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オープンDの音色を追って 15

(約5分半で読めます)

 まずは御礼です。
 GAROについて書いているうちに、いろいろな方に読んでいただけました。
 そしてGAROファンの先輩方とお知り合いになることもできました。
 本当にありがとうございます。

ありがとうございます

 今日はアルバム『GARO4』の感想です。

『ロマンス』
 作詞:山上路夫 作曲:堀内護 編曲:大野克夫
 ファンになる前は、GAROの曲といえば『学生街の喫茶店』しか知らないと思っていました。
 ところが、GAROを好きになってから聴くと、思いのほか「これもGAROだったのか!」と驚くことが多かったのです。
 明治チェルシーのCMソング。NHK『みんなのうた』で好きだった、題名も知らない歌(のちに『どこまでも駆けてゆきたい』だと判明)。
 そしてこの『ロマンス』です。
 改めて『ロマンス』を聴いたとき「すっかり忘れていたけど、この曲大好きだったわ」と思い出したのです。
 約3分の中に、甘さ、苦さ、きらめき、せつなさ等々、いろいろな要素が多面体になっているようで、まさに宝石のような一曲だと思います。
 マークの甘い声で始まり、サビの盛り上がるハーモニー。そのあと少し物悲しい感じに落ち着き、ボーカルのスパイシーな声で締める。この構成が素晴らしい。
 この頃のGAROは『学生街の喫茶店』が大ヒットし、その続編ともいえる『君の誕生日』も一位を獲り、次のシングルは? と注目されていました。
『君の誕生日』はラジオ番組のファン投票で選ばれたシングル曲です。
 続く『ロマンス』も、コンペで決まったそうです。
 そのときのことを振り返って、マークはこう言っています。

・多忙な時期で、コンサートが月に20本くらいあった。テレビ出演もしていたので、曲を作る時間がなかった。
・そこで、新幹線の車中で楽器を使わず頭の中で作曲をした。
・コンペにはGAROの三人と、すぎやまこういち、村井邦彦が一曲ずつを持ち寄った。
・すぎやまこういちは『春のボート』。村井邦彦は『一枚の楽譜』。『一枚の楽譜』は、この時点ではバラードだった。
・トミーとボーカルがどんな曲を提出したのかは覚えていない。
・自分の作品が選ばれたのは非常に嬉しかった。

レジェンド・オブ・ガロ ~マークが語る5人でコンペ! 宮崎サンシャインFM「MARK&CASH レジェンド・オブ・ロマンス」(2008)

 もともとGAROの音楽活動はすべてメンバーのオリジナル曲で、という契約だったはずなので、そこに立ち返っただけなのですが、喜ばなければならないのが切ないですね。
 詞がつく前のデモテープでマンドリンを取り入れたアレンジがなされており、早い段階でほとんど完成していることがわかります。
 追いつめられてこんな美しい曲が作れるなんて、やはり天才ですね。
 トミーとボーカルがどんな曲を作っていたのかもとても気になります。

『大空の詩』
 作詞:大橋一枝 作曲:村井邦彦 編曲:大野克夫・村井邦彦
 トミーのソロ曲? そんなバカな。どこかにメンバーが参加しているはず。そう思って聞き直しましたが、どうもソロなようです。
『地球はメリー・ゴーランド』のときのように、ゆったりと歌っています。

『君の肖像』
 作詞:山上路夫 作曲/編曲:すぎやまこういち
『学生街の喫茶店』の次のシングル候補として、ラジオでファン投票が行われた曲。
 レコーディング時にボーカルが入院していたので、トミーとマークで歌っています。
 トミーが歌とエレキギターを担当。マークはコーラスを少し。
 アルバム『GARO4』のプロデューサーはミッキー・カーティスですが、この曲と後出の『憶えているかい』だけは村井邦彦プロデュースです。

『朝・昼・夜』
 作詞:山上路夫 作曲:村井邦彦 編曲:大野克夫
 やっとボーカルの番が来ました。
 淡々と「あなた」がいない虚しさを歌っています。
 オリジナルは1969年の村井邦彦のシングルだそうです。

『二人だけの昼下り』
 作詞:山上路夫 作曲:すぎやまこういち 編曲:大野克夫
 最初に聞いた時、ビックリしました。
 途中が輪唱になっているからです。
 輪唱なんて、子どもの頃『静かな湖畔』や『かえるの合唱』くらいでしか聞いたことがありません。
 それをこんなにカッコ良くハモりにつなげられるGAROはすごい。
 歌詞がモラハラ彼氏みたいでほんのり怖いです。

『二人は友達』
 作詞:山上路夫 作曲:日高富明 編曲:大野克夫
 ついにメンバーの手掛けた曲が来ました。
 トミーがこぶしをまわしたり泣きを入れたりちょっと後ノリで歌ったりして演歌調です。なぜでしょうか。

『憶えているかい』
 作詞:山上路夫 作曲:村井邦彦 編曲:有馬すゝむ
 これも『学生街…』後続候補曲。なので時期的にボーカルは不参加。
 トミーのゆったりやさしい系の歌です。

『恋人』
 作詞/作曲:大野真澄 編曲:大野克夫
 ボーカルが作詞作曲!
 恋人に薔薇の花を捧げるロマンティックな歌。
 あおい輝彦の『あなただけを』(作詞がボーカル)でも思ったのですが、ボーカルってロマンティストですよね。良い。

『踊り人形』
 作詞:大橋一枝 作曲:堀内護 編曲:大野克夫
 おそらくGAROの曲で唯一のDoo-wopではないかと。
 こんな曲を作って歌いこなしてエレキギターも。本当にマークって器用ですね。

『一枚の楽譜』
 作詞:山上路夫 作曲:村井邦彦 編曲:大野克夫
『ロマンス』の次のシングルはこれになりました。
 まるっきりGSな曲調を、ほとんどトミーのソロで。
 デモ時にはバラードだったものを大野克夫判断でアップテンポに。
 B面が『憶えているかい』なので、トミーfeaturingシングルです。
 村井邦彦がGSブームを懐かしんで作ったのか、はたまたGS用に作ってあった曲のお蔵出しなのか。
 トミーをメインボーカルに、ということなら、作詞がボーカルで作曲がトミーの『惑』の方が良かった。絶対にその方が良かった。
『惑』が世に出たのはこのアルバムから一年ほど後なので、まだ出来ていなかった曲かもしれないけれど、あれならトミーも心おきなくギターが弾けるし!
 皆さんにもぜひ、デレク&ザ・ドミノスな『惑』を聴いていただきたい。

 この『GARO4』で「歌謡曲路線になってしまった」ということで、当時ファンだったギター少年たちが離れていったようです。
 残念ですが、むべなるかな、という気はします。
 決して悪くはないのですが、ファーストアルバムではあんなにハモってギターも存分に弾いていたのに……どうしちゃったの? という感じです。

(つづく)
(文中敬称略)

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