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【映画感想】ミッシング/失くしたものはなんだったのか?

少し前ですが、石原さとみさんの演技が話題になりましたミッシングを観てきました!


・感想


 娘が失踪し、ヒステリックになる母親(石原さとみさん)
それを不器用ながら支えようとする父親(青木崇高さん)
犯人だと疑われる弟(森優作さん)
事件を報道する記者(中村倫也さん)らを中心に、それぞれが、ある意味「映画的奇跡」の起こらない現実にもがき苦しむ姿が観ているこちらの心臓を抉ってきます。

 客観的に淡々と進む容赦のないストーリーが、アンサンブル的に描かれ、母親じゃなくても、父親じゃなくても、誰かしらの状況に感情移入しながら心に響くものがあるのではないでしょうか。

 本当に、登場人物全員が、思う正義のまま、ありたい姿のままに行動できない現実の矛盾や実際の人間関係に起こる空気感がかなりリアルです。

 容赦のないストーリーに迫真の演技もすごかった。

 気がふれてしまった石原さとみさんの演技、対照的に静かな青木崇高さんの演技もコントラストが効いていてどうにもならない現実の歯がゆさを引き立てています。

 疑いの目を向けられる含みのある演技をされた森優作さんもすごかった。

 中村倫也さんが個人的にはストーリーの中で正義を貫きたいと思う姿勢が心の拠り所だったのですが、上司とのやり取り、後輩の昇進などでちょっとずつおかしくなっていく姿に、やはりズタズタに。。。。

・「missing」と言うタイトル


「missing」って「行方不明の」とか「欠けている」という意味ですよね。
居なくなったのは女児ですが、欠けていたのはなんだったのでしょうか。

 失踪の事件を巡ったストーリーではあるものの、描かれているのは、世間やメディアの在り方、ネットでの誹謗中傷についてなど。これについては、かなり考えさせられました。

 私たちは何を失くしてしまったのか、まだ持っているのか、できれば、失くしたくない。。。。「心」

 ずっとリアルで苦しい時間が続きますが、本当に、たまに、ちょっとだけ嬉しいなと思うことも起こる。

 そういう優しい希望も世の中にはまだあるんじゃないかと思える、そんな映画でした。

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