ガラスの仮面/美内すずえ#37
「恐ろしい子…!」(白目)
という月影先生の名台詞が何度も出てくるこの漫画、わたしの人生のバイブルでもある。
出会ったのは中学生の頃。
なのでえーっと、つまりは2000年頃なのだが、連載が始まったのは1976年からなんですよね。もうかれこれ45年続いているわけだ(休載してるけど)。
長い、長すぎる。
自分が20代前後の頃は、
「美内先生お願いです、わたしが死ぬまでにガラスの仮面の最終話を見せてください…!」
なんていうネットに投稿された言葉にふふっと笑っていたが、今は笑えない。
わたしも30代後半に差し掛かろうとしているのに、未だ完結する気配ナシ。
死ぬまでにマヤと真澄の行く末を見ることができるのだろうか…とかなり心配している。
ガラスの仮面は、2014年9月時点で累計発行部数は5000万部を突破した少女漫画の金字塔ともいえる名作だ。
なのにわたしの友人でガラスの仮面を読んでいる人は、一人たりともいない…。もう少し歳上の層の世代なのか?
唯一、話が噛み合ったのは夫のみ。
なのでことあるごとに、ガラスの仮面の名シーンが我が家で繰り広げられている。
以前、自宅のひとり掛けソファの脚裏に傷防止テープを貼るべく倒しており、わたしは閃いてしまって、
「ちょっとこのソファに座ってごらんなさい」と3歳の長男に言ったところ、
なんと、ひっくり返って座ったのだ。
「恐ろしい子…!」
とわたしは思わず声に出してしまった。月影先生の気持ちもわかる、天才だわ…この子!
この名シーンがわからないあなた、ガラスの仮面の第10話を今すぐ読みなさい。
いけないいけない、ガラスの仮面のことになるとつい熱く語ってしまう…!
物語は平凡な北島マヤという少女が、ライバルである姫川亜弓と張り合いながら芝居の才能を開花し成長していく姿を描いている。
真澄さまというのは、マヤとの歳の差恋愛をなかなか認めたがらない大都芸能というプロダクションの若社長である。
いい加減自分の気持ちに気付けよ、とイライラするほどマヤとの歳の差を気にしている男だ。
この真澄さまも1巻ではかなりスラっとした出で立ちだったのに、最新巻では「あれ?真澄さま、輪郭がぼやけてない?」と残念な感じが否めない。
まあしょうがない。
漫画の世界でも時間も経過し、マヤ自身も少女から大人の女性へ変化しているような気がしなくもない。
ただ、わたしは昔から納得のいかない部分がある。
北島マヤはいわゆる天才肌で、一心不乱に努力し、演技に関してズブの素人だったのが姫川亜弓とダブル主演を果たし、大河ドラマのヒロインにまで抜擢されるほどの実力の持ち主になる。
なのにいつまで経っても、「北島マヤは冴えねえな」「あの子本当に亜弓さまと張り合おうっていうのかしら」というような、漫画の中での演技力に関しての評価の低さが続く。
マヤが何かに取り憑かれたような演技をした時だけ、あの子は天才なのよ…!と口を揃えて言うのに、数ページめくるとバカにされているシーンが多い。
いやいや、マヤはもっと評価されても良くないか?大女優月影千草にも一目置かれているのに、最新巻でも冴えないドジキャラのまま。
しかし、このマヤの鋼のメンタルには目を見張るものがある。これからも見習いたいと思う。
そして完全に当て馬の桜小路優。彼なしでは物語は成り立たないといっても過言ではない。
登場人物は多すぎるので割愛するが、どれもキャラが濃い。
「え?この人さっきも出てきたけど同じ人?別のキャラ?」なんて混同することなく、キャラの特徴をしっかりと描き分けているのはさすが美内先生といったところだ。
ちなみに最新巻では、鷹宮紫織という真澄さまの婚約者なる者がマヤと真澄の恋愛を邪魔しており、読者であるわたしは非常に迷惑している。
ああ、早く続きが読みたい。