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2021年松本山雅FC選手総括【DF編】

この記事では現実を受け止めて来季へ向けて歩みを進めるために、まずは今シーズンを総括したいと思う。

GK編、DF編、MF編、FW編と4回に分けて各選手の短評を書いていく予定。夏に移籍していった選手は含めるが、他クラブに期限付き移籍している面々は僕が直接プレーを見れていないので割愛する。

ではいってみよう。

GK編はこちら!


凡例

#背番号 選手名
リーグ戦出場試合数(うち先発試合数)出場時間 得点 アシスト


DF編

#2 星キョーワァン

20試合出場(先発14試合)1255分 0得点 1アシスト

シーズン序盤は、元々抱えていた負傷の影響もあって試合に絡めない日々が続いたが、第9節愛媛戦で初先発。その後、数試合スタメンからは外れることになるが、第15節栃木戦・第16節岡山戦と立て続けにセットプレーから失点を喫すると、最終ラインにメスが入る。星キョーワァンを真ん中に据えて、左に常田克人、右に大野佑哉という3枚がベースとなっていく。
彼が先発に定着してから、セットプレーでの失点が減ったのは一目瞭然だった。そもそもの守り方をマンツーマン主体から、ゾーンとマンツーマンの併用に変えたのもこの時期だったが、その決断ができたのも高さで勝負できる星キョーワァンがいたからこそ。栃木戦で柳に叩き込まれたような失点の仕方をしなくなった。
また、高さだけではなく、スピードも兼ね備えているのが彼のスペシャルな部分。前からのプレッシングを志向したチームにおいて、最終ラインとGKの間に広がる広大なスペースを一人でケアし続けた。シーズン中に僕は”チーム全体のツケを払える選手”と表現したが、前線からプレスを掛ける割には相手のプレーを制限できず、縦パスがポンポン入っていたチームにおいて、文字通り彼がツケを払ってくれていたので持ちこたえていたと思う。
酷使したことが祟ったか、シーズン途中で再び離脱。復帰後は、橋内優也が戻ってきたタイミングと重なってしまい、パワープレー要員となっていった。
スケールの大きさを考えるとJ1でやっていてもおかしくはないし、CBにフィジカル要素を求めるチームにはハマりそう。多分来年はいないと思う。

これぞ松本山雅という得点。起点は彼のヘディングだった。


#3 田中隼磨

1試合出場(先発1試合)58分 0得点 0アシスト

松本の魂を背負う漢は怪我に苦しめられた。

■診断結果
右膝外側半月板損傷/右膝軟骨損傷/右膝関節内遊離体/右膝関節滑膜炎
■手術術式
鏡視下半月板部分切除術/骨穿孔術/関節内遊離体摘出/滑膜切除および骨棘切除術
■全治
未定

リリースの文面を見ただけで、普通の怪我ではないと確信した。半月板損傷だけでも数ヶ月離脱し、場合によっては選手生命も脅かされるにも関わらず、複数の症状を併発している。一体どれほど無理をしてきたのか。
そして当日にブログが更新される。

最初に膝を痛めたのは2014年5月24日のジュビロ磐田戦。7年間もずっと膝の痛みと戦い続けながら、松本山雅のために文字通り選手生命を削ってプレーしてくれていた。昨季離脱した際に、尋常じゃない痛がり方をしていたので、個人的にそのタイミングが初期症状だと思っていた。違った。彼は僕が想像できないくらい苦しみながら闘っていたのだ。
来季40歳を迎える選手。手術せずに引退を決断してもおかしくなかったと思う。それでも田中隼磨は、再び戻ってくると約束してくれた。僕は信じている。

復帰してゴール決めたらこれやってほしい。

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#5 前貴之

28試合出場(先発26試合)2167分 1得点 1アシスト

今季離脱の代償が大きかった選手の一人。開幕から24節まで連続出場を続けるなど欠かせないピースとして重用されていたが、トレーニング中に左膝内側側副靭帯を損傷してしまい、約2ヶ月の離脱。第34節の岡山戦で一度復帰するも本調子ではなく、再び戦列を離れて、完全復帰したのは第39節になってからだった。
山口、横浜FMとポジショナルプレーの概念を取り入れたチームを渡り歩いたこともあり、戦術理解度は頭一つ抜けていたことは間違いない。松本の今季初得点をアシストした場面でも、大外で外山凌が持った際に、ハーフスペースに走り込む動きは他の選手には出来なかった芸当だ。チームが仕込んだというよりは、彼自身の経験から導き出したアイデアだと思っている。

