映画『劇場』
Amazonプライムで又吉直樹原作の『劇場』を視聴。
もともと純文学は好みではなく、又吉の『火花』は読んでみたけれど、やっぱり好みではなかった。
ただ、『劇場』はキャストに惹かれて観てみた。
観ていてまず思ったのは、当たり前だけど、
男が描く男だし、男が描いた女だなぁ、
というものだった。
又吉は「恋愛が分からないからこそ書きたかった」と語っているようで、「うん、そうだろうなぁ」と思った。
まさに恋愛をしたことがない男が空想の中で生み出した理想の女性像に見えた。
沙希(松岡茉優)は、明るく朗らかで、どうしようもない演劇人永田(山﨑賢人)のことを、いつもまるごと受け止め、寄り添ってくれていた。
けれど、永田と来たら、沙希の家に転がりこんでるくせに、家賃も払わず自分の好きなようにお金を使い、「光熱費だけでも払ってくれる?」という沙希の申し出にも「沙希ちゃんの家の光熱費をなんで俺が払うの?」と滅茶苦茶な受け答え。それにたいしても「それもそうだよねー」と笑ってくれる沙希。
浮気をして、後ろめたさを隠すためにプレゼントを買って帰宅。そのプレゼントにいたく感動する沙希を見て満足する永田。
自分の読みたい本を買って帰ったら、沙希が同じものを買っていた。
「俺も買った。買うなら言ってくれたら良かったのに。同じもの二冊ももったいない。」
沙希は永田を喜ばせる為に買ってくれたとわかっていたのに、そんな余計なことを、と沙希に苛立つ永田。
自分が創作に打ち込みたくなったら、沙希の存在を疎ましく思いアパートを借りて出ていく。
沙希からのメールには何週間も返信しないくせに、自分のタイミングで勝手に会いに行ったり、沙希が他の男に取られそうになる気配を察すると、急に沙希に優しくなったり気を使ったりする。
とにかく永田は子供で自分勝手に振る舞う。それをいつも受け止め、許してくれる沙希。
もうね、つまりは母親なんですよ。
どんなにわがまま言っても、時には冷たくあしらっても、母親は我が子を見捨てないと。
どんなに好き勝手遊んでも、傷ついた時や寂しくなった時に帰れる場所。そんな風に沙希を「あの場所」に縛り付けてた。
観ていて、何度「なんで別れないの!?早くこんなのと別れなよ!」って思ったか。
最後には永田は気付けたから、そこは救いではあったけども。
そして、おそらくハッピーエンドではなかったという部分も良かったかな。
気付いた時にはもう遅かった。そんな終わり方。
永田が改心してハッピーエンド🎵みたいな感じにならなかったのは良かった。
沙希が永田から解放されて良かった。
そして最後に明かされた一番のネタバレは書かないでおきますが…
なるほどね、と思いました。
面白い仕掛けだったと思います。
はじめは眉唾物みたいなスタンスで観ていましたが、最後には見応え感じれたかなと思います。
とにかく序盤の沙希が、ほんとこんな女子どこにいるんだよ!ってくらい、男の頭の中から出てきたアニメキャラみたいな感じに見えました!
以上。
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