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スタートアップへのバラマキは果たして正しいか? 庶民目線よりも既得権益目線になりすぎるな


誰のためのスタートアップ政策?

これまでアーリーフェーズに重点が置かれていたスタートアップ政策ですが、
近年はプレシード・シード期の投資が増えてきました。

有名なベンチャーキャピタルや官民ファンド、アクセラは
たくさん誘致され、いずれも日本のスタートアップの発展のためには
不可欠な存在です。

【ここ数年でのスタートアップ政策の変化】
・ビジコン、ファンド数の増加
・シード、プレシード期の投資の増加
・アクセラレーションプログラムや支援施設の拡充
・無担保や無保証融資の創設

しかし肝心なのは、果たしてスタートアップの成長が
本当に人的資本のためなのか?

もしかしたら既得権益のためのみに動くかもしれません。

それだけではありません。

スタートアップの労働体系が注目されますが、
スタートアップの労働者はごく一部であって、
大部分は中小企業です。

長年事業を続けてこられた中小企業を放っておいて、
スタートアップのみに手厚い支援を行うことは、
果たして国民全体のためになるのでしょうか?

ユニコーンの創出にはアメリカかフランスか?

実際にユニコーン企業、時価総額が10億ドル以上、設立10年以内の非上場のベンチャー企業を輩出するには、アメリカのようなシリコンバレーモデルか?

それともフランスのようなフレンチテックといった様々な地域性と
独自性の支援のあり方が問われます。

前者はGAFAのような巨大IT企業を創出し、
世界トップのGDPを牽引してきました。

・Y CombinatorやTechstars、500 Startupsといった巨大支援施設がある
・有名大学の創出
・そもそも外交安保上の優位性が多く、基軸通貨の国でもあることがメリット

正直に言えばアメリカは生まれ持った力があります。

しかし同時にアメリカンドリームが崩壊し、
シリコンバレーバンクもロシアウクライナ問題が招いた
対応の利上げにより、財政が苦しくなり破綻しています。

シリコンバレー銀行(SVB)が経営破たんから約1年を経て、再び人員の拡大に乗り出した。失ったビジネスを取り戻し、得意としてきた新興企業やベンチャーキャピタル(VC)向け取引を守る狙いがある。

出典:ブルームバーグ 2024年2月16日 シリコンバレー銀行、縄張りを守るため再び増員モード-破綻から1年

私は少なくとも位置的にも財政が豊かであり国民健康保険が不足しているかつ、
移民の割合が高いアメリカと比べ、
日本は財政が悪化し移民を受け入れない一方で、
国民健康保険が充実しているモデルを一概に一緒にしてはならないとも
思います。

少なくとも日本では物価高や円安で悩んでいますが、
アメリカではそもそも物価が外国人の多くに優しくはない
現状となり、自国民にとっても果たして賃金がインフレの中和剤に
なるかは疑問です。

1ドル=156円の円安の国では、まず利上げする体制を整えるために
経済成長を果たすためのバラマキを整備するべきでしょう。

・オバマケアが導入されたものの、国民皆保険とはいかない現状
・移民が全てアメリカの経済や雇用を支えているか?
・解雇や離職の選択による雇用の流動化

フランスの場合はどうか?

以前、寿司テックにて本をいただきました。

それはこちらのフレンチテック: 伝統からイノベーションへ。変化するフランスとスタートアップ (KINZAIバリュー叢書)です。

簡単に言えばフランスは起業したい人のために
スタートアップビザを発行し、Station Fというパリに
世界最大の起業支援施設があります。

日本でもスタートアップビザの発行が導入され、
なんと2年間もの出資免除があります。

日本が海外の起業家に選ばれるための環境づくりが進み始めた。起業が伸び悩む背景の一つに在留資格を取得する要件の厳しさがあるとみられており、政府は起業を志す外国人が事業所や出資金なしでも全国で2年間滞在できるようにする。

出典:日本経済新聞 2023年10月29日 外国人の起業誘致へ要件緩和 出資金なしで2年滞在可能

Station Fは日本でも東京インキュベーションベースや
東京創業ステーションが近いイメージと言えるが、
既存中小企業よりもスタートアップが優遇されているかといえば
否定したい。

・スタートアップビザがある
・Station F
・政府主導の投資枠組みなどの創設、拡充

フランスという国が今後、どのような歩みを進めるか?

少なくともスタートアップでも欧州(EU)を牽引する役割はある
というふうなものは伺えます。

現在のフランスが歩む道は外交安保でも独自外交や、
起業支援も独自の文化が形成されています。

そもそも日本の東京と同じく、フランスのパリは
観光立国のロールモデルであり、そうした
共通性があるからこそ日本も本来は真似しやすい箇所であるとも言えます。

大企業の内部留保の切り崩しが課題

今後、ますます課題となるのが
大企業の内部留保です。

もしアベノミクスが100パーセントうまくいかなかった点を
挙げるならば、それは内部留保というものが増え、
賃金や物価の上昇につながらなかったことです。

簡単に言えば会社が払う人件費や配当に
おいて分配はされたのちに残るお金のことです。

会社は会社の生存のために内部留保を貯めますが、
大事なのは内部留保をなるべく多く投資に回し、
還元させるようなエコシステムの整備が
できていなかった現状を問うしかない。

・スタートアップ支援→大企業VCが利益を得ても内部留保に繋がらないか?
・スタートアップの雇用流動化に期待→失業・離職の増加となり、既存産業にも影響も

もちろんスタートアップの支援は大変大事ですし、
基本はVUCAという予測不可能な時代です。

明日、私がいなくなるかもしれないし、
明後日には1億円稼いでいるかもしれない。

明々後日にはホームレスになるかもしれない。

終身雇用や年功序列、年金等が危ぶまれる中で、
それを完全に壊すような真似を政府が主導することは
私はスタートアップというものを理由にすべきではないと
考えます。

もしスタートアップが国家や国民の利益が出ず、
一部の既得権益のみの利益となるならば、
その時はスタートアップ起業家が全滅しても
致し方ないでしょう。


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