見出し画像

眠らない花市場へ

部屋を片付けたから、花を飾ることにした。でも、この街のどこで、花を買おうか。
 
 
近所のスーパーにあった花は、いかにもスーパーというかんじで、寂しいかんじだった。
 
想像以上に大規模に店をかまえていたユニクロには、ユニクロフラワーまであって驚いたけれど。せっかくホーチミンに来てはじめての花が、ユニクロフラワーというのも、味気ない。
 
 
「ホーチミン 花」で調べてみる。花市場があるらしい。花を市場で買うという発想はなかった。
 
しかも、店の数は110店舗以上、私と同い年の1987年に誕生した24時間営業の「眠らない花市場」らしい。
 
 
Googleマップで調べると、家から徒歩15分。こんなに近くに、たくさんの花があったなんて。
 
用事の帰りに寄って、そのまま歩いて家に帰ることにする。
 
 
午後4時半、出かけた先からタクシーアプリgrabで、バイクタクシーを呼ぶ。迎えにきたバイクの背にのり、花市場に向かう。
 
 
夕方の風がきもちいい。よくぶつからないでいられるなというジャンクションを越えて、バイクが少し細い道へはいると、両脇が華やかになった。

この道にずっと花屋がつづいているらしい。「このへん?」というように、運転手が振り返る。お礼を言って、バイクを降りる。
 
業者におろしたり、セレモニー用の花もここで調達されているようで、立派な花もたくさんある。

花だけではなく、葉っぱもある。ベトナムらしい、ハスの花も。お供え用だろうか。菊系の花が多い。 

道の横にあるさらに細い道も、また花屋通りだ。

ダリアのように大きめな菊もいいし、梅もいい。ベトナムのおしゃれカフェでは、よく水色の花瓶に赤い梅が飾ってあって、いつもかわいいと思っていた。せっかくなら、これをマネしたい。

でも、花びらが大きいほうが、家にお花が来たかんじがよりするかなと、路地を行ったり来たりする。
 
見上げると、梅と似た色で花びらがある花があった。

アプリによると、vandaという蘭らしい

眠らない花市場とはいえ、もう夕方だからだろうか。疲れた様子で店の前で座っていた男性に、値段を聞く。男性は店の奥にいる女性に値段を聞いているようだ。天井の花を調整している女性が、手を止めずに答える。
 
男性が、スマホの電卓に値段をいれる。一束70,000ベトナムドン。420円くらいだ。
 
 
そういえば、ここでの相場がまったくわからない。でも、お店の人同士でののやりとりも自然だったし、外国人だから過剰に高くしているかんじでもきっとないだろう。
 
お金を払って、どの束がいいか選ばせてもらう。手元にくると、よりいい赤色をしている。
 
 
この色の花ならと、花屋の間にある花瓶屋に寄った。埃をかぶった花瓶のなかから、小さな水色のものを見つける。ぴったりだ。
 
店の奥にいた女性が、にっこりとスマホの電卓で値段を見せてくれる、50,000ドン。300円くらい。これは安い気がする。
 
 
花と花瓶を抱えて、でこぼこの歩道を歩いて帰る。
 
 
家に帰って袋からだすと、市場のたくさんの花のなかで見ていたよりも、花束がこんもりしているように感じる。買ってきた花瓶にはいりきらず、コップもだして、ダイニングと机の2箇所に飾る。
 
日本の家でも、薔薇やダリアを飾ることはあった。ただそれとはまたまったく違う存在感だ。色の彩度が、南国仕様なのかもしれない。

そして、今まで部屋が、随分と無機質だったことに気づく。

ベトナムに来て1ヶ月経ち、一番良い買い物をした。

 
——————
 先日別の場所で、路上で壺をたくさん売っているところに出会いました。
 
少し大きめだけど花瓶にしたら、ハスなども飾れるかなと妄想が広がりました。
 
家が決まったら、家に合うものを選びに行こうかなと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?