチームに軋轢やストレスを生み、オフィスワークよりも生産性が下がる状況になりかねない。
(ぼくはそれでひどい目に遭ったことがある)

リモートワークを渋っている企業やチームが恐れていることは、そのデメリットの部分だ。

しかし、きちんとそのデメリットを言語化し、対策を考えていれば、なにも恐れることはない。

チームの全員がリモートワークのお作法をきちんと押さえておけばきちんとメリットを享受することができる。

リモートワークとオフィスワークにおけるコミュニケーションの違い

冒頭にも記したように、一番の違いは、リアルに顔を突き合わせてのコミュニケーションができるかどうかだ。

リアルに顔を突き合わせてのコミュニケーションの最大のメリットはノンバーバルも含めた情報交換の速さだ。

具体的には、

・双方の状況が伝わる(例:忙しそう、手が空いてそう)
・双方の感情が伝わる(例:困ってそう、怒ってそう)
・結論が伝わる(例:質問があったときに、必要な情報をその場で整理し、結論を持ち帰らせられる)

などが主なところだろう。

一方、リモートワークではテキストによるコミュニケーションが基本になる。

裏を返せば、これらはテキスト主体のコミュニケーションで抜け落ちがちなことだ。

仕事のできる人は、普段からこうした特性を認識できているため、舞台がテキストに移っても、遜色なくコミュニケーションできるが、認識出来ていない人は、リアルコミュニケーションで無意識に(=意図せずたまたま)出来ていたことになるので、テキストに移った瞬間にできなくなる。

冒頭で触れた、仕事のお作法が分かってないとデメリットが助長されるのはそのためだ。

リモートワークに必要なマインドとコミュニケーションスキル

こうしたリモートワーク(テキスト主体のコミュニケーション)の弱点を補うためには対策が必要だ。

僕の経験を踏まえ、これがすべてだとは言わないが、あればまず事故らなくなるであろう、マインドとコミュニケーションスキルをリストアップした。

もし、今までリモートワークをしたことがない、あるいはリモートワークをしているがうまくいかないという人には、一度チェックするといいかもしれない。

まず、マインドから。

・相手を常に思いやるマインド
必要なのは、
「これは本当に相手(またはチーム)のための発言か」と常に考えられるマインドだ。

これがすべてだと言っても過言ではない。

前述の通りリモートワークというのは、相手の感情が分かりにくいので、相手に発言がネガティブに解釈されるリスクが高い。その分、オフィスワーク以上に相手やチームを思いやるマインドを持つ必要があるのだ。

思いやりがないケースは例えば、自分の考えやリサーチもなしで、いきなり相手にオープンクエスチョンをぶつけるケースだ。

「これってどうしたらいい?」

誰しもこの質問を受けてイラッとしたことはあるだろう。

質問された側としては、
「(おいおい、そんなこと何も考えず(調べず)に質問しないでくれよ。まずは自分で仮説を立てて、クローズドクエスチョンにしてくれ...)」
と思うわけである。

オフィスワークだと、その場でパッとフィードバックすれば終わるのだが、仕事のできる人ほど、テキストでそこでフィードバックをしなかったりする。

なぜなら、テキストだと指摘がきつく聞こえがちだから、言うのを敬遠して今度会ったときに言おうと思ったり、Slackなどのタイムラインがノイズ(=その場には関係のない情報)で荒れないことを優先するからだ。

その結果、結局考える仕事(大抵はものの数分)を巻き取って返信してしまったりする。

仕事ができる人がその場での全体最適を考えた結果、長期的には全体最適になっていない、という不思議なことが起きるのだ。

マインド編が長くなったが、こうした事態を未然に防ぐために必要なコミュニケーションスキル(観点)は以下だ。

・相手の頭の中を想像する
・期待値調整する
・構造化する
・推敲する

・相手の頭の中を想像する
想像するべきは、相手の感情と持っている情報だ。

【感情】
相手の今の状況によってかける言葉は変わってくる。
例えば、相手が今休暇中で緊急で連絡しているなら、休んでいるところ申し訳ないが、自分が困っていて助けてほしい、ということを伝えるべきだろう。

また、伝える内容にもよる。
例えば、一度聞いたことのある情報を再度引き出そうとしているなら、検索したけれど見つからなかった、二度目で申し訳ないと思っていることを伝えるべきだろう。

大切なのは、「あなたの状況をちゃんと理解していて、応えてくれることに感謝していますよ」と相手に伝わることだ。

【情報】
相手はどんな情報を欲しているのか、どんな情報があれば伝わるのか、を予め考えることで、相手はスムーズに次の作業に移れる。

例えば、相手に依頼をするときは、相手が特に何も確認をしなくても、即座に作業に取りかかれるように、こちらで情報を予め整理し、必要な資料(のありか)はすべて準備してあげる必要がある。
(無論、準備の程度は役割によって異なる)

・期待値調整する
期待値調整という言葉はあまり一般的ではないので、僕なりに再定義しておくと、期待値調整とは、

5W1Hをはじめとした、仕事に必要な基準や制約条件を相手とすり合わせること

である。

炎上プロジェクトは大体これを失敗することで起きる。

「思っていた仕様と違う」とかは、納品基準を明確に資料などで共通認識を作らなかったことが原因だ。

コミュニケーションをする双方がそれぞれの観点で期待値調整をすることでダブルチェックになり、認識の齟齬が最小限になっていく。

・構造化する
細かいハウツーはネットに沢山転がっているので、ここではわざわざ書かない。

言葉の粒度やレイヤーを揃える、
結論から述べる、
事実と解釈を分けて表現する、
...etc.

これらを考慮して、とにかくテキストは明快に書くこと。

・推敲する
これも細かいハウツーはネットに(略)

同じことを伝えるのなら、文章はより短い方がいい。
長い文章は往々にして意味の密度が薄く、冗長であり、伝達効率が悪い(=読み手にとってストレス)からだ。

これは、文章単体の短さだけでなく、コミュニケーション全体についても同様だ。
例えば、想定可能な質問をされないように、事前に情報を網羅してあげることが必要だ。

おわりに

以上、ぼくがオフィスワークとリモートワークの両方を経験してみて、肝要だと思っている方法論でした。

別にこれが絶対的な正解だとは思っていませんので、適宜カスタマイズしたりして、皆様の快適なリモートワークにつながれば、筆者冥利に尽きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?