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#082 「ツッテ西伊豆」 - 地域通貨とゲーミフィケーション

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こんにちは。中小企業診断士の多田と申します。

今回も、ちょっとおもしろいニュースがあったので、割り込みでそのニュースについて書いてみたいと思います。
(ポートフォリオ分析の特集はあと1回で終了予定。気になる方はぜひマガジンのフォローをお願いいたします。)

静岡県西伊豆町で始まった、「ツッテ西伊豆」という企画について

はんばた市場HP

先週の火曜日(9月8日)、静岡県西伊豆町で、「ツッテ西伊豆」という自治体主導の企画がスタートしました。

日本初!釣った魚を自治体が“地域通貨“で買い取り 三密を避けたレジャー「ツッテ西伊豆」で観光客も地域も潤う
https://www.atpress.ne.jp/news/225325

地元の釣り人や観光客が遊漁船で釣った魚を地元の直売所で買い取り、対価を西伊豆町内で使える地域通貨と交換するという取り組みです。
企画の大まかな流れは以下のとおり。

(1) 提携の釣り船で釣りをする。

釣り船一覧 – はんばた市場
https://hanbata.com/tsuribune_list/

料金はどの船も共通で、乗り合い(7時間)だと1人12,000円、家族で貸しきり(4時間)だと3人で25,000円、くらいのようです。
有料で釣り竿などの道具も貸してくれるようなので、初心者が手ぶらで行っても大丈夫そうですね。

(2) 釣った魚を「はんばた市場」で買い取ってもらう。

「はんばた市場」とは、今年の5月に西伊豆町にオープンしたばかりの、地元の産品を取り扱う直売所(産地直売企業組合)です。
毎日8:30-15:00に営業されています(毎月第4火曜日定休)。

西伊豆産地直売所 はんばた市場 | Facebook
https://www.facebook.com/hanbataichiba/

はんばた市場

(画像は上記 Facebook ページからお借りしました。)

「はんばた」とは、西伊豆の方言で、「浜端」、つまり「海のすぐそば」という意味とのことです。
とても素敵なロケーションのようです。

釣った魚をここに持ち込むと、決められた価格で買い取ってくれます。
買い取られた魚は、地元の飲食店で使われたり、商品として販売されたりするそうです。

できるだけ高く買い取ってもらえるように、上記の船で釣りを行う際に、船長さんから釣った魚の締め方や保管方法を教えてもらえるとのこと。本格的ですね。

(3) 魚の売上代金を地域通貨「サンセットコイン」でもらう

魚の代金は、現金ではなく地域通貨でもらう、というのがこの企画の特徴的なところ。

(4) 「サンセットコイン」を使って地元のお店で食事や買い物を行う。

船で釣りをするのが7時間とすると、朝から昼過ぎまで釣りをして(お昼ごはんは船上でしょうか)、お魚を買い取ってもらった後は地元のカフェで一休み、軽く観光して地域通貨で晩ご飯食べて夜帰宅、という感じになるのでしょうか。

うん、なかなか楽しそうです。

西伊豆町の地域通貨「サンセットコイン」とは

「サンセットコイン」は、西伊豆町が今年の5月から開始した地域通貨の仕組みです
開始当初には、コロナ影響で落ち込んだ地元の消費を支えるため、西伊豆町の町民全員に1万ユーヒ(1ユーヒ=1円相当)が配られたそうです。

電子地域通貨サンセットコイン取扱店募集 | 西伊豆町役場
https://www.town.nishiizu.shizuoka.jp/forms/40/481.html

サンセットコインが使用できる店舗リスト(8月20日時点)が、こちら<http://www.town.nishiizu.shizuoka.jp/pdf/kikaku/corona31.pdf> で公開されていますが、飲食店や宿泊の他、地元のコンビニや電気屋さんでも使えるようです。

この地域通貨の仕組みは、トラストバンクという会社が運営している「chiica(チーカ)」というプラットフォームを使って構築されているようです。
自治体がこうした仕組みをゼロから作るのは大変なので、このような既存の使いやすいプラットフォームを活用するのはとても良いと思います。

地域通貨プラットフォームサービス|chiica(チーカ)
https://chiica.jp/

急速に広まる「ゲーミフィケーション」という考え方

今回の「ツッテ西伊豆」の企画がおもしろいのは、一定の決められたお金を払ってレジャーを楽しむだけではなく、「釣果に応じたお金がもらえる」というゲーム性にあると思います。
こうした、コンピュータゲームのようなゲームの要素や考え方をゲーム以外の体験に取り入れていくことを「ゲーミフィケーション」と呼びます。

例えば、
・成果に対して、わかりやすい形で報酬を用意する。(今回のケースはまさにこれですね)
・何度も挑戦したくなるような、適切な難易度と学習効果を設定する。
・入口のハードルはできる限り下げて、徐々に難易度が上がっていくような仕組みを設計する。
・初心者向けのチュートリアルを用意する。
・獲得ポイントに応じて参加者をレベル分けする。

などのような、ビデオゲームやスマホゲームでは常套手段となっている手法を今回のようなレジャーにも適用することで、新規ユーザーをどんどん取り込むとともに、一旦取り込んだユーザーを引きつけて放さない、「ハマる」体験にすることができます。

地域通貨とゲーミフィケーションの組合せで、新しい地域活性化が可能に

「ツッテ西伊豆」では、こうしたゲーミフィケーションの考え方と、報酬として地域通貨を与えるという仕組みを組み合わせることで、地域全体をつなげた新しいレジャー体験を実現しています。

この取り組み、今後の地域活性化を考える上で非常に参考になると思います。
例えば、
・草取りやごみ拾いをしたら地域通貨を与える
・地元のスポーツチームが勝ったら地域通貨のポイント付与率を上げる
・友達を新しいお店に連れていったらポイントプレゼント

などは割とすぐに思いつきそうです。

まとめ。

(1) 西伊豆町でこの9月から「ツッテ西伊豆」という企画がスタートしました。お客さんが釣った魚を地元の直売所が買い取り、その対価を地域通貨で支払うという取り組みです。

(2) 釣った魚を買い取ってもらえるというゲーム的な要素を組み入れる(ゲーミフィケーション)ことで、一般的な魚釣りの体験を超えた、より「ハマる」体験を作ることに成功しています。

(3) ゲーミフィケーションと地域通貨を組み合わせることで、地域一体となった、新しい地域活性化の取り組みが実現できるように思います。

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(ここに書かれている内容はいずれも筆者の経験に基づくものではありますが、特定の会社・組織・個人を指しているものではありません。)

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