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古民家を地域に残す事とは…

年をあけて、古民家は大きなメンテナンスしなければならない事態が発生したりして、一つ一つ乗り越えながら今年の宿泊のシーズンを迎えようとしている。

ここから、春の風を心配し、雨が長くならない事を空を眺めながら思い、夏の宿泊の予約を見ながら秋まで台風が直撃しないか天気図と風予報を祈る思いで見つめる。

前回も書いたのだか、今年は古民家の行き先を何でもチャレンジして見つけようと決めた。
その先にどんな事があるのか今は見えないが、
きっとまた古民家とみんなが見せてくれるに違いない。

FOLKはみんなのチャレンジの場でもあるから。

そのみんなの中に、腰越のお母さん達がいる。
この方達がFOLKに来てくれた事で、腰越を離れて数年、子育ても別の場所でしている私を地域の人達に引き合わせてくれた。

お母さん…とは、地域の高齢者の方々なのだが、高齢者という呼び方よりは地域のお母さんがしっくりくるので、いつしかみんなお母さん達。と呼ぶようになった。

きっかけは、見学会で開けた日に顔見知りのお母さんが民生委員だった事もあり、老人会に貸して欲しい。と話をもらった。

地域に開く事。地域に求められる事をする事。

決めてはいたが、資金繰りが順調な訳では無い。少し悩んだけれど、使ってもらう事を決めた。

その後、鎌倉市社会福祉協議会から生活支援コーディネーターの方を紹介していただき、鎌倉市社会福祉協議会の赤い羽共同募金の助成事業「近所の団らん」を勧められる。
近所の高齢者の居場所を支援するという内容だ。1年間の期限があるのだか、私はこの1年間本当に多くの事を学ばせてもらう事が出来たと思う。 
そして、ここから続くお母さん達のチャレンジは素晴らしいものだ。

はじめは、いつも洋裁で借りてくれる彼女の日を解放日として立ち寄りが出来るようにした。
民生委員のお母さんが、たまに寄る位でスタートしたのだかある日、バリバリの生活支援コーディネーターさんが立ち寄る。

また彼女がスゴイ。

「近所の団らん」の見直しから始まる。
お母さん達と民生委員に巻き込まれるようにして連れてこられたもう1人の彼女を含めて、ミーティングをして立て直しが始まる。
そしてここで連れて来られた彼女もスゴイ。

激アツの思いしかない私やお母さん達なので、ミーティングなんてものではない。進まないし、脱線するし、まとめようが無い。そして、いつまでも終わらない。
生活支援コーディネーターの彼女は「ミーティング時間は何分です」とまとめあげ、話し合いの最後には決めた事を振り返り確認する。
それを巻き込まれるように連れて来られた彼女は議事録にし、次には備品を揃えてくれていた。

こうしてこの二人のおかげで、「近所の団らん」がスタートする。私はいつも見ていただけだ。


週に2日程度、午後の2時間からはじめた。
洋裁や数独、塗り絵などを企画し、来た人にお茶を出す。お茶はお茶菓子付きで200円。古民家は持ち回りで開け閉めした。

民生委員さんが気になる人に声かけし、少しずつ広がった輪は町内の枠を越えて古民家に集まった。

そこから、コロナ禍で居場所を失ってしまった大学生が出入りするようになり、スマホを高齢者に教える会が開かれ多くの希望者が古民家に来るようになった。

みんなで話し合い、感染者が増えれば古民家を閉めて休会しそれでも繋がりをと、かわら版を作り高齢者宅に歩いて届けたりした1年間。
高齢者も地域の方々も大学生も、みんなで出来る事を続け繋がりを持ってきた1年間だった。

あれから数ヶ月、古民家をスペースで利用してくれるメンバーには今も、お母さん達の立ち寄りのサポートを条件に借りてもらっている。
条件。というよりは、それを気持ちでできる人に借りてもらっている。

生活支援コーディネーターの彼女は、鎌倉市の支援から前例の無い地域の支援に繋げてくれた。

あの、連れて来られちゃったよ。と話した彼女は、地域活動で古民家を借りてくれていて、地域の人達と素晴らしい企画をいつもしている。彼女があの時連れて来られちゃって良かった!

「近所の団らん」が終わっても、お母さん達は古民家の机に置かれた貯金箱に来るたびに200円いれてくれている。

最近、お母さん達からやってみたい事が出てきた。それをみんなで作って販売してみたい。と言う。古民家やお世話になった所の為に。
これは、お母さん達の自分達から出たチャレンジだ。1年間、みんなで育てた会からこんな素敵なチャレンジが出てくるとは!

今また、感染者が減らず古民家は高齢者の集まりは見送っている。
でもお母さん達は、それぞれ自宅でそのチャレンジを少しずつ少しずつのんびり進めている。
いつか、それをお母さん達が販売できる日が来ると良いなぁ。とのんびり思う。そう、のんびりと。

こうやって古民家は、いろんな世代のチャレンジの場にもなっている。
宿泊してくれるお客様は、そんなチャレンジの場を支えてくれている一面もあるのだ。それもこれからうまく伝えられたらいいな。

古民家を残す事は、一人では出来ない。

こうしてたくさんの人の力を借りて、この古民家で必要とされる事をみんなで探していくのだ。これからも。

みんなの魔法を使って。

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