見出し画像

好き+教養でこんなにも楽しくなるとは【特撮初心者のシン・ウルトラマン感想】

はじめに

私が持っていた事前知識

・ウルトラシリーズほぼ未視聴(弟がメビウスを見てた気がする)
・昔家にウルトラ怪獣図鑑とウルトラマンコスモスの本があったので、歴代ウルトラマンと有名な怪獣の名前はなんとなく覚えている
・エヴァンゲリオン(新旧どちらも)と「シン・ゴジラ」は大好き
・去年大学で特撮の講義を受けたので、円谷プロで活躍したレジェンド級の技術マン達やウルトラマンが生まれた歴史について知っている
・台詞無しの予告映像以外、公開前に公式から発表された情報は一切見ていない(めちゃくちゃ楽しみにしていた故)

以下、特撮ファンとしてはヒヨッコの大学生による「シン・ウルトラマン」をIMAXで鑑賞した時の感想です。知識に間違いがあるかもしれませんが勉強中のヒヨッコなのでご容赦ください。



!ここからネタバレ注意!
本編の内容にガンガン言及します



1.冒頭~VS禍威獣までのあれこれ

・ウルトラQのオープニング映像風「シン・ゴジラ」からパッと切り替わり「シン・ウルトラマン」のロゴ つながり~!!!(IKKOムーヴ)

冒頭から超スピード
禍威獣(カイジュウ)怒涛の4連発、からの禍特対による迅速な解決4連発。開始早々に大量の情報を叩きつけられ、(展開早すぎない!?)と思ったけど、後半の山場を考えればカットせざるを得なかったんだろうな。

一瞬しか映ってないのに禍威獣もセットも作り込みが半端じゃなかった。どれもウルトラQに始まる過去のウルトラシリーズに登場した怪獣だったから、これは長年の特撮ファンへの目配せ的なサービスかな〜とボンヤリ。
一瞬のウィンクにしては重くて熱い愛が伝わる〜〜

ちなみに私はシン・ゴジラ初見時、一瞬だけ大量に映し出される”あの”フォントを目で追うことを優先して映画の展開に置いてきぼりを食らってしまったことがある(情けない)
今回も状況説明は最低限の時間しか取ってくれない(その方が演出としてかっこいい)だろうな~、と最初から追うの諦めてたけど、パンフレットであらすじ読み返したら9割漢字で笑った。そりゃ追えん。

電線
最初の禍威獣(ネロンガ)が電線ジャングルに登場した時、庵野秀明と樋口監督が電線フェチであることを知っているオタクのはしくれとして「あ~はいはい^^」と内心ニンマリ。

ウルトラマン初登場シーン
これでもか!というくらい勿体ぶったゆっくりな動きでずっと目が離せなかった。人類とのファーストコンタクトだもんね…丁寧…。そしてスペシウム光線の構え方かっこよすぎる~!!!

本当の神永真二は開始15分で死んでいるというね…。 
ストーリーほぼ知らずに行ったから、斎藤工がウルトラマンであること隠しながら禍威獣と対峙するたびに「子どもを助けに行ってきます!」って嘘ついてコソコソ抜け出すのを想像してたんだけど、甘かったな~甘すぎる…。 特撮初心者とはいえ庵野秀明の作品が好きなくせにどんだけヌルい展開を予想していたんだ、と頭を抱えつつどんな結末も受け止める覚悟を決めた。
 
尖りまくりのアングル
「シン・ゴジラ」で印象的だったカメラをのぞき込む顔大集合アングルが今回も顕在でニッコリ!なんならアングルへのこだわりが増してて、せっかくIMAXの超大画面で見てるのに西島秀俊も早見あかりも長澤まさみもスクリーンの12分の1しか映ってなくてほぼイス、みたいなのがめちゃくちゃ多くてさらにニッコリしちゃった。ものすんごい褒めてます。

パンフレットのインタビューによると、セットに何台もカメラを設置して何度も同じシーンを繰り返し、面白いアングルだけを繋げて作っていたそう。エヴァンゲリオンからアングルとカットの切り替えの面白さにかけるスタンス、変わってないね~

2.俳優陣がほんと豪華

斎藤工
ウルトラマン融合後の神永、人間のフリをした外星人の演技が完璧すぎて本当に気持ち悪かった。初の禍特対オフィスシーンで、神永はスタート時点から大量の辞書文献に恐ろしい速さで目を通してたから単に本好きキャラなのかと思ったけど、普通に人外だからあわてて情報収集してるだけだった。
コワ~ッッ!顔が整いすぎて外星人でも違和感がないのもコワ~ッッ!斎藤工の怪演にただただ拍手。ありがとう…。

