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noteの街でパン屋をひらいたら 〜有料記事との向き合い方〜

有料記事を買ってもらうことに、罪の意識を感じてしまう。

有料記事を投稿することで、人からどう思われるのか気になってしまう。

そんな時に僕は、noteの街でパン屋をひらくことを想像します。





先日初めて有料の小説を投稿しました。


文芸賞を受賞して出版社から商業出版することが大きな夢ではあるけれど、今自分にできることとして、noteなどを活用して個人で作品を販売する。

中途半端に趣味の延長で行うのではなく、副業として覚悟を決めて、責任を持って作家業を行う。

そう決心をして投稿した初めての有料記事でした。




しかし、覚悟を決めて、とは言ったものの、実際には自分の中に、有料記事を投稿することに対するためらいがどうしても存在しています。

あまり人に打ち明けることではないかもしれません。

作家として失格なのかもしれません。

それでも正直、迷いがないとは言えません。


まず「本当に値段に見合う作品なんだろうか?」という思考がよぎりますが、これは作品の質を高めていく他にないのかもしれません。

しかしそれ以外にも、様々な迷いがあります。

「今まで『友達同士』だったはずなのに、急に『金儲けの相手』として扱ったら、離れていってしまうんじゃないか」

「お知り合いの方が、作品自体に価値があると思っていなくても、よしみで買ってしまうんじゃないか」

「あるいはお知り合いの方が買わなかった場合、『買わなくてすみません』と思わせてしまうんじゃないか」

「『無理せず買いたいものを買って下さい』とは言うけれど、建前に思われるんじゃないか。実際、生活のためにも活動を続けていくためにも買ってもらわなきゃいけないんだし」

「新しく出会う方に対しても罪悪感がある。今までは『お友達になりましょう』と無邪気に思えていたが、『あわよくば買ってもらいたい』という下心が存在するのはたしかだ」

ネガティブな考えが心の奥底で渦巻きます。




そんな時、僕はnoteの街でパン屋をひらくことを想像します。







パン屋はきっとビルが立ち並ぶような中心街ではなく、商店街があるようなにぎやかなところでもなく、住宅街の一角、そんな街の片隅にあります。


街には色んな人がいます。

知らない人もたくさんいます。

僕のパンを食べてくれて仲良くなった方もいます。

僕と同じように、お店を開きたい、お店を開いた、という仲間もいます。

北海道のこと、子育てのことなど、共通の話題があって知り合った方もいます。

知り合いの知り合いだから知り合いになった方もいます。

きっかけはもう忘れたけれど知り合いになっていて、時々会釈を交わすような人もいます。


僕は今まで、「いつかパン屋を開きたいんです」と言いながら試作品を作ってはご近所の方達に無料で味見してもらっていました。

そして最近、家を改装して念願のパン屋を開き、パンに値段を付けて売ることを始めました。




僕はパン屋です。

だから僕はパンを売ります。

パンを買ってくれたらとても嬉しいです。

パンを買ってくれなければ辛いです。

だからパンの宣伝をたくさんします。




でも街の人々と、パン屋である僕との付き合い方は、色んな形があっていいと思います。


パン屋のことを知らない人も大勢いるでしょう。

横目に見ながら通り過ぎていく人もいるでしょう。

ちょっと立ち寄って、何も買わずに出て行く人もいるでしょう。

あるいは……。


記事を読んで下さっている方々もぜひ僕を街のパン屋だと思って想像してみて下さい。

皆さんはパン屋の僕とどんな関係でしょうか。


ここのパンが美味しいから買う。
そんな常連客がいらっしゃったら嬉しいです。

色々なパン屋を巡っている。
そんな一見さんにも感謝です。

同じパン屋として、ライバル店の調査のためにパンを買う。
切磋琢磨できたら嬉しいです。

パンのことは詳しくないけど、お知り合いだからパンを買う。
それもとてもありがたいこと。

パン屋の主人のことはよく知らないけど、パン屋の看板猫が好きだから、ついでにパンを買う。
それもとてもありがたい。

パンは好きじゃないから買わないけど、これからも仲良くしていたい。
それもまた、本当にありがたいことだと思うんです。





そんな風に、僕はnoteの街でパン屋をひらくことを想像します。

そして、有料小説を投稿すること、色々な関係性の方がいることに、心の中で頷きます。




もしかしたら僕の社会経験が乏しいだけで、多くの方にとっては当たり前の感覚なのかもしれませんね。




でも小説だと不安になって、パン屋だと納得できるのは何故なんでしょう。

有料小説を投稿する際には営業許可が要る訳でもないからでしょうか。

パンには明らかに原価があり、生きる上で不可欠な食料だけど、エンタメはそうではなく、価値を感じるかどうかは人によるところが大きいからでしょうか。

考え始めるとまた小説を売ることの難しさを感じてしまいます。




noteの街でパン屋をひらく。

都合のいい言い訳なのかもしれません。

迷いがゼロになることはありません。

それでも、作家になりたいから、自分を納得させて、前に進んでいきたいと思います。




皆さん、それぞれの付き合い方で構いませんので、これからもどうぞよろしくお願いします。


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