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新卒加入選手について調べてみた

あけましておめでとうございます。この記事を書いているのは1月24日なので全然遅いのですが、気持ちはまだまだ正月気分。

さて、主力選手が抜けたり懐かしい選手が復帰したり色々ありながら、松本山雅のスカッドも大方固まりつつあるかなと。とはいえ降格したチームなので、他クラブで主力を張っている選手を引っこ抜けるような立場ではなく。必然的に自前の選手、すなわち新卒への期待が高くなる傾向に。

今回は新卒で加入する4選手について、YouTubeにオフィシャルでアップされているフルマッチ映像を見て思ったことをつらつらと書いていく。

※基本情報については、松本山雅公式HPの加入内定リリースを参照。


薄井覇斗

◆基本情報◆

【ポジション】 GK
【生年月日】1999年7月11日(22歳)
【出身】東京都
【身長/体重】186cm /82kg
【経歴】杉並FC - Forza’02 - 流通経済大学付属柏高 - 流通経済大

◆チェックした試合◆

流通経済大学の正守護神が加入。大学サッカーでトップofトップの大学で主力を張っているGKがJ3のチームにやってくるって、普通に考えたらよく分からん。個人的には、いきなりレギュラーとしてプレーしていてもおかしくない実力の持ち主だと思っている。

彼に関しては2試合をチェック。いずれもGKとしてフル出場していた。観ていて一番目立ったのは足元の技術。流経大が最終ラインからショートパスを丁寧に繋いでいくことにこだわっていないので、正直前線に蹴っ飛ばすことも多々あった。それでも、センターバックがボールを持つと、ペナルティエリアを出てパスコースを作り出す動きはスムーズ。ボールを受けることを怖がっていないんだと思う。相手のFWが多少プレスを掛けてきても全く動じることなく、普通にパスを繋いでいたので、現代的な選手だなあと感じた。

翻ってシュートセービングに問題を抱えているかと言われたら、そうでもなくて、こちらも安定感抜群。ハイボールも苦にしていないようで、全体的に目立った弱点がないGKだと思う。

今年の編成を見ていると、それほど後方からショートパスを繋いで組み立てていくことにはこだわらなさそう。むしろ、攻撃では前線にシンプルなロングボールを放っていくのかなと予想している。GKに求められる役割も、足元の上手さと言うよりは純粋なゴールキーピングの部分やハイボールで競り負けないことが重視されるのかなと。将来的には代表を目指せるだけのポテンシャルを秘めた選手だと思っているので、まずは熾烈なレギュラー争いを勝ち抜いて、出場機会を得るところから頑張ってほしい。

自称、キッカーのルーティン観察大好きマンの僕からすると、彼のゴールキックを蹴るときのルーティンには注目。踏み込む位置に足を置いてから助走を取り、一回肩の力を抜いて息を吐いてから走り出すまでが1セット。あと助走に入る前に左手のキーパーグローブをちょっといじる。型はまるでアメフトやラグビーのキッカーみたいでカッコいい。そしてキックはめっちゃ飛ぶ。


菊井悠介

◆基本情報◆

【ポジション】 FW
【生年月日】1999年9月17日(22歳)
【出身】大阪府
【身長/体重】173cm /73kg
【経歴】
アイリスFC住吉 - ヴィッセル神戸伊丹U-15 - 大阪桐蔭高 - 流通経済大

◆チェックした試合◆

チェックした試合は薄井くんと同じ。ただ、国士舘大との試合は後半からの出場となっている。

タイプとしては純粋なストライカーというよりは、シャドーストライカーに近いかな。173cm /73kgという見た目の通り、小回りが利いてスピードもある。彼が得意としてるのは、ボールを引き出す動き。中盤まで降りてきて起点となることもあれば、カウンターの急先鋒として時間を作って味方の上がりを促すこともある。そして常に最終ラインと駆け引きして裏抜けも狙っている。味方からパスを引き出すバリエーションが豊富なので、ピッチ上を所狭しと動き回って、常にボールに絡んでいる印象だった。

衛星的な動きを得意としているようなので、榎本樹のようなポストプレーヤーと組ませたら面白い化学反応が見られるかも。逆に広範囲に動き回る選手なので、2トップの相方もサイドに流れるタイプを置いてしまうと、フィニッシャーが居ない問題に直面しそうである。(たぶんパウリーニョが飛び込んできてヘディングで決める)

気がかりな点があるとすれば、フィジカルの部分か。彼のようにボールを引き出して起点を作るタイプへの対抗策として、とりあえず身体をぶつけてバランスを崩すというものがある。いわゆる、ボールを持たれる前にふっとばしちゃう系。プロには大学サッカーでは経験しないフィジカルモンスターがゴロゴロいる(フレイレとかヘニキとか)。そういった選手を相手にした時に、どこまで通用するか。もし壁にぶつかるのであれば、どう乗り越えていくのか。そういった部分に注目していきたい。

インスタの投稿は真面目。


住田将

◆基本情報◆

【ポジション】 MF
【背番号】 36
【生年月日】1999年8月19日(22歳)
【出身】愛知県
【身長/体重】181cm / 73kg
【経歴】
愛知フットボールクラブU-12・C - 名古屋グランパスU-12 - 名古屋グランパスU-15 - 名古屋グランパスU-18 - 青森山田高 - 東京学芸大
【代表歴】 U-15日本代表・U-16日本代表

◆チェックした試合◆

東京学芸大学の関東1部リーグ参入がかかった試合であり、彼の大学サッカー最後の試合でもあるプレーオフをチェック。キャプテンを務める彼はもちろん先発でフル出場していた。

