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【歯並び日記⑤ 抜歯後の生活】

4月下旬。左右上下の4番目の歯を失って1週間が経った頃。
傷口は少しずつ癒えて痛みはなくなった。
本来あるべき歯が一度に4本も抜けてしまった場合(いや自ら望んで抜いていただいたのではあるが)、困った現象がいくつかあったので記録。

まず気になるのは滑舌の悪さ。
しゃしゅしょ。明らかに息がもれて歯切れが悪くなった。
これまで仕事では特に、相手に聞き取りやすい発音を心がけてきて、聞き返されることはほとんどなかったのに、この1週間で「?」とか「〇〇(伝えたかった言葉とは違う言葉)?」といった反応が増えてしまった。
サ行にダメージ。口腔内の隙間の存在に慣れてやがてカバーできる類のものなら良いのだけど…と不安がよぎる。
矯正装置が装着された場合、隙間+装置の違和感+痛みのトリプルコンボでさらなる滑舌の悪化が懸念される。

もう一つの困った現象は、唇の端から唾液がこぼれやすいこと。人前で20分程度ひたすらお話しする機会が月一であるのだけれど、先述した滑舌の悪さを自覚しつつ、それでも決して心折れないように威風堂々と話してみたが、マスクの内側では唾液まつり。
端からこぼれるのは、上下左右ともに4番目を抜いているから。歯が唾液を堰き止める役割も担っていたとは。

歯の生え替わりの時期のお子さんや、永久歯を失った大人は滑舌や唾液の困りごとと日々戦ったり諦めたりしているのではなかろうか。
歯を失うということは、それまで当たり前のように、寄せていた口元への信頼を失うということ。
変化はストレス。喪失はストレス。
でも変化や喪失にじわじわと確実に馴染んでいく人間の適応力の不思議を思いながら舌で空っぽの歯茎をそっと撫でる私なのだった。

そんなこんなでいつの間にかGWに突入。今年は3連休が中一日の平日を2つ挟み3回続く。
2019年までのGWは、友だち家族・親族との会食やお出かけ、イベントなど隙間なくぎちぎちのスケジュールをこなして、休んでるんだか疲れにいってるんだか、てんやわんやの連休を過ごすのが常だった。懐かしい、くたくたで心地よい疲れ。

思えば行動制限のないGWは久しぶり。だけど、遠出も友達に会うのも、なんだか尻込み。
人に会わない長期休みに慣れすぎてしまったみたいだ。
前半3日間でしたこと。
子どもたちと本屋へ行き、GUでコナンコラボのTシャツ買い(娘は大のコナンファン・バーボンTをお買い上げ)、サーティーワンアイスを食べた。
2日目の夜はたこ焼きをせっせと焼いて焼いて焼きまくった。
のんびりと気ままで穏やかな数日。

今日からまた3連休。何しよう?どこいこう?
いつかまたGWにぎちぎちの予定をこなす日々が戻ってくるのだろうか。
穏やかな長期休みによろこびを見出している今は、その未来をまだ想像できない。
大きくて曖昧な喪失にようやく馴染んだのだと気づく、晴れた日の朝。

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