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台湾的音楽 Fire EX. 被災地に想いを寄せる台湾パンク先駆者

台湾のアーティストを紹介するシリーズ。
Fire EX.(滅火器)
結成20年を越えるベテランバンドで、MONOEYESや10-FEET、locofrankなどとの共演もしています。

東日本大震災の時、台湾は日本に、たくさんの義援金と優しい言葉や思いやりを送ってくれました。多くのアーティストが想いを寄せてくれてくれました。Fire.EX(滅火器)は、2016年に被災地を訪れ、仮設住宅でもライブを行ったバンドで、”東北ライブハウス大作戦” にも参加しています。

「繼續向前行 Keep On Going」
2016年に発表した楽曲で、アルバム『進撃下半場』にも収録されています。
MVのロケ地は東北。地元の方たちとの交流の姿も見えます。東北ライブハウス大作戦のリストバンドとパーカーも身に着けていますね。
MVの最後にはメッセージも出てきて、彼らの優しさが良く伝わります。

そして、今年 震災から10年の節目に、新曲をリリースしました。そのMVは、2021年3月11日14:46に公開されました。

「希望の明日」
歌詞には日本語が入っていたり、日本への想いを歌詞に入れてくれています。"久しぶり"とか、"元気ですか?"とか、何気なく私たちが使っている言葉が、歌詞となり歌われているのが、じーん来てしまいます。友達に会いたくなるような、なんだか心にある優しさを感じる部分が揺さぶられる、そんな曲です。

今年、震災時の台湾からの温かいサポートを感謝する催しが台湾でたくさん開催されています。華山1914文創園區では、「日台友情 Always Here」というタイトルで、日本の有名な漫画家の方、80名あまりが描いたお礼の色紙を展示するギャラリーなどが、3月21日まで行われています。また、台湾メトロの中山駅には、東北からの感謝を伝える大きな壁面広告が出ているそうです。

さて、Fire.EX(滅火器)の話を。
彼らは、高雄出身の4人組バンドで、結成は2000年。台湾のパンクバンド先駆けと言われています。メロディラインが美しくて、それでいてパンクの要素もあって、言葉は分からなくても琴線に触れまくる楽曲ばかり。Hi-Standard、HUSKING BEEといった日本のバンドの影響も受けているそうですが、GREEN DAYもちろん好きなんだろうなーと聴きながら思っております。

「残像モーション feat.磯部正文」
HUSKING BEEの磯部正文さんとのコラボ。突き抜ける感じが最高に気持ちいい。

「Don't You Fight feat.細美武士」
これも、本当に気持ちいいですね。一音目からの心地よさとテンションの上がる感じ、そして細美武士さんらしさも感じつつも、やっぱりコラボって良いなと思う作品です。
他にも、後藤正文さんやBRAHMANなど、多くの日本のアーティストともコラボしています。

Fire EX.(滅火器)の曲には、2014年に台湾で起こった、ひまわり学生運動で学生からの依頼で作成された「島嶼天光」があります。この曲は、運動のアンセムになったそうです。歌詞からは、台湾への想いや、台湾であることのアイデンティティが感じられます。

「島嶼天光 Island's Sunrise」
2015年の金曲獎(Golden Melody Award)の最佳年度歌曲を獲得しています。陽が昇るような、希望と感動を感じるような曲だなと思っています。また、この曲をBGMにして、実際の運動の様子を撮影した映像がYouTubeにたくさんあります。台湾の人達にとって重要な曲なんだなと実感します。

Fire.EX(滅火器)のことを調べていると、1945年の高雄大空襲のことを歌った曲もありました。

「一九四五 1945(高雄大空襲桌遊主題曲 Theme of Raid on Takao )」
東日本大震災の被災地への想いや、ひまわり学生運動、そして戦争など、いつもだれかに想いを寄せながら曲を作っているバンドなんだろうなと、思っています。私自身、高雄で空襲があったことをこの曲で初めて知りました。

台湾がここまで歩んできた歴史、それから、いつ行ってもみんな優しいことなど、台湾のさまざまなことを想う時に、Fire.EX(滅火器)の楽曲は、とてもマッチしているなと思います。
もちろん、たくさんのアーティストがいて、どのアーティストも大好きです。心地いい音楽もたくさんあって、私はお風呂でのんびり聴いて癒されています。個人的には、パンクロックは、そこまで聴き込んでこなかったのですが、彼らの作品を聴くと、台湾の優しさとか強さとか、そういうものを感じるのです。

Fire.EX(滅火器)の楽曲もSpotifyで聴くことができます。
ぜひチェックしてみてください。


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