長澤まさみ
コミカルで茶番臭くてよかった。空想浪漫映画ですもの!茶番万歳
嗅がれるシーン色々言われてるけど、長澤まさみの反応が絶妙にウブだったのが良かったと思う。あれで長澤まさみが違う照れ方してたら許せなかった(個人の見解です) パンフレット読んだらインタビューの見出しが「浅見と神永の恋愛ものだと思っています」で、一瞬(?)になったけど確かにと思い直した。神永(もといウルトラマン)はバディとして浅見を信頼していて、それ以下でもそれ以上でもなかったけど、浅見から好意の矢印は向いてたかもな~なんて。

西島秀俊
本当に大大大好きな俳優さんだったので、公開前から西島秀俊演じる田村班長がどんなキャラなのか勝手に予想してた。好きすぎる。
ドラマ「CRISIS」の田丸さんみたいな冷静!ポーカーフェイス!ハードボイルド!な感じかなと思っていたんだけど、実際見てみたら温厚で超優秀なのに状況が規格外すぎるせいで成すすべなく困ってる苦労人で、「CRISIS」の田丸さんというより「奥様は取り扱い注意」の伊佐山さんタイプだった(個人の見解です②)そして過去作品への愛も強すぎる。
人間ドラマ要素が一切無い「シン・ゴジラ」をベースに考えてたから、今回の浪漫全開「シン・ウルトラマン」でキャラ予想が外れたのは当然かも。
もちろん本当にかっこよかった!個人的にはゼットン建設中に温厚キャラのまま班長室に煙草の煙が充満してたシーン、諦めとも焦燥感とも言えない田村班長の暗い感情がチラ見えして最高だった。

早見あかり
「シン・ゴジラ」の市川実日子とまた違うタイプの“リケジョ“像を描いてきたなって感じた。もちろんどっちも大好き。明るくてちょけたがりですごくチャーミングな女の子だった~!ネイルも服もすごいかわいけどほんの少しだけ垢抜けてない感じ、令和サブカルオタクの解像度が高い(本当に個人の見解です③)

有岡大貴
かなりかなりかなりよかった!アイドルとして有岡君の表現力がすごいのは何となく聞いたことがあって、演技を見るのは初めてだったけどすごい引き込まれた。パンフレットのインタビューで冒頭の「透明の意味ねーじゃん」というセリフについて、「前半の滝くんは禍威獣への好奇心が強いから、馬鹿にしている感じが出ないように気を付けた」って答えてて、役柄への理解深すぎてひれ伏した。英語会議のシーン本当かわいかったし、最初は発音が下手すぎて猛練習したらしい。かわいすぎるな~。

3.vs外星人~終劇までのあれこれ

ザラブ
津田健次郎の声が最高〜〜!!!!見てる時めっちゃ怖かったけど、最後まで見てから思い返すとザラブあまりにも噛ませ犬すぎる。
光る円盤で真っ二つになる外星人、ステルス化、官邸が突然ブラックアウトしてザラブが現れる、急にハンドルに手を添えてザラブが現れる、などなど、(なんかこれ見たことある気が)…な演出がちょこちょこあった。たぶん特撮の講義で過去の作品を見てたからだと思う。
特に登場の演出がいちいち定番ドッキリみたいで良かったし、毎回ご丁寧にびっくりした。

メフィラス
見た人み~んなツイートしてるけど、私も映画見てる間ず~っと思ってた。山本メフィラス耕史、外星人役ハマりすぎ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

登場から怪しさ全開で最高だった…。あと黒ずくめスーツがシンプルにかっこいい。公園のシーンも居酒屋のシーンもユーモラスというか、愛らしいというか、見てて一番好きだなって思ったパートかも。
名刺渡してきたりブランコ楽しんだり居酒屋で冷酒と刺身つまんだり、いちいち友好的で人間臭いことでかえって怪しさが増すというね〜!!!山本耕史の怪演にただただ拍手…ありがとう。(再)

あと、惚れた相手に大量のラブレター送って伴侶の座を勝ち取った男の口から「女性の匂いをたどってアナザープラントから直接βシステムを探し当てるとは!ウルトラマンがそんな変態的行為を取るなんて…。”目的のためなら手段を選ばない”私の苦手な言葉です」って聞くのめちゃくちゃ笑った。(個人の見解です④) 

友好的なようでいて、メフィラスにとって人類は家畜にすぎないっていうスタンス、まどマギのキュウべえと同じ~!最悪~!(IKKOムーヴ:再)

メフィラスが真の姿になってからのアクションシーンかっこよかったな〜!映画全体を通して意外とバトルアクションは少ないので、完全にここがメイン。アクションシーンが大好きだったので大興奮。工場地帯での対決はシンエヴァの13号機VS初号機を思い出すね…。
インターネットで感想を漁っていたら、都市部のアクションに関してはどうやら現在テレビで放送されているウルトラマンの方が本当にすごいらしいので絶対にテレビシリーズも見ようと思った。