一番の特徴は左足のキック精度だろう。東京学芸大ではセットプレーのキッカーを任されており、特にフリーキックでは右利きのキッカーを配置していないことからも、絶対的な信頼を置かれていることが推測される。球質はやや緩めでカーブを掛ける感じで、精度重視。今の松本で例えるならば、佐藤和弘のキックに近い気がする。

もうひとつ特徴を挙げるとすれば、視野の広さ。この試合、90分間で”3タッチ以上したのは片手に収まるくらい”しかなく、ボランチで数多くボールに絡みながらも、そのほとんどが2タッチかダイレクトだったのは驚異的。ボールを受けてから迷う場面は、ほぼなかったと言っていい。それだけ、受ける前に周囲の状況を正確に把握する能力や、ワンタッチで蹴れる場所にトラップする能力など、”準備の質”が高いとも言い換えられる。
昔、遠藤保仁が代表常連だった時に、良い試合ではボランチは実況から名前を呼ばれないって話を聞いたことがある。実況が名前を呼びたくなるくらいボランチが長い間ボールを保持しているってことは、ボールがスムーズに回っていないということ。逆にボランチが少ないタッチ数でボールをさばいて、テンポを作れているときは、良いリズムで試合が進んでいるという意味らしい。と、彼のプレーを見ていて当時の記憶を思い出した。試合は0-1で破れてしまったけど、決定機はかなり作っていたし、内容では五分か東京学芸大の方が押していたと思う。
前半こそセーフティな横パスが多かった印象だが、後半に入ると追い風となったことも影響してか、積極的に縦パスを通す場面が増えた。一発勝負のプレーオフだったということを考えれば、まずは失点しないことに重きをおいてスタートしたのかもね。

彼の主戦場は最終ラインの前、つまり中盤の底。松本で当てはめるならば、アンカーになるだろう。左利きで、サイズもあるアンカーとなると、真っ先に思い浮かぶのは米原秀亮の存在。実際にアンカーの2番手ポジションを争うライバルになると思う。敢えて米原との違いを挙げるとすれば、パスレンジか。米原はショートパスを繋ぎつつグラウンダーの楔のパスを付けるのが最大の持ち味の選手である一方で、彼はサイドチェンジや背後へのロングフィードなど中長距離のレンジを得意としている。今年の松本の編成を見ていると、ロングカウンターとセットプレーが攻撃の肝になりそうなので、シーズンを進めていくにつれて住田くんの存在感は増していくかもしれない。

縛りプレイをしているみたいに右足を使わないのもまた愛おしい。ジャイアントキリングのジーノみたいな。


二ノ宮慈洋

◆基本情報◆

【ポジション】 DF
【生年月日】2003年11月10日(18歳)
【出身】 群馬県高崎市
【身長/体重】 190cm /73kg
【経歴】 ブルーボタンSC - 前橋FC - 高崎経済大附属高

◆チェックした試合◆

なんと言っても最大の魅力は190cmの身長。ピッチ内でも存在感は際立っており、周りの選手が全員中学生に見えるという錯覚に陥っていた。

正直、フルタイムを観たが彼の高さが活きた場面はあんまりなくて評価が難しい。
高経大附においては彼が守備の要であり、最後の砦。基本的に自ら持ち場を離れて迎撃に行くことは少なく、ペナルティエリア幅でプレーしていたのが印象的。万全の状態でクロス対応をさせようと思ったら、エリア内に留まっていたほうが強さが発揮できるからだろう。彼自身の判断というよりは、チームとしてオーガナイズされていたように思う。なので、彼の主要なタスクはライン統率とカバーリング。特にラインコントロールには気を配っており、細かな上げ下げで桐生第一のFWに背後を取らせなかった。

やや気になったのは、守備時のポジショニング。彼が特段と言うよりは、高経大附は全体的にそうだったのだけど、クロス対応の際にボールウォッチャーになってしまい背後への意識が薄くなりがちだった。前半に相手右サイドから、後半は左サイドからのクロスで決定機を作られていたのもこの形。せっかくの高さもポジショニングがめちゃめちゃだと宝の持ち腐れになってしまうので、ここは早めに修正しないとプロレベルだとすぐに研究されそう。まあ、ここに関しては橋内という格好のお手本がいるので、弟子入りしてポジショニングと大人の渋さを吸収してもらえれば。

先に書いたように、僕が観た試合だとFWと1on1を強いられる局面が少なかったので、晒されたときの強度は気になっている。ゲキサカのインタビューで、アジリティを鍛えているというコメントをしていたように成長過程にあることは間違いない。とはいえ、フィジカル・スピードがプロレベルでも通用するかどうかは未知数なので、序盤は体作りからになるかもしれない。

今回の試合は、たまたまYouTubeで上位表示されたオフィシャル動画だったのでチェックしたんだけど、後半終了間際に二ノ宮くんはまさかの退場処分。決して悪質なファウルをしたとかではなく、ゴールライン上でスライディングして守備をした際に相手のシュートが手に当たってしまい、決定的得点機会の阻止ということでレッドカードの対象に。しかもこのプレーで与えたPKが決勝点。キャプテンマークを巻いて善戦していたラストマッチで退場+PK献上。彼はとてつもない借りをピッチに残したまま高校サッカー生活に幕を閉じることになってしまった。
それでも彼のサッカー人生は続いていく。幸いにも彼にはプロの舞台で何倍にもして借りを返すチャンスがある。ピッチ上の悔しさはピッチで返すしかない!頑張れ!!

あと関係ないけど、チェックした試合で前橋FC出身の選手がやたら多かった。群馬の中学生年代では有名ドコロなんだろうか。


以上!

新シーズンも楽しみましょう!!!


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