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自転車はファインダーだ

写真家が自転車に恋をして #04


自転車とカメラの組み合わせが最高だと思う理由を、世界が更新される速さだと書きました。ロードバイクだと前傾姿勢によって視点が変わるのと、自転車ならではのコースがあって、新鮮に見えるのもいいです。

フォルムも美しく、トップ画像みたいに影を使うのが好き


脚本家の北川悦吏子さんがエッセイで「木漏れ日というのは自転車の速度で見るのが一番綺麗だと思う。歩きだと遅すぎるし、走ると上下に揺れて今一つ綺麗じゃない」と書いていて、うんうんと頷いてしまいました。
水平を保ったまま光の中を滑っていくような感覚があります。
あの感じを写真に撮れたらなって、いつも思う。動画向きに思えるけれど、一枚の写真に凝縮してみたい。

これくらいの精度で、光を浴びている感覚が撮れたら


撮影のための自由度———立ち止まったり、道を曲がったり、しばらくその場で待ってみたり、そういうのは徒歩が最強。でも移動できる距離が限られるのと、場所によっては変化に乏しく、撮影のモチベーションを維持するのが難しいです。
車や電車は、ダイナミックに移動する風景やネイチャーには適していても、スナップに対応するのは難しいかもしれません。
移動の速さと距離は写真に密接だと感じていて、車に乗ったカルチェ・ブレッソンを想像できないし、電車を使うロバート・フランクやスティーブン・ショアも同様です。



先にカメラをやっていて何も知らずにロードバイクに乗るようになった人あるあるだと思うのですが、どこにでも気軽に停められるわけではないです。スタンドさえない。街中は駐輪禁止の看板だらけ。

もう傷なんて気にしないからそこらに立てかけちゃうし、芝だったら倒して転がしてしまうけれど、写真を撮り終えて再スタートするとき心が痛みます。車両も傷んでる。

ロードムービーっぽい

自転車+旅=輪行


第二回だったか、自転車の喜びを広げていくとき、ロングライド(長い距離を走るのを楽しむ)、ヒルクライム(坂を登ることを楽しむ)、ポタリング(散歩のように店巡りなどを楽しむ)のどれかと書きました。

もうひとつ大きな派閥があって、それが輪行。
主に電車に自転車を積んで遠いところに行き、そこで走る。上の三つのどれかに、旅行の要素が加わる感じでしょうか。
レンタサイクルもいいけれど、初めての街を自分の自転車で走ると、親密になれる気がします。関わりの深さが明らかに違う。

自転車をバラして、また組み上げるのに、慣れないうちは時間もかかるし、不安もつきまといます。仲間に教えてもらって輪行袋までもらったのに上手くできませんでした。車両が大きく輪行袋のサイズがギリギリなので、袋に収まるようににするのに調整が必要で時間がかかります。
そのため早いうちに折り畳み自転車を買うことに。
クラウドファンディングで700cのシングルスピード折り畳み自転車を見つけ、乗っている人が少なさそうなのと、身体がデカいからなるべく自転車も大きいほうがいいと、短絡的に考えて購入。これが悲劇の始まり。

北欧製だからデザインはミニマルで好きだった


製造段階でトラブルがあったようで到着が遅れ、届いてからもなんだかしっくりきません。折ってもそんなに小さくならないし。
「輪行したくなるようなところは、大抵は坂があるから、シングルスピードだと難しいと思いますよ」と知人に言われたのが決定打。
作りが悪くパーツの品質も良くなかったため、そんなに乗ってないのに軋む音がするようになり、早いうちに廃車処分しました。いい思い出がひとつもないです。

そこで心を入れ替えて、部屋で輪行の練習をしました。
グラベルブームも追い風になって、大き目の輪行袋が発売されるようになったのもありがたかった。

このハードルを超えるとコースの自由度が飛躍的に上がり、あの街を走ってみたい、あの道を走ったら何が見えるだろうかと、夢が広がります。

初めての輪行は霞ヶ浦


輪行に向けての金言

自転車の先輩から、「距離を走りたいって思うようになると、ついそれが目標になってしまうから、ゴールに美味しい店などの目標をつくるといいですよ」とアドバイスをもらいました。
海が好きで房総に行くことが多いので、海鮮ランチも楽しみのひとつ。
最初のうちはカメラを持っていく余裕がなくて、まともな写真が残ってないのが残念。

九十九里にて。帰りに肋骨を折った(涙)




A perfect shop for bicycle #01

コーデュロイ/ベーカリー  


東京の東側、江戸川区一之江にあるパン屋さん。
わざわざ訪れる価値があると思いますが、江戸川サイクリングロードから近くて開店が早いので、朝食をここで摂ってから埼玉や茨城に向けて北上していくのもおすすめ。
店内で飲食できませんが隣が公園です。

何を食べても美味しくて、すぐに食べられるならクロワッサンはぜひ。ベーコンエピも絶品。
子どもたちに喜んでもらえるパンにしたかったそうで、蒸しパン系も美味しいので潰れないように運べるならリッチな補給食にもいいかも。

光が感じられる窓のあるパン屋さんって意外と少ないと思うのだけれど、ここはパンを選んでいるとき嬉しくなるような窓があります。
近くのコーヒーショップと共催のイベントに行ったら、オーナーさんなのかX-E4でスタッフの写真を撮っていました。


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