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2022 松本山雅FC選手総括【FW編】

鈴木国友は山形からのレンタルバック群馬への再レンタルになっているが、僕がプレーをあまり見れていないので割愛!すまん!

ここまでの総括はコチラ!

ではいってみよう!

見方

#背番号 選手名
リーグ戦出場試合数(うち先発試合数)出場時間 得点 アシスト


#9 ルカオ

21試合出場(うち先発12試合)1198分 4得点 4アシスト

俺たちのルカ兄。昨季は怪我でほぼシーズンを棒に振ってしまい、最終盤に復帰してJ2でも違いを見せていたのでJ3では無双するのでは!と期待して迎えたシーズン。
序盤はまだコンディションが整っていない感じがあり、試合に出続けることで状態が上がれば良いなと思っていた矢先、アウェイYS横浜戦で負傷。スプリントを武器にしている選手で、ハムストリングに爆弾を抱えているってのは本当にしんどいところがある。付き合っていくしかないのだけど。
長らくの離脱を経て戻ってくると、夏明けくらいから本領発揮。横山歩夢との2トップはチーム内でも破壊力No.1。ただお互いにキャラ被りしていたのが玉に瑕だったかなと。どちらもサイドに流れて受けて、前を向いてドリブルを仕掛けてナンボのスタイル。相手の守備ブロックを破壊することはできても、最後にフィニッシャーとなる選手がいない問題に悩まされることになった。また横山歩夢の守備タスクを免除していたことで、ルカオが一生懸命に自陣までプレスバックをしていたのは果たして良かったのか。彼の献身性に甘えすぎていた気もする。
まあそんなネガティブな側面を全て忘れさせてくれるのが信州ダービーでの一撃。コースが無くなったと思われた体勢から身体を捻って逆サイドに流し込むシュートは、無理が効く身体能力の高さと日々のシュート練習の賜物だろう。
霜田監督が志向するサッカーだとCFに求められるのはボックスストライカー的な役割で、ルカオはウィングにコンバートされる可能性が高そう。完全体に近い状態に戻ったので上のカテゴリーからお声がかかるかもしれない。


#15 菊井悠介

32試合出場(うち先発30試合)2482分 2得点 3アシスト

今季の最大の発見。よくこんな選手が眠っていたなという感想だ。まあ確かに大学時代は最もアピールしたい時期に怪我していたというエクスキューズはあるにせよ、流経大でレギュラーを張ってたアタッカーという触れ込みは間違いなかった。開幕戦、途中から出てきて数回のボールタッチで格の違いを見せたのは今でも鮮明に思い出せる。
止める・蹴るの技術、視野の広さ、空間認知能力はチームでも頭抜けている。中でも特筆すべきは「相手を見てプレーできる戦術眼」。試合中にピッチ上で起こっている事象を認識し、自分なりに解釈して、自分そしてチームがどう振舞うべきか答えを出せる選手。前貴之というサポート役がいたことは大きいが、それでもルーキーが試合中にベンチにシステム変更を提言する姿は新鮮だった。
シーズンが進むにつれてトップ下orインサイドハーフの一角は彼の定位置となり、欠かすことのできない存在に。ルーキーとしては申し分のない成績だが、さらに要求するとしたら得点やアシストが伸び悩んだ点だろうか。アタッカーとしてシーズンフル稼働した以上、2得点3アシストという数字は物足りなく感じてしまう。
○試合出場しました!で満足するような選手ではないと思うし、自分がチームを勝たせるくらいの気持ちで頑張ってほしい。


#18 戸島章

リーグ戦出場なし

今季は出場0。彼を活かす最適解が見つからないまま、7月に栃木シティへ期限付き移籍となってしまった。191cmの長身だがストロングヘッダーというタイプではなく、足元の技術に長けた選手。
松本山雅でのハイライトは2021シーズンアウェイ北九州戦でのポストプレーだろう。僕の友人がエンジェル戸島と異名を付けるくらい、柔らかいタッチと優しいパスだった。
残念だったのはチームが縦に速いサッカーへ傾倒していったので彼の良さを発揮できる場面が激減したこと。今季に関しては小松蓮が戻ってきたことも大きく影響したかもしれない。同じくポストプレーを得意とする選手で、よりスピードがあり、生え抜きで若い。どちらを起用するかと言われれば小松蓮だった。
幸いにも栃木シティでは一定出番をもらっていたようで、完全移籍となった。せっかく松本山雅に来てくれたのに、下のカテゴリーに移籍していってしまうのは悲しいが、何にせよサッカーを続けられるようで良かった。ありがとうございました!


#19 小松蓮

28試合出場(うち先発22試合)1615分 5得点 1アシスト

松本山雅の偉大なるFW塩沢勝吾の背負った19番を見にまとい、武者修行から帰ってきた小松蓮。山口では思うような結果を残すことはできなかったが、よりモダンなサッカーを志向するチームに揉まれたのは彼のキャリアにとって間違いなくプラスに働くだろう。
生え抜きのFWということで大きな期待を背負って迎えたシーズン、出だしは順調だった。元々ポストプレーには定評があり、足元の技術も水準以上で献身性もある。加えて山口で身につけた守備の技術は多彩なFW陣の中でも目を引いた。そして誰と組んでも個性を打ち消し合わない万能性もあり、名波監督からの信頼を得ていたように思う。
それでも絶対的な存在になりきれなかったのは、数字が付いてこなかったことに尽きる。FWである以上は得点数にこだわってほしいし、シーズン途中から横山歩夢とルカオがスタメンに定着したのは得点の可能性が高いから。器用ではあるが尖った武器を持っているわけではない現状だと、ベンチに置かれてもジョーカーにはなり切れない歯痒さも感じた一年だった。
不思議な巡り合わせで、来季の指揮官は山口で指導を受けた霜田監督。監督の求めるエッセンスを知っているからこそ速い段階からアピールをしていきたいところ。加えて、監督の要求を噛み砕いてチームメイトに伝える通訳としての役割にも期待したい。


