まっすぐは赤でも、左右は青
目的地へ向けて足早に歩いていた。季節にそぐわない気候に、少々顔をしかめながら。
あつい。顔がほてっているのがわかる。
信号が見える。渡りたい。
近づくと、点滅し始める。止まる。
また歩く。信号が見える。渡りたい。
近づくとまた、点滅し始める。止まる。
自分の歩みに合わせて信号が青に変わると、何かに背中を押されているような気持ちになる。逆に赤に変わると、意気込んでいるのに水をさされるような、そんな気持ちになる。
青に変わる日は驚くほど連続で青に変わるし、赤に変わる日はどうしてと思うくらい赤が続く。
この日は赤だった。進もうと思っても止まる。日陰はまだいいが、日向で待つのはしんどい暑さだった。
また信号が見えた。近づくにつれ、点滅し始める。
ああ、まただ。
ふと左を見る。
あたりまえだが、前が赤の場合、左右へ渡る道は青になる。
渡った先にはコンビニがある。よし、お茶を買おう。
小さいペットボトルのお茶を買い、一口飲む。あ、おいしい。
休憩を終え、またまっすぐに進む。
そっか。まっすぐ進めない=歩みを止めさせられた、じゃなくて。別の方向には行けるよ、と言われてるのかもしれない。
進む方向を変えた先で休憩ができて、また元気いっぱいに歩き出すことができたり。予定になかった道を歩くことで、新しい発見ができたり。
進んでる途中で赤になるとなんとなくネガティブな気持ちになっていたけれど、見方を変えると、別の方向は青ということ。
立ち止まることを嘆くのではなく、進め、進め、ちがう道へ。
こっちがダメでも、こっちからは行ける。
しかめていた顔が、少しゆるんだように感じた。
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