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2022 松本山雅FC選手総括【MF編②】

続々と契約更新が発表されてきて焦りつつもやっていきます!
GK編、DF編、MF編①はこちら!


見方

#背番号 選手名
リーグ戦出場試合数(うち先発試合数)出場時間 得点 アシスト


#26 佐藤和弘

28試合出場(うち先発20試合)1594分 0得点 2アシスト

昨季はキャプテンを任されたものの、彼の背中で見せるリーダーシップとチーム状況に求められるリーダーシップがマッチせずに苦しい1年間を過ごした。一転して今季はパウリーニョにリーダーを託して、プレーヤーとして伸び伸びとプレーできる一年に。
4-4-2ではサイドハーフ、3-5-2ではインサイドハーフが主戦場となったが、彼の持ち味であるバランス感覚を存分に活かしてくれた。特にインサイドハーフでは菊井悠介とコンビを組むことが多く、前から前から守備を仕掛けたい相棒の良さを活かしつつ、中盤に致命的な穴を生まないポジショニングに苦心していた印象。彼が出場してた試合とそれ以外では守備のハマり具合が段違いだったことが存在感の大きさをヒシヒシと感じさせた。
シーズン中盤以降はさらにコンディションを上げ、運動量が目に見えて増加。横山歩夢とルカオに託すロングカウンターを軸に据えた中で、2トップをサポートするカウンターの第3の槍に姿を変えた。見違えるような動きはシーズン前の走り込みが効いていたのかもしれない。
悔やまれるのは、チームのバランスを取ることに彼のリソースを使ってしまったこと。本来の良さであるバイタルエリアで決定的な仕事をする動きや、積極的にボールに絡んでテンポを生むような動きを満足にさせてあげられなかった。これは彼のクオリティというよりは、チームの構造上の問題であり、今季の戦い方をしたが故の犠牲となった部分でもあった。
来季は古巣の甲府に戻ることになり、加入コメントを読むと骨を埋める覚悟で移籍していった様子。ACLで活躍する姿を楽しみにしたい。


#29 村越凱光

5試合出場(うち先発2試合)145分 0得点 0アシスト

アウェイの相模原戦は鮮烈だった。横山歩夢と2トップを組むと、開始直後から猛烈なプレッシングで相模原守備陣を混乱に陥れる。そして極め付けは先制点。自陣でボールを奪うと横山歩夢がドリブルで持ち運ぶ。村越凱光は横山歩夢と並走しながら左に流れてDFを引き付けてドリブルのコースを開け、結果的に豪快なミドルシュートをお膳立てした。
チームトップの快速を誇る横山歩夢に付いて行けるスピード、相棒を活かすオフザボールの献身性、今季はこの2トップで決まりか!?と思ったほどの出来だった。ただ結果的には出番を失ってしまい、夏に柴田監督の率いるラインメール青森へ期限付き移籍することになった。
出番を掴み切れなかった要因は守備にあると見ている。横山歩夢との2トップは確かにチーム最速だったが、2人とも前線から追いかけ回す守備になってしまい、組織的なプレッシングを成立させるには不足していた。そこで名波監督が決断したのは、フィニッシャーとして存在感を発揮していた横山歩夢を残し、代わりに1.5人分の守備タスクを担える選手と2トップを組ませること。必然的に構想から外れてしまった。シーズン終盤になって横山歩夢とルカオによる高速カウンターに回帰したはいいものの、彼らに代わる途中交代カードに困ったというのは皮肉めいたところがあった。
さて来季は山鹿への復帰が発表されている。霜田監督の元ではウィングかサイドバックで起用されることが濃厚だが、プロ年数を考えるとそろそろ存在感を出していかなければいけない時期でもある。母校の躍進を追い風にして来季こそは頼むぜ!


#30 山田真夏斗

3試合出場(先発なし)52分 0得点 0アシスト

未完の大器は完成を見せずに退団となってしまった。
名波監督がその才能に惚れ込んでいたのは間違いない。昨季就任して最初の試合でいきなりスタメンに抜擢したり、残留争いで苦しい中でも途中出場で我慢強く使っていた。今季も隙あらば起用しようという愛情を感じさせたし、試合後のコメントを読んでも愛の鞭がビシバシと…笑
ボールを持つと時折天才的なプレーを見せてくれるのだが、それ以上にボールを持たない時、つまり守備時や攻撃のオフザボールの動きの課題が大きいのは変わらず。天皇杯で埋めるべき中央のエリアを埋められずミドルシュートを決められてしまったシーンが象徴していたと思うが、ボランチとしてそれはアカン!というプレーが出てしまうのが本当にもったいないところ。
秘めたポテンシャルの大きさは見れば分かるのだけど、残念ながら松本山雅では開花させてあげることができなかった。来季どこでプレーするかは分からないが、彼の良さを伸ばしつつ短所を改善させてくれるような指導者・チームと巡り会えることを祈る。


