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オープンDの音色を追って　20

野添　梨麻

　（約5分で読めます）
　先日、駅ビルで買い物をしていると、BGMで覚えのある曲が聞こえてきました。
「これはGAROが歌っていた曲！」
　The Beatlesの『Because』。アルバム『GARO2』で、日本語詞でカバーされたものです。
　アレンジもほとんど同じなのですぐにわかりました。
　原曲を聴くと、GARO版も英語のままで歌った方が良かったんじゃないかと思いました。
　そんな感じで、どこにいても何をしていてもGAROを捜している私。
　また新たな謎を見つけてしまいました。

　その前に、以前フォークジャンボリーのCDをヤフオクで入手したときの謎が自分なりの解決をみたので、先にそのお話を。
　GAROの三人のステージでの並び順の件です。
　通常の並びは、客席から見て、右がトミー。中央がマーク。左がボーカルです。
　この並びは、全活動期間を通して変わることはなかったとされています（参照：ホームページ/えとせとらレコード→GARO ガロ/コンプリート・ディスコグラフィー→1971年全日本フォーク・ジャンボリー音源　のページ）。
　ところが、1971年のフォークジャンボリーでは、右チャンネルにボーカルの声、左チャンネルにトミーの声が入っているので、立ち位置が違っていたのでは？　という謎がありました。
　その後、GARO BOXの解説書を見ていると、こんな写真がありました。
　マークが下手、トミーが真ん中で、二人はギターを持たず一本のスタンドマイクで歌っており、ボーカルだけがギターを持って上手で歌っています。

GARO BOX 解説書

　これは何の写真？
　イレギュラーもいいところです。
　立ち位置もそうですし、何よりマークとトミーがギターを持たず、ボーカルだけがギター？
　マークとトミーにとって、ギターは武士の刀に相当するものでしょう。それを持っていないとは。
　しかし、こういう写真があるので、GAROの並び順は絶対ではなかったのだろうな、と思いました。持つのがアコギなのかエレキなのかでも、アンプとか、会場の都合とかで、違う立ち位置になることはあっただろうな。
　そもそもギターを持たせてもらえていない場合もあるし。
　ということで、並び順の謎には「違うこともある」と自分なりの決着をつけました。

　新しい謎というのは『どこまでも駆けてゆきたい』（NHKみんなのうた）問題です。
　この曲に関しては「好きな歌」として記憶に残ってはいたのですが、誰が歌っているのかについては思いをめぐらせたことがありませんでした。
　GAROファンになって初めて「あの素敵な曲はGAROだったのか！」と知った次第です。
　そして、この曲は長らく音源が見つからなかったらしく、GARO BOXのDISC 9　アルバム未収録曲＋未発売曲　に収録されたのも「放送を録音したテープを元にしており、お聴き苦しい箇所もございます」となっています。
　ところがその後音源が発見されて、CD『NHKみんなのうた 60 アニバーサリー・ベスト～アイスクリームの歌～』に収録されました。
　もちろんこの一曲のために買いましたよ。
　詞/谷川俊太郎　曲/冨田勲　と豪華な布陣です。
　イントロ無しでいきなり歌い出すスタイル。ハモりもバッチリ聞けて、途中のソロ部分を一番はトミー、二番はボーカルが担当する、秋の情景を描いた美しい曲です。
　1973年の作品なので、音源自体はモノラル。
　そして、いつものようにGARO情報を求めてネットをうろついていたときに、その記述に出会ったのです。
『どこまでも駆けてゆきたい』に、三番があったと。
　なんだってーー!?

　それは個人blogの記事でした。
　しかもだいぶ前の記事だったので、だめでもともと、どこで三番を聴いたのかを訊ねるコメントを書き込ませてもらいました。
　すると親切なblog主さんがお返事をくださったのです。
　やはり大昔のことなのでハッキリした記憶はない、と。
　……そうよな。50年前やもんな。
　そう思いながら後日図書館をブラブラしていると、子どもの本のコーナーで『みんなのうた』の楽譜集（NHK出版）を発見。
　これはっ。
　早速、片っ端から掲載曲をチェック。
　すると、ありました。
　第13集に『そして君は』。第15集に『どこまでも駆けてゆきたい』。　

NHKみんなのうた第15集

　楽譜を見ると、本当に『どこまでも駆けてゆきたい』に三番があるではありませんか！
　びっくりだー！
　CDに収録された『どこまでも駆けてゆきたい』のタイムは2:21です。
『みんなのうた』は5分番組で2曲を放送しますから、2:21にプラスして三番まで歌っていると長過ぎますね。
　ということは、三番は、作られはしたけれど、レコーディングでは採用されなかった？
　それとも本当の音源には三番まであって、テレビ用に二番までの版が編集された？
　今となってはわかりませんが、三番はソロ部分をマークが歌っていたのかな。
　とか思うと、それはそれで楽しいような……。
　聴きたかったな。
　
　それにしても、GAROはNHKでの仕事を思った以上にたくさんしていますね。
『紅白歌合戦』や『レッツゴーヤング』に出ていますし、『みんなのうた』『あなたのメロディー』にも。
　時代的に少し前のグループサウンズは「長髪だから」とあまりNHKには出られなかったのに。
　GAROがあまりにも人気があったから、そんなことも言ってられなくなったんですねきっと。

『レッツゴーヤング』のパイロット版出演時のGARO

『ロマンス』を歌っているこの写真は、NHKアーカイブスで見られます。　https://www.nhk.or.jp/archives/hakkutsu/news/detail175.html
（つづく）
（文中敬称略）

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