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映画「変な家」を観ました(ネタバレあり感想)

 こんにちは、雪乃です。映画「変な家」観てきました。もともと原作者である雨穴さんのファンで、楽しみにしていた今回の映画。

 というわけでネタバレ感想です。
















 「変な家」には
・オモコロに掲載された記事版
・記事の動画版
・ウェブ記事に加筆される形で出版された書籍版
・書籍版を原作とするコミカライズ版
の4つの形態があり、今回の映画は「書籍版を原作としつつ再構成された、映画版としての『変な家』」といった感じでした。

 会話と間取り図をメインにして進んでいく書籍版がどのように映画化されるのか気になっていましたが、原作よりホラー感が増し、また一部の設定や登場人物がカットされるなど、1本の映画として見やすいように再構成されていた印象を抱きました。

 大きな物語の軸は原作(書籍版)に添いつつも、主な違いとしては、

・映画の主人公・雨宮の職業ははウェブライターではなく「雨男」という名前で活動するオカルト系YouTuber

・最初に間取りの相談をする柳岡は、原作では著者の知人だが映画では雨宮のマネージャー

・柚希の従兄弟である洋一の死にまつわるエピソードは丸々カット

・「左手供養」が始まるきっかけとなった女性・潮は原作では女中から片淵家当主の本妻になった女性であるのに対し、映画では当主に気に入られた女中という設定。当主の子どもを妊娠したことで当主の妻から恨みを買ったことがすべての始まりになっている。

・原作では明治〜大正期の片淵家の複雑なお家騒動が展開されるが、映画ではほとんどカットされ「左手供養」に片淵家が囚われるまでの過程がよりシンプルなものに変更。

・原作では「蘭鏡」という呪術師が「左手供養」を片淵家に伝授している。この「蘭鏡」はお家騒動の過程で片淵家に意図的に送り込まれた存在だが、片淵家のお家騒動のくだりが大幅に変更されたため、蘭鏡の名前は登場せず単に「霊媒師に相談したら左手供養を伝授された」ことになっている。

・原作では柚希の姉・綾乃の夫である慶太がすべてを終わらせるために片淵家の人間を殺害し自首するが、映画では片淵家の屋敷が燃えたあと慶太は行方不明に……というラスト。

 片淵家まわりの人間関係はシンプルになっていましたが、それでもなお「とある名家が血に塗れた因習に囚われ続ける」描写の恐ろしさは映画版でも健在。かつ映像ならではの表現が加わることにより、ホラー要素はより奥行きのある演出になっていて良かったです。
 また柚希と綾乃の母である喜江が影で動いていたことを思わせるラストの後味の悪さも原作から引き継がれていたため、「『変な家』の映画化」として原作ファンとしても十分満足できるものになっていたと思います。

 また「変な家」を象徴するものといえば「間取り」。記事や書籍ではどうしても二次元の間取り図のみで展開されていた「変な家」の「変さ」が実際に立体物として作られたことで視覚的にわかりやすくなっていました。この点については空間把握能力のない私としては大変ありがたかったです。マジで2次元の間取り図を脳内で3次元の家に変換するのが苦手なので……。

 片淵家の本家にある左手供養のための仏壇やそこに供えられた左手も生々しく、アクションシーンや緊迫感のあるシーンもあり、映像としても見応えがありました。雨宮のYouTuberとしての設定上、彼のハンディカメラで撮られた映像が時折混じる演出も、一見突飛に見える「変な家」の世界にリアルな温度を持たせていたように感じます。

 映画版の主人公である雨宮はあくまで「原作者をベースにした映画オリジナルキャラクター」なため、より等身大の人間らしい一面が強調されていました。こっちの世界の「雨男」さんは糸ようじで矢を打ったり肉を干したりミニデカ盛りを作ったり正月が来るたびにヤバいおせちの動画を上げたりとかはしてなさそうだな……。

 あと個人的に、エンドロールでオモコロの名前を見つけた瞬間にテンションが上がりました。馴染みのない土地で同郷の人を見つけたような嬉しさがあったよ!!!

 映画「変な家」、とても面白かったです。

 本日もお付き合いいただきありがとうございました。

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