また、右サイドバック・右ウィングバック・右センターバック・ボランチ・インサイドハーフと複数ポジションを高次元でこなす点も見逃せない。右方上がりの可変システムにトライした名波体制初期において、前貴之はキーマンだったはず。名波監督になってから彼がほぼ稼働できなかったのは大きな誤算となった。
格の違うプレーを披露していたので、正直来季も残ってくれる可能性は低いと思っている。もっと組織として整備されたチームに行けばもっと輝けるはず。前に進み続ける前貴之を応援していきたい。


#6 篠原弘次郎

6試合出場(先発5試合)346分 0得点 1アシスト

最終ラインの柱として期待されたが、第8節の甲府戦で左膝蓋腱炎を発症してしまうと、手術を決断。その後は復帰できないままシーズンを終えてしまった。
膝蓋腱炎は別名ジャンパー膝とも呼ばれるようで、ジャンプやキックなど膝の曲げ伸ばしを伴う強度の高い運動を継続していると、損傷が蓄積されて痛みが発生するものらしい。元日本代表の内田篤人も同じ症状を発症し、本来のプレーを取り戻せずに引退を余儀なくされている。十分に休息を取り、炎症を起こしている膝を休ませることで一過性で済むらしいが、治りきらないままに運動をすると慢性的な痛みに発展してしまうことが多いようだ。
2016年から4年連続で3000分近く空中戦に強いセンターバックとしてプレーしていた篠原。膝を酷使していたことは想像に難くない。
当初の構想では、フル稼働が難しくなってきた橋内優也と併用しつつ、若い選手も多いDF陣のリーダーとしてプレーすることを期待していたはず。また、エアバトラーとしての印象が強いが、正確なキックも持ち味。最終ラインからのビルドアップに取り組もうとしたチームの核となりうる選手だった。それだけに、彼が早い段階で長期離脱してしまったのは大きな誤算だったと思う。
復帰してから元のプレー強度まで戻すのは至難の業になりそうだが、再び躍動する姿を期待したい。


#13 橋内優也

21試合出場(先発20試合)1,714分 1得点 0アシスト

彼がいるといないでチームのクオリティが大きく変わる。それくらい影響力のある選手だが、4年連続で出場試合数・出場時間を減らすこととなった。昨季から継続して抱えていた筋肉系の負傷が慢性化し、15節からの8試合と36節からの4試合で不在。橋内本人も、大事な時期に自分がピッチに立って若手に手本を見せられなかったことを悔やんでいたが、チームとしても非常に痛手だった。
負傷に関しては、昨季からチームが志向している戦術と各ポジションに求められる負荷の偏りが一因だと考えている。前線から積極的にプレッシングを掛けて、ショートカウンターに持ち込むのが柴田体制での十八番。前線からのプレスがハマれば問題ないのだが、そこの仕込みが甘いと、DFラインは広大なスペースで相手FWと勝負を強いられることになる。試合中に何度もスプリントを繰り返し、時にはサイドのカバーにまで回る役割は、負荷を蓄積しベテランの身体を蝕んでいった。橋内優也を筆頭に、CBの繰り返しの離脱はチームの方向性と切っても切り離せない。
来季どういった戦術を用いるかは分からないが、自陣から丁寧に繋ぐサッカーを志向するならば彼は必須となるだろう。それ以外にも、若く有望な選手が多いDF陣に経験と落ち着きをもたらせる存在として期待したい。