#25 榎本樹

28試合出場(うち先発2試合)598分 4得点 0アシスト

今季のアディショナルタイム男。5節宮崎戦、23節愛媛戦で決めた劇的なゴールは記憶に深く刻まれている。
10節今治でゴールを決めて好調をアピールし、翌11節のアウェイ鳥取戦でもスタメンで起用された。ただ、起用されたポジションは驚きの右ウィング。左サイド高い位置に張らせた外山からのクロスに右大外から入ってきた榎本樹が合わせるというのが狙いだったが、ビルドアップが破綻。肝心の左サイドがノッキングしてしまい、なぜか右サイド奥で榎本樹が身体を張ってポストプレーをするという試合になってしまった。これは彼が悪いというわけではないのだが、波に乗れそうな時期だっただけに不運だったと思う。
その後は途中出場が主戦場に。愛媛戦で劇的な決勝ゴールを叩き込んだ時は、昨季のような終盤戦の覚醒を期待したがそれも叶わず。
昨季怪我をしてからイマイチコンディションが万全には整わない様子で、得意の空中戦でも絶対的な強さを発揮できないなど、不完全燃焼の一年だった。
高校生の時からポテンシャルの高さは折り紙付き。あとは彼自身が活きる最適解を見つけ出せれば。おそらく霜田監督は4-3-3を採用すると思うが、CFに求められるボックスストライカー的な要素は榎本樹に合う。フィニッシャーに専念させた時の爆発力は昨季で証明済なので、最低でも二桁得点を期待したい。


#32 横山歩夢

29試合出場(うち先発25試合)2133分 11得点 1アシスト

彗星の如く現れた若きエース。怪我をするまでは、ドリブルを仕掛ければほぼ100%抜ける、多少遠くても打てば決定機、試合ごとに出来るプレーが増えていく、点を決めるごとに喜び方がクールになっていく…。と無双状態。
これだけの覚醒の契機となったのは、昨季の最終節だろう。先発出場した横山歩夢はゴール前での決定機でパスを選択し、得点機を逸してしまう。この消極的な姿勢を見た名波監督は、ハーフタイムに交代を命じたのだった。高卒ルーキーに対しては非情な扱い。名波監督の愛情の裏返しだった。
それを受けて今季、名波監督はとにかくシュートを打つことを求めた。ゴールが見えたら足を振る。その意識によって横山歩夢の才能が開花していく。象徴的だったのはアウェイの相模原戦。エリア外からのミドルシュート、角度のないところから迷いなく振り切ったゴラッソ、どちらも意識改革の賜物だ。
グングン成長を遂げていく横山歩夢に引っ張られるようにチームも首位争いを展開し、シーズンを追うごとに「戦術・横山歩夢」に傾倒していくことになる。横山歩夢を軸に据えたことで課題も見えてきた。それは守備だ。相手を追い回していてボールが奪えるほどJ3も甘くない。ましてやプレスに行く・行かないの判断が間違っていると、中盤以下に多大な負担をかけることになってしまう。前田大然が守備を身につけて一気に飛躍していったように、横山歩夢も最低限の守備タスクをこなせるようになる必要がありそうだ。
J3で圧倒的な活躍をみせたことで、来季はサガン鳥栖への移籍が決定。若く野心的な監督のもと、いきの良いチームメイトと切磋琢磨することになる。鳥栖では自分中心でチームが造られることは無いので、攻守にわたってより組織的なプレーを求められる。フィットするまでに時間はかかるだろが、今後のキャリアを考えれば遅かれ早かれ超えなければいけない壁だと思う。
次は代表で会おう!!


#42 田中想来

7試合出場(うち先発1試合)0得点 0アシスト

ユースからやってきた逸材。天皇杯予選の決勝、しかも信州ダービーで途中出場から決勝点を叩き込むという離れ業をやってのけた時点で普通ではない。いわゆる持っている選手なのだろう。
プレースタイルは良い意味でクセがない印象。テクニックがあって、スピードもそこそこ、守備時のポジショニングやプレッシングでの制限のかけ方も上手い。フィジカル面でも当たり負けする場面は少ないので、プロのプレースピードに慣れてくれば出場機会は増えていきそうである。
なにより凄いと思ったのは物怖じしないメンタル。デビューした時もそうだし、リーグ戦で起用された時も緊張する素振りすら見せずにトリプルで突っかけたりしてて、今どきの子はこんな感じなんだろうか…と思ったりもした。
能力を示す五角形があったとすると、どの項目もそこそこのレベルにはある万能なFWで、ある意味モダンな選手だと思う。あとは来季霜田監督のもとでどんな味付けをされていくか。FWに求められる素養は既に持っているので、より尖った部分を作っていく、プロの世界でメシを食える武器を磨いていく一年になるだろう。スタメンに食い込んできても全然不思議じゃない選手。


これで終わり!
監督編は長くなったので別に切り出します!



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