「天体制圧兵器ゼットン」というワードよ
「シン・ゴジラ」の内閣総辞職ビームのシーンを初めて見た時もそうだけど、観客を絶望させる演出がほんと素晴らしくて毎回まんまとドン底。

宇宙空間でゼットンの体が出来上がっていくシーン、オリジナルのデザインから徹底的に生命らしさが排除されてて本当に怖かった。あと声も怖すぎ!!!!!!オリジナルから同じらしいんだけど私は今回が初見(しかもIMAX)だったので「こんなの人間が立ち向かえる訳ないよォ!!!」って劇場でむせび泣きそうになっちゃった。
特撮ファンっぽい先輩で満席の土曜夜レイトショーで絶叫するわけにはいかないので必死で抑えましたが。

米軍の爆弾がちっとも効かなかった怪獣をワンパンで倒したウルトラマンが、後半はゼットンに全く歯が立たずアリンコ同然に叩き潰されるあたり、力量バランスの見せ方がほんと秀逸だな〜とボンヤリ思った。人類は虫ケラ
なにより初代ウルトラマンが敗れたあのゼットンが天体制圧兵器として光の星で運用されてる設定に震える。光の星半端ないって…。

後半でシレっと出てきた”あの男”
ゼットン完成で目の前真っ暗、(これどうすんねん)と半ば茫然としていたら突然スクリーンにハイパー色男・竹野内豊が登場してまた叫びそうになった。おまえ…おまえ…“内閣総理大臣補佐・赤坂秀樹”やないか…!!!!!!

お偉いさんと違って話のわかる男だけど完全な味方ではなく、国家の円滑な運営が最優先であるところ、「シン・ゴジラ」から変わってなくてめちゃくちゃ沸いた。田中哲司との駆け引きシーンも大好き…ありがとう…。

パンフレットでは役名が”政府の男”で徹底されていたのでご想像にお任せなんだなと理解。
そういえば総理大臣役の俳優さんも「シン・ゴジラ」で臨時大臣役だったし、なんなら斎藤工も自衛隊員役で出演してたので世界観はゆるく繋がってるのか、制作陣が好きでキャスティングされてるのか。
デザインワークス(脚本を担当した庵野秀明による手記)をまだ買っていないので、野暮なことは考えずに黙ります。

4.これ特撮の講義でやったとこだ!!(進研ゼミ)

エンドロールの“特撮組”

モーションアクターを担当した古谷敏さんは、初代ウルトラマンの造形モデルになった8等身を持つ俳優さん。(今回は庵野秀明もモーションアクターに参加していたらしく、やるね~!と思った) 
ウルトラマンと怪獣をデザインした成田亨さんも、初代からウルトラセブンの怪獣・怪人を手掛けた人物。
線画合成のレジェンド・飯塚定雄さんはスペシウム光線を描いてくれた。(監督いわくちょっと”お化粧”はしたらしいけど)

このレジェンドの方々について、全員1年前は知らなかったし、もし履修してなかったら、講義で学んだ製作の裏側を想像してワクワクしたり、エンドロールの”特撮組”の文字にじんわり胸を熱くすることなんて無かっただろうな。

将来役に立つか分からないけど、絶対に人生が豊かになる知識が”教養”だと思っている。私が通っている学部はそういう”教養”を教えてくれる先生が多くて、特撮の先生もその1人。
ストーリー展開を追うだけじゃなくて、知識を身に付けた上で観た「シン・ウルトラマン」本当に楽しかった。感動した。最高だった。入学して良かった~!学びって楽しい~!って心から思える瞬間だった。

帰り道、(樋口監督をはじめとする製作に関わった全ての皆さん、こんなに素晴らしい作品を作り上げてくれてありがとう…特撮の先生ありがとう…)と感極まってちょっと泣いた。

さいごに

なんだかんだ感想見返してみるとやっぱり俳優さんの演技に持ってかれているように感じる。教養が~とかタイトルつけてしまったけど、初見では技術について言語化できるほど技量はないヒヨッコだった。無念。

それでも、普段ウルトラマン見ない私が初見で素直に感動したのはほぼ樋口監督の狙い通りだし、1回目はこれでいいんだろうな~と思う。特撮のあれこれについては2回目、3回目でじっくり色々考察して楽しみたい。

公開から3日間の興行収入や動員やらは「シン・ゴジラ」を抜いているらしいので、少しでも制作に関わってくれた人たちにお金が行けばいいな~!

「シン・ウルトラマン」の感想で溢れかえっているnoteからわざわざ私の感想に飛び、最後まで読んでくれた方、本当にありがとうございます。
そしてきっと既に鑑賞済みだと信じている。本当良かったですよね…!!!また観ましょうね…!!!(ガッチリ握手)


この記事が参加している募集

#映画感想文

66,844件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?