#20 浜崎拓磨

8試合出場(先発6試合)438分 0得点 1アシスト

個人的な今季の推し。ユニも彼の背番号で買った。けど、全く活躍できないまま夏に東京Vへ移籍していった。
仙台でブレイクした際はボランチで起用されることが多かったと思うが、果たして松本ではポジションが定まらず。右ウィングバックで起用するには攻守ともに強度不足で、インサイドハーフだと攻撃での貢献度に物足りなさが出てくる。かといってアンカーでは守備面に不安が残る。帯に短し襷に長しという感じで、いまいちハマりどころがなかった。まあ、仙台でもボールが刈れる椎橋と組ませていたから良さが出ていたのであって、本来純粋な中盤の選手ではない。
セットプレーのキッカーとして途中出場する試合もあったが、フィーリングが合わないのか、武器になるほどのアピールとはならず。シーズン途中から田中パウロ淳一がセットプレーも蹴れる一面を見せ始めると、いよいよベンチに置いておく理由もなくなってしまい、メンバー外になってしまった。
爆死した琉球戦で山田真夏斗と組んだダブルボランチは何だったのだろう。夢か?沖縄の暑さで開放的になって「えーい!やっちゃえ!」と思ったとかか?実際のところは、名波監督が就任して初戦だったので、ポジション争いは横一線というアピールだったのだろうけど。
どうやら東京Vでも気づいたら行方不明になっているようで、来年帰ってきてくれるかどうかは不透明だ。

これをアルウィンで見たかったのよ僕は。


#33 大野佑哉

27試合出場(先発25試合)2,241分 1得点 1アシスト

大卒3年目の今季は開幕からスタメンの座を射止めると、右センターバックの定位置を確保。対人の強さ、スピード、足元の技術とおおよそDFに求められる能力を標準装備した万能型のDF。プロのスピードに慣れたこともあってか、昨季よりも明らかにプレーに余裕が見られ、安定感が増したのは心強かった。
監督交代によって夏場に出場機会を失った時期もあったが、第27節大宮戦・第28節磐田戦と2試合連続で0-4の大敗を喫したタイミングでスタメンに復帰。それ以降は名波監督の信頼を掴んで、再び主力としてのポジションを固めていった。それだけに、第35節に太ももを負傷してシーズンアウトとなってしまったのは勿体なかった。チームとしてもせっかく宮部大己・大野佑哉の右サイドが成熟してきた中で、再構築を迫られたのは終盤戦の失速に少なからず影響したと思う。
他クラブから声がかかってもおかしくはないタレントだが、終盤に負傷離脱したことも考慮すれば来季も残留が既定路線だろう。向こう10年松本の最終ラインを担える人材だけに、フル稼働が求められる。

めちゃ長いハッシュタグを使うタイプ。

12.13.20:00 大野を大卒2年目と書いていたのを3年目に修正しました。失礼しましたmm

#37 宮部大己

20試合出場(先発18試合)1,530分 2得点 0アシスト

今季サプライズを提供した一人。法政大時代から評判が高かったのは耳にしていたが、1年目からプロの舞台でも遜色なくプレーできることを証明してみせた。
前半戦は同ポジションに大野佑哉という主力がいたこともあって、ベンチ入りも出来ない日々が続いたが腐らずにトレーニングを続けていたのだろう。大野がコンディションを落としていた中で、第21節でいきなりスタメンに抜擢。前半戦はわずか3試合の出場だったが、後半戦は21試合中17試合に出場するなど一気に飛躍を遂げた。
一番の魅力は、1対1の強さ。本人も絶対的な自信を持っているようで、プロのドリブラー相手にも全く臆せず、むしろ自分から1対1を仕掛けにいく。彼の守備はとにかく粘り強い。一度捕らえたら離さず、まさに”ボールを絡め取る”ような守備が特徴的だ。178cmとセンターバックとしては小柄な部類に入るが、補って余りある機動力と対人の強さで、無くてはならない戦力となっている。終盤になって相手に分析されると、ファーサイドに流れたFWに狙い撃ちされる場面もあり、今後の課題になりそう。それもあって名波監督は、一列前の右WBで起用することが多かったのだろう。
プロの水に慣れた来季は、右サイドを完封してくれることに期待している。大野佑哉・宮部大己の右サイドとかめちゃくちゃアツい。他クラブからの触手が伸びないことを願って。


#39 高木利弥

出場なし

完全に干されていた。天皇杯ではさすがに出番あるかなと思っていたが、ここでも82分からの途中出場だったのを見て、本当に構想外なんだなと思った記憶がある。
個人的には、昨オフに出ていってしまうのだと思っていた。元々移籍するという話は出ていたし、契約更新が発表されたのも1月7日とギリギリだったので、移籍先を探したがコロナ禍もあって見つからなかったのかもしれないと邪推したり。
夏に出場機会を求めて愛媛に移籍すると、16試合に出場して主力としてプレー。右ウィングバックに魔改造されたりしていたが。29歳ということで出場機会が大事だろうし、多分片道切符なんだろう。愛媛も資金的に厳しそうだが、悪い方向に影響しないことを祈っている。ありがとう!


