ある王国の海辺の街のものがたり@WAO
こんばんは。フードイラストレーターのyuckyです。
自分が「食べたもの」に「物語」を組み合わせた【食べ物語】という作品を発信
しています。四回目の投稿は、神奈川県横須賀市にあリますWAOで頂いたペスカトーレを作品にしました。今回は、一緒にお店に行ったお友達の@goodmorningbird https://note.com/goodmorningbird/と共同で作品を作りました。お友達が物語を、私がイラストを描きました。
いつもとは違う食べ物語の世界をぜひ楽しんでください^^
見てくれた、読んでくれた方のお腹と心が満たされますように。
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ある王国の海辺の街のものがたり。
海辺の街へ、ある日、森の国のお姫様が訪ねて来ました。森の国のお姫様は、初めて、海と言うものを見ました。
なんて青くて、なんて大きいんでしょう!
お姫様はいっぺんで海が大好きになりました。けれどもお姫様は、お食事に出てきた、お魚がどうしても好きになれません。
だって森の王国ではお魚なんて見たことがなかったんですもの。
お姫様は、とぼとぼと海辺のお散歩にでかけました。お腹はペコペコです。けれども海辺のお店にはお魚しか売られていません。お姫様はいよいよ心細くなってきました。
しばらく歩くと、白い小さなおうちを見つけました。おうちの窓からは、白い湯気がでていて、なんだか美味しそうな良い匂いがします。
思わずお姫様は、おうちの玄関の扉をそっと開けました。すると、おうちの中は、美味しそうな匂いだけではなく…懐かしい森の木々の香りでいっぱいだったのです。
なんてこと、ここはふるさとの森の匂いもするわ!
お姫様はホッとしました。そうして、ふらふらとおうちの中へ入ってしまいました。
ーこの美味しそうな匂いは、何の匂いかしら?
匂いに導かれるままに次の扉を開くと、広い部屋の一面の窓の向こうに、青い海が広がっていました。
わあ、とお姫様が歓声をあげると、その声に気付いて、部屋の奥からぴょこん、と少年が顔をだしました。真っ黒に日焼けした、お姫様と同じ年頃の少年です。
どうしたの?きみはだれ?
お姫様は恥ずかしくなって、けれども素直にこういいました。
私は森の国からきたの。お腹がぺこぺこで、そうしたらとてもいい香りがして、思わず入ってしまってごめんなさい。あのう、これは何の匂い?
少年はにっこりして、
ここは、海辺のとっておきのレストランだよ。今つくっている料理は「ペスカトーレ」と言うパスタなんだ。食べてみるかい?
と、その料理を出してくれました。
お姫様目を丸くしました。だってそこには、お姫様が見たこともないような海の食材がいっぱいだったのです。
お姫様の手のひらよりも大きなエビ。黒々と光って強そうなムール貝。白い輪っかみたいなイカは、指を入れて引いたらよく飛びそうです。けれどもなんて良い匂いなのでしょう。
お姫様は恐る恐る、料理を口に運びました。
、、、おいしい!
思わず声が出ます。
こんなの森の王国では食べたことがないわ…でも不思議ね、なんだかとても懐かしいの。この味も、この場所も。
少年も、思わず、こうつぶやきました。
君は森の国から来たんだよね。君が食べているペスカトーレのソースに使っているトマトは、ずっと遠い森の国から来たんだ。それにこのおうちの木はぜんぶ、森の国から運ばれてきたんだよ。
少年は優しく微笑みました。
僕は毎日、ここで木の香りをかぎながら、トマトを煮込みながら、森の国の子はどんな子なんだろうって思っていたんだ。
…だから…僕はずっと君が来るのを待っていたんだよ。
お姫様はさっきよりもさらに目を丸くして、それから、うれしくて、幸せで、にっこりと笑いました。
ここは海辺の小さなレストラン。そしてここは優しい美味しい匂いのする場所。
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このお話は全てフィクションですが、
このレストランもこのメニューも実在します。ぜひ食べに行ってみてはいかがでしょうか。
ペスカトーレが食べたくなってきた〜^^
Restaurant WAO
神奈川県横須賀市津久井1-3-6
https://www.wao-bakery.com
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