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台湾的音楽 青虫(aoi)ポップとロックに込められた細やかな感性

台湾のアーティストを紹介するシリーズ。
実は、今月からBitfanという次世代型ファンメディアのプラットフォームが運営する音楽交流サイトで、コラムを書く機会を頂いています。
サイト名は、「Our Favorite City ニッポン×タイワン オンガクカクメイ」です。こちらでは、台湾アーティストと日本のアーティストの対談なども公開されていますので、ぜひ遊びに行ってみてください。

さて、今回のアーティスト、青虫(aoi)
台湾華語だけではなく、英語や台湾語でも歌うアーティストです。ポップからエレクトロな音楽と、ボーカルの可愛らしい歌声がマッチしています。

「刺蝟悲歌 Tshì Uī Pi Kua」
2020年リリースのアルバム『有你的故事 ū lí ê kòo-sū』に収録。

音楽の雰囲気とMVのドラマ性が良く合っていて、心揺さぶられます。
ちなみに、タイトルの"刺蝟"は、ハリネズミのこと。この曲で着想を得たのが、ハリネズミ理論というものだそうです。
私も初めて知ったのですが、なんでも、寒い日に出会ったハリネズミがお互いを温め合おうとしても、互いの針が邪魔でできない。でも寒さに耐えられずに試みていくうちに、互いに程よい距離を見つけ、ある程度、温め合うことが出来た、というものだそうです。

この作品では、2人の微妙な距離感が、その理論が上手く作用していないようで。ハリネズミ理論は、恋愛のことを指しているのではないそうですが、この作品では、2人を恋愛関係において作っているようです。
曲づくりのストーリーを知ると、より音が心を揺さぶり、ドラマを感じるなと思っています。

「無你的故事 feat. 林柏宏」
こちらも2020年リリースのアルバム『有你的故事 ū lí ê kòo-sū』に収録。

こちらはポップよりも、ロックな作品ですが、これもMVの主人公の感情と曲の雰囲気がとても良く合っているなと。
‟無你的故事”は、あなたがいない物語という意味。夜市で遊んでいる光景や、カラオケをしている光景と、主人公の女の子の心境の落差が切ないのと、ラストシーンが妄想か現実か…という感じです。
ラストのカットまで見ると、ちょっとした驚きがあります。

ちなみにこの曲で、男性ボーカリストとして招かれている、林柏宏は台湾の俳優・歌手として活躍している人物です。

青虫(aoi)は、2017年に結成された4人組バンドで、台湾華語だけではなく、英語、台湾語で歌っています。台湾では、台湾語で歌うアーティストもいまして、バンドでは日本にファンのいる、茄子蛋(EggPlantEgg)もその代表格かと思います。

青虫(aoi)は、第32回金曲奨で最佳台語專輯獎 (台湾語アルバム賞)、最佳新人獎 (新人賞)に『有你的故事 ū lí ê kòo-sū』ノミネートされています。

ちなみに、EggPlantEggは、台湾語で歌唱したアルバム『卡通人物(​カートンキャラクター)』で、第29回金曲奨、最佳台語專輯獎 (台湾語アルバム賞)、最佳新人獎 (新人賞)を受賞しています。
青虫(aoi)も、EggPlantEggに続くと良いなと思っています。

「媠花 Prettiest Flower」
こちらも2020年リリースのアルバム『有你的故事 ū lí ê kòo-sū』に収録。

ギターボーカルのジェニー(吉尼)の歌声が、優しく響く楽曲です。この曲では、あなたはあなたで良いと言うようなメッセージが込められています。ギターとボーカルだけで始まる楽曲が、次第に打ち込みやドラムも入り、華やかになるのも、とても素敵だなと思っています。

優しい雰囲気に、バンドの人柄というか、内面というか、そういうものが出ているようにも感じています。

青虫(aoi)の楽曲もSpotifyで聴くことができます。
ぜひチェックしてみてください。
そして、授賞式が延期になってしまいましたが、金曲奨の行方も楽しみにしながら、聴いて頂くと嬉しいです。


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