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ほろほろ鳥の卵は醤油いらず

友人宅を訪問した際、玄関にどんと段ボール箱があった。
無造作に開けられた段ボールの中をなんとはなしにのぞいてみると、小ぶりの卵たち。

日本全国にさまざまな食関連の知り合いがいる友人宅には見たことがない食材が盛りだくさん。普通の卵ではないだろう、なんだろうとよくよく見てみると、先が細いしずく型。

手にのせてみると一目瞭然。

ツンツンとつついてみるとものすごく固い。

すると友人が
「おお、気づいたな!ほろほろ鳥の卵だよ。トリじゃなくてチョウと読む」

と読み方にものすごい力が入っていたが、そんなことよりもほろほろ鳥ってなんだっけ?どこかで見た気がするけれど、すぐにビジュアルが思い出せない時のグーグル先生

体はキジっぽく、ほっぺの赤いビロビロがニワトリっぽい。

と写真をまじまじとみていたら、やはりキジやニワトリと近い関係なんだとか。それよりもちょっと腹が立ったのがオスの行動。

メスと交尾して、無事に卵を産んだらメスはひたすら卵をあたため、その間オスは別のメスと交尾するんだそう。人間界でこんなことやったらめちゃくちゃたたかれるぞ!まあ、ひながかえるとオスも協力するらしいが、卵を温め続けているメスは目の前で夫が別のメスといちゃこらやっていたらどんな気持ちなんだろか。

「ほろほろ鳥の繁殖のためならわたしの嫉妬なんて小さいもの。ひながかえったら夫は帰ってくるもの」

と寛大な心をもったメスばかりなのだろうか。

とほろほろ鳥のメスが懸命に守ったであろう卵を見つめながらメスの切ない心の内を思う。

とかなんとかいいつつも結局食べるための卵なわけで、早速、半熟卵焼きでいただくことに。

持ってさわっただけでもわかったが相当に固い。
普通の卵はトントンと軽く台所のシンクに叩くぐらいで割れるのだが、ほろほろ鳥は、ガンガンと打ち付けるようにしないと割れない。しかも小さいからあまり激しくやってしまうとあやうく黄身が割れてしまうので力加減が難しいところ。

見た目はやや黄身の色が濃いかなというくらいでさほど変わらない。

早速、ご飯の上にポンとおいてしょうゆをたらそうとすると

「ノーーーーン!まずはそのままで」

とのことで、味しないでしょうよと思いつつも、黄身を割り、箸にとろりと絡ませ一口。

ねっとりした食感、濃厚な味わい。
そしてほんのりあま~い!

Lサイズの卵に比べると見た目は小さいものの、濃厚な味わいだからか食べ応えはある。が、かなり希少なものなので、普通の卵の倍のお値段。

うまいはうまいんだが、その値段を払って、わざわざほろほろ鳥の卵をお取り寄せして食べるかどうかと聞かれれば、ない。

ただでさえ、鳥インフルかなんかで卵の値段が高騰し以前よりも気軽にオムレツを作れなくなっているのに、ほろほろ鳥にしたらオムレツなんてもう一生食べられない。

ということで、生きている間にもうほろほろ鳥が食べられないかもと思い、友人から6個頂戴し、スーツケースに詰めて持ち帰る。

生の卵をスーツケースにいれるなんて自殺行為だが、さすがガンガンたたいて卵をわるほろほろ鳥。新幹線下車時、スーツケースを棚から落としてしまい、あわやほろほろ鳥の卵が砕けたか!と心配しながらスーツケースをコロコロ転がし帰宅。

6個すべて無傷。持ち帰り用にはほろほろ鳥ですな。

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