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NWSL Championship 準優勝〜成長と発展を感じた2019シーズン


ご存じない方もいらっしゃるかと思うので、まず。私はアメリカ女子プロサッカーリーグ、通称"NWSL"(National Women's Soccer League)に所属するシカゴレッドスターズというチームでプレーしています。


私自身は今年で NWSL 3シーズン目を迎えましたが、チームは今年クラブ創設以来初めてチャンピオンシップ準決勝の壁を突破し、決勝進出を果たしました。ただ、決勝は0-4で敗戦し、準優勝で今シーズンの幕が閉じました。 

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チャンピオンシップの盛り上がりは、想像以上にすごかったです。W杯イヤーだったということも影響し、チケットは完売。滞在先のホテルもチャンピオンシップのロゴでエレベータやフロアがデコレーションされ、ルームキーもチャンピオンシップ仕様でした。これには流石にビックリ。

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他にもNIKEから選手全員にギフトパッケージ(服やシューズなど)が提供されたり、NIKEアスリートには名前と日付が入ったスパイクが提供されたりと(男子の選手とかは多分こういうの当たり前なのかもしれませんが)、試合以外の部分でもファイナリストとして本当にリスペクトある扱いをして頂きました。

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これってファイナリストにならないと見えないことで、それだけ決勝戦は特別で価値のあることだということを認識させられましたし、アメリカ女子サッカー選手がなぜこれほどまでにスーパースターとしてかっこよく映るのか、という部分での「スタンダード」を感じることができました。


ちなみにNWSLのレギュレーションですが、全9チームで構成され、リーグ戦総当たり3回り計24試合で、上位4チームで最後にトーナメント戦(チャンピオンシップ)が行われます。

今シーズン、シカゴは2位でフィニッシュし、チャンピオンシッププレイオフ(準決勝)出場権を獲得。2位でフィニッシュしたので準決勝はホーム開催というアドバンテージ。


準決勝のポートランド戦は、今までの私のサッカー人生の中でベスト10には入る試合でした。というのも、試合結果と内容だけでは語れないものがそこにはたくさんあって、サッカーの美しさがスタジアム全体に溢れかえっていたからです。

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この試合、サッカー人生で初めてゴール裏のサポーターと会場にいた全ての人たちが「味方だ!」って感じた試合でした。

味方っていう表現が的確かどうかちょっと微妙なんですけど、仲間というか同士というか、一緒に試合を作る協力者?という表現の方がいいのか・・・とにもかくにも、そのような感覚を抱きました。


結構長いこと、ピッチの上でのプレーが全てだと思ってサッカー人生を歩んできたんですけど(サポーターの声援とかあまり耳に入ってなかったというか・・・)、去年あたりから感じ方・捉え方が少しずつ変わり始めて、今年のW杯あたりを境に「パフォーマンスは外部からの影響を意外と受ける」という感覚がどんどん強くなっていきました。


おそらくあまり観客の入ったスタジアムで普段プレーをしてこなかったということも要因の一つにあるとは思います。


日本にいた時は入っても1000人程度。ドイツの時も同じくらいだったけど入る時は2〜3000人近くいく時もあったかなというほどだったので、アメリカにきてからはほとんどの試合で4000人以上入るし、特にホームゲームでプレーするときの気持ち良さは格別に感じました。

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この試合は9218人を記録。やっぱりこれくらい多いとスタジアムに溢れるエナジーレベルは変わってくるし、大歓声に包まれると自分のプレーの熱量も自然と上がることを実感しました。


決勝は完全アウェイで、ボール持ってもチャンスになっても大歓声にならなかったので、なんだこの異様な空気?という感じだったので、できれば中立開催してほしいなって思ってしまいました(笑)

しかも真冬のシカゴから真夏のノースカロライナへの転換は、思った以上にしんどかったです・・・(アメリカって大きいなと思った瞬間その1)


ただ、本当にシカゴのローカルサポーターはクレイジーで熱い。
ドラムを持ち込んで演奏するスタイルはアメリカのスタイルなのか?

ちなみに私のチャントはこの曲です↓

"Yuki Nagasato Yuki Nagasato Yuki Nagasato with baseball bat!! "

とてもCatchy なので、チームでみんな口ずさんでます・・・特にサムはほぼ毎日といっていいほど歌ってくれました(笑)


最後は負けてしまってちょっと後味悪い幕切れとなってしまいましたが、今シーズン、自分の成長もチームの成長も、そしてクラブの成長も大きく感じたシーズンでした。


ピッチ内外は常にリンクしていて、それが上手く噛み合うと大きな力になる。そんなことを学んだ2019年でした。


32歳を迎えた今年、足も速くなったし(チーム認定)、サイドハーフをやるようになってできることも増えたし、チームメイトとのコンビネーションも良くなってきたし、昨年以上に得点に絡むこともできました(8得点8アシスト)。外国人としての仕事は最低限果たせたかな・・・ただ、まだまだ成長しなきゃなって思わさせてくれたシーズンでもありました。

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今年は大きな怪我もなく、シーズン通して本当に良い状態で戦うことができました。積み重ねてきたトレーニングの甲斐あってリカバリー能力も上がり、ちょいちょい痛みが出るところもありましたが、一度もマッサージや特別な治療をを受けることなく全て自己管理で乗り越えることができました(中野さん、本当にありがとうございました)。

なるべく自分以外に依存しないような形をとれるようにと心がけて、何か問題が起きた時に環境が変わってもあまり処置に困らないようにし、問題が大きくならないよう、それを最小限に留められるよう努めました。


最大パフォーマンスをシーズン通して引き出すためには、リカバリー能力を上げることが重要だということを今シーズンを通して学びました。これによって、毎週試合後のオフ明けでもサブ組と一緒に強度の高いトレーニングに参加することができ、自分を成長させるためのプラスαの機会を得ることができました。

個人の最大パフォーマンスを引き出すためのアプローチは個人それぞれ違って当然だと思うし、自分のやり方を見つけられるかってものすごく大事で、その過程における自分の身体を研究することに終わりはなく、ある一定量となるベースを持ちながらも、新たなことを常に試し続けることで未知に触れることができる。

歳を重ねるたびに、まだまだ上達できるんだなってことを実感しています。


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今年のサッカーシーズンは終わりましたが、人生のシーズンは死ぬまで永遠に続きます。学びを止めることなく、その過程における苦楽を楽しみながら、さらなる高みを目指して歩んでいきたいと思います。


最後に、今シーズン日本から応援してくださったみなさま、ありがとうございました。もし、私のプレーしている姿が見たいよ!という方がいましたら、こちらのYouTubeの再生リストをご覧ください。今シーズン全26試合のプレー映像が編集されています。



本当にいろんな変化があった2019シーズンでした。私自身もびっくりすることたくさんだったのですが、一番驚いていたのは私のファン歴32年の母 美智子だったっていうことはここだけの話。


ではでは。


みんなが協力しあって生きていける社会へ。愛と共感力で、豊かな世界を創っていきたい。サッカーが私にもたらしてくれた恩恵を、今度は世界に還元していきたいです。