#34 稲福卓

13試合出場(うち先発1試合)191分 0得点 0アシスト

昨季最終戦でリーグ戦のピッチに立ち、アグレッシブなプレーで将来を期待させてくれた。今季はキャンプから好調をキープし、開幕スタメン予想も出ていたほど。開幕戦でしっかりベンチ入りし、その後も定期的に起用される時期はあったのだが、試合最終盤でのクローザーとしての立ち位置から抜け出せなかった。
とはいえプロ2年目で13試合に絡んだというのはまずまずの成績と言えるだろう。欲を言えば得点やアシストを1つでもつけたかったが。
個人的に来季どんな進化を遂げるか楽しみにしている選手の1人。ここまで見せてくれている彼の特徴は豊富な運動量とハードタックル、加えて足元の技術も標準装備しているところ。タイプ的には山雅のボランチっぽい潰し屋気質がある。霜田監督は中盤に守備的な選手を起用しない人で、アンカーに三幸を起用していたことが象徴的だ。そうなると稲福に求められるタスクも変わってくる。彼が司令塔系統に変わっていくのか、ボックストゥボックス系統に変わっていくのか、それとも潰し屋として霜田監督を納得させるようなプレーを見せて出番を勝ち取るのか。勝負の3年目、彼の成長する姿を目に焼き付けたい。


#36 住田将

20試合出場(うち先発16試合)1261分 3得点 1アシスト

評価の難しい一年になってしまった。
前半戦は主力として起用され続け、壁にぶつかってベンチ外とされた試合もありながら、課題を克服してスケールアップ。中盤ならどこでもこなせるポリバレント性とシステム変更にも柔軟に対応できるサッカーIQの高さを買われ、3バックと4バックを使い分けるチームには欠かせないピースだった。
ところが、夏に前貴之が移籍すると、チームはシステムを3バックに固定。それと同時期に横山歩夢とルカオのスピードを活かした戦術に振り切ったことで風向きが変わってしまった。システムを固定すればポリバレント性を発揮する場面は限られてしまい、そつなくこなせるという彼の長所が、決め手に欠けるという短所になってしまった気がする。ロングカウンター主体になったことで中盤には攻守に渡りインテンシティの高さが求められることになり、彼のスタイルからすると分が悪くなったのも大きかった。彼自身もコンディションが整わなかったというエクスキューズはあったようだけど。
来季は仕切り直しの一年になりそうだ。プロを1年経験して様々な課題が見つかったと思うし、同時に手応えを感じた部分もあったはず。それらの材料をもとに、もう一度整理してピッチ上での表現に落とし込めるか。シーズン中にスタンド観戦して冷静に自分を見つめ直し、次の試合でゴールという結果に結び付けたように。高速でPDCAを回し続けることこそ彼の勝ち筋だ。


#38 濱名真央

3試合出場(先発なし)18分 0得点 1アシスト

来季に期待を抱かせる有意義な1年だったのではないだろうか。
アウェイ相模原戦で帯同していきなりデビュー。すると得意のドリブルで持ち運んでノールックパスからアシストを記録して強烈にアピールした。その後はジョーカーとしてベンチ入りする試合が多く名波監督からも一定の評価を得ていたことがわかる。所属大学との兼ね合いもあってか、シーズン中盤以降は帯同することはなかったが、大学では何度か離脱を経験しながらもエースとして得点やアシストをし続ける姿は立派だった。
数試合しか見れていないが明確に課題として浮かび上がった点もある。それは守備だ。特にブロックを組む際のポジショニングや、パスコースの限定の仕方といった、いわゆる個人戦術の範囲内と思われる部分が粗削り。所属チームではそれほどハードに求められていないのかな?と感じられるプレーだったので、前線からのハイプレスを志向する来季は大幅な改善が必要になるだろう。とはいえ、個人で仕掛けて局面を打開できる能力は貴重なので、仮に霜田監督が4-3-3を使う場合はウィングとして計算されるだろう。ルーキーイヤーにスタートダッシュを決めるためにも、キャンプでしっかりとベース作りをやってほしい。


#41 山本龍平

7試合出場(うち先発1試合)157分 0得点 0アシスト

開幕スタメンはサプライズだった。4-4-2の右サイドハーフで出場し、攻撃時は内側に入ってプレーする変速的なタスクを任された。ただ、守備時のポジショニングが怪しかったことと、構造上複数の相手をマークしなければいけなくなってしまったこともあり、前半45分で交代。持ち味を出せないまま消化不良で終わってしまう。
再び出番が回ってきたのは10節の今治戦。残り5分+アディショナルタイムという短い時間での投入だったが、こぼれ球に反応してファウルをもらうなど時間帯を考えた献身的なプレーを披露。この試合で名波監督の信頼を掴み、翌11節には試合の流れを変えたいタイミングで45分のプレータイムを得る。続く藤枝戦、愛媛戦でも途中出場ながら出番を得て、信頼貯金を積み重ねていった。
ただこの期間に目立ったインパクトを残せなかったことが8月以降ぱったりと出場機会を失ってしまったことに繋がっていたと思う。住田将の項でも書いたようにチームの戦術がスピード重視に変わっていったこともあるが、任されていたポジションからすると得点やアシストといった目に見える結果が欲しかった。夏に中山陸が加入してきたことも彼には逆風となったに違いない。
左利き、足元の技術が高く、球際でタフに戦えるようにもなってきた。来季は霜田監督のもとで、もしかするとサイドバックへの転向なんかもあるかもしれない。そうでなければ主戦場はインサイドハーフになってくるだろう。今季よりも攻撃的な色合いが濃くなりそうで、課題として残った結果を出すという部分により拘ってほしいところである。


MF編②は以上!

次のFW&監督編で最後です!
最後までよろしくお願いしますmm


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