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【歯並び日記⑨針金を発見するまで】

37歳から始めた歯列矯正の記録用日記です。光陰矢の如し。あっという間に忘れていくあれやこれやを書き留めます。継続は力なりを一度で良いから体現してみたいという思惑もあったりなかったり。

舌側の保定装置の装着後、いっこうに和らぐことのない痛み。
土曜日に装着。日曜日から痛みがひどくなってきた。
月曜日は仕事。痛みがひどくなる一方だったためロキソニンを服用。
事前に説明を受けた2種類(粘膜の痛みと歯が動く痛み)のうち、確実に粘膜の痛み。とにもかくにも舌が痛い。
なんとか気合でこなす仕事。アドレナリンも出てたはず。滑舌は絶望的だったけれど。最大限、聴き取りやすい発声を心がけていつもより疲れがひどい。
きっちり4時間でロキソニンが切れて、午後も服用したのは言うまでもない。
夕方以降、口腔内はヘロヘロでハヒハヒ。帰宅後は話すのも精一杯の口腔内ゾンビとなった。
満身創痍の舌に甘めに作ったほうれん草のピーナツ和えが滲みて泣いたのは初めての経験。

翌日は、大勢の人前で話す仕事が入っていた(高校生に自他尊重のコミュニケーションのお話)。「歯列矯正を始めたばかりで滑舌が絶不調です」とあらかじめごく個人的な情報を自己開示し、スタート。
分かってはいたが、大きな声では滑舌の不調を余計ごまかせない!
「~のあのどぅえ(~なので)」
「~してみまそぉう(~してみましょう)」
・・・生徒さんはみな優しく頷いてくれていたが、ハートブレイクは甚大だった。こうなったら恥はかき捨てだ。途中から迷いを振り切って話に集中することができた。今の自分にできる限りの誠意は尽くした。

さらに次の日、そのまた次の日と、粘膜が慣れてくれれば・・・との願いも虚しく、痛みはいっこうに消えてくれない。
ここまででわかった世界の真理。この世で一番安全な食べ物は白ごはんであるということ。装置の隙間に入り込むという難点はあるが、痛みきった粘膜を優しく包み込むほの甘さ。痛みを生じさせる刺激は皆無。
あいつは単なるでんぷんじゃない。優しさが白ごはんを構成しているといっても過言ではない。

そうこうして気がつけば、午前・午後とロキソニンを常用する日が続いてしまう。本来は常用すべきではないとの不安も過ぎる。
5日目、痛みに怯え、食事もままならない。仕事中は、痛み止めの効果か頭がぼんやりしてくる感じ。やべー。
6日目、ついに苛立つ私。おかしい。何かがおかしいぞ。アラートがけたたましく鳴り響く。
こんなに痛むにはなにかありそうだ。幾度となくのぞいた鏡の中、ようやく発見した。
リングからのびる細い針金。これに舌の側面が引っかかって凄まじい痛みが生じているのでは・・・。
針金をそっと指で押すと、リングの方へ沿うように倒れる。
これや!今度は爪楊枝で針金を歯に沿わせるように入念にたおす。左右ともに針金をリングの厚み内に収納。
すると、あれほどまでに悶絶していた痛みが消え去ったではないか。
アンビリーバボー!舌が上下するたびにがりがりと削られていた側面はなんとも滑らか。痛みの原因・・・これやん。
もー!!!ロキソニンでごまかしてきたけど、鋭利な針金が、発声(舌が上下する)の度に私の舌をかなぐってかなぐって新しい傷をつけていた。慣れるはずがない。
もっと早く気がついていればと悔やまれてならない。飲まなくても良いロキソニンをガブガブ飲んでた。
でも、原因がわかってスッキリ。
それ以降、ロキソニンは飲まずに過ごせている。滑舌も痛みがないぶん、まだましに。
保定装置から忍び寄る針金には、くれぐれもご注意を!
次はいよいよ、ジャンプ!ブラケットとワイヤーの装着。
保定装置ごときで悶絶していた私、いったいどうなってしまうのか不明で不安。

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