#43 常田克人

30試合出場(先発27試合)2,449分 1得点 0アシスト

ベガルタ仙台から借りパクに成功した貴重な左利きのセンターバック。右サイドへ対角のロングフィードを得意としており、最終ラインから攻撃の起点になれる点も評価が高い理由のひとつである。
柴田監督のもとでは評価が確立されず、先発・ベンチ外を行き来するようなことが続いた。というのも、決してスピードが無いわけではないのだが、地上戦で1対1を挑まれてちぎられる場面が散見されたからである。昨季から脆弱性は露見しており、晒されると弱いのは多分分かっていたはず。だが、相手にあからさまに狙われるようになると、対策をせざるを得ず、下川陽太や野々村鷹人にポジションを明け渡すことも多かった。
それでも、名波監督が就任すると評価が一変する。後方からのビルドアップを重視する監督の下、足元の技術に優れる常田は重宝された。加えて、常田自身も出足が良くなったり、安易に飛び込む場面が減ったりと、ウィークポイントを補って成長していたのも間違いないだろう。
三浦ヘッドコーチがセットプレー担当としてメスを入れ、ニアで合わせる形を定着させると、攻撃面でも力を発揮。彼がニアでフリックして、ファーで詰めるという形は再現性を持って行えており、セルジーニョとのタイミングも試合を追うごとに合っていた。それだけに1得点は物足りない。シーズンフル稼働+3~5得点を挙げられるようになれば、彼自身のステップアップもあるかもしれない。



#44 野々村鷹人

20試合出場(先発13試合)1,348分 0ゴール 0アシスト

今季のサプライズその2。彼もまた流通経済大時代から実力者だったのは確か。ただ、浦和に進んだ伊藤敦樹や仙台で定位置を掴んでいるアピアタウィア久の影に隠れて主力にはなれず。
運命のいたずらか、彼にチャンスが回ってきたのは第2節の京都戦。奇しくも京都を率いるのは、昨年まで流通経済大でコーチをしていた曺貴裁氏。「ファーストプレーでガツンと当たりに行くべし」と大学時代に受けた指導をそのまま体現し、速攻でイエローカードを貰ったのはご愛嬌。ベンチで曺貴裁監督も苦笑いしていた。「なんか俺悪いことしました?」みたいな表情を浮かべていた彼を見て、ヤバい新人が入ってきたと思ったものだ。
183cmとDFとしてはずば抜けて高いわけではないが、ジャンプ力と競り合ってもブレない体幹の強さがあるので、空中戦はほぼ無敵。デビュー戦でウタカを相手にガツガツ身体をぶつけて、それを嫌がったウタカが下がってボールを受けに行っていたのは印象的だった。
プロの舞台で通用してきたと思った矢先に、左太ももの肉離れで2ヶ月近く離脱したのは相当悔しかったはず。そして復帰してからも、守備時のポジショニングの甘さとボールウォッチャーになりがちな癖を見抜かれてからは、メンバー外になることも多かった。最終節長崎戦は、徹底的に彼の背後を突かれて2失点を喫している。
ポテンシャルは間違いないので、今季出た課題をひとつずつ潰しながら、来季さらなる飛躍を遂げてほしい。

何気なくググったら、めちゃくちゃどうでもいい記事あったw



てか、ここまで書いて思ったけど、1回は離脱しなきゃいけない縛りとか入れてましたっけ?????
そりゃ今季ベストメンバー揃わないわけだ。。。。。

あと単純に人が多い!!!
MF編は多すぎるので、2つに分けるかも!


One Sou1


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