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自分で自分を幸せにする方法、それが手芸

私の仕事はマクラメ(紐を結んで幾何学的な模様を作るクラフト)を教えること。

マクラメ教室を立ち上げて、現在4年目。近所の公民館の会議室を借りて、月に3回、レッスンをしている。

もともと手芸は何でも好きだった。

就学前から縫い物を始めたし、小学生のうちに棒針編みをするようになり、結婚してからクロッシェレースにはまり、子どもが生まれる時にはミシンでスタイやベビードレスを作った。その他、ペーパーフラワー、段ボール工作、消しゴムはんこ、と手を出した手芸は数多い。

自覚しているのだが、はっきり言ってどれもこれも下手の横好き。素人くさくて、センスがなくて、要するにダサい。作ったものを妹にあげたこともあるが、使ってくれた試しがない。そりゃそうだ。自分でもダサくて使えないんだから。

そんな自覚があるにも関わらず、私はいつか手芸の教室をしたいと考え、夫にもそう宣言していた。しかも「手芸教室で具体的に何を教えるかはこれから決めます」という感じで。

手芸なんて、どれもこれも手間と時間がかかる。何事も「サクッと」が流行りの今般、時代の流れに逆行しているともいえる。なのにどうだ、ハンドメイドのフリーマーケットが毎月のように開催され、CtoCハンドメイド通販サイトは拡大する一方だ。完全に供給過多の状態になっている。

そのくらい作りたい人がいるんです。それには理由がある。

簡単に言えば、作ると幸せになれるからだ。幸せと一口に言っても、分解すればそれは夢中、達成感、充実、満足、向上心、など微妙に異なる様々な感情から成り立っている。でも共通するのはそれらはポジティブな感情だということ。

手芸はもともとは、生活に必要な実用的スキルだっただろう。縫い物しかり、編み物しかり。今や手間も時間も安く買えるようになり、実用の意味は薄れた。

現在、手芸をする意義は『自分で自分を幸せにできること』に他ならない。それが私の手芸の定義だ。

物でも、お金でも、人でもなく。周りの環境に関係なく、自分で自分を幸せにできるって最高じゃん。だから私はそれを知らない人に伝えたい。だから手芸教室がやりたい。

子どもが小学生になり、昼の時間が多少自由になった時、いよいよ行動に移す時が来た、と思った。資金は独身時代の貯金がまだある。

でも、まずは働きに出ることにした。「家計を助ける代わり、好きなことを堂々とやらせてもらいますからね」という魂胆だ。

さぁて、誰かに教えるならその前に自分がしっかり教わらなくては。でも何を?

と、あれこれ探していた時、ふとマクラメに目が留まった。当時はインスタグラムでもマクラメの写真を多く上げているのは外国人ばかりで、日本の人は少なかった。これだ、と思い、マクラメを教えてくれるところを探し、通い始めた。1年ほどでインストラクターの民間資格を取り、教室を開き、今に至る。

教室である以上は、生徒さんが上達することをないがしろにはできないが、幸せを感じてもらうことを大切にしたい。『上達』と『幸福』が両輪になったマクラメという車に乗って、わくわくしながら未来へ進んでもらえたら。そんなイメージで教室を続けている。



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