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ミイデラゴミムシと錬金術

ミイデラゴミムシ

派手な体色をしたゴミムシ類の昆虫で、俗に言うヘッピリムシの代表的なものである

ほとんどのゴミムシ類が黒を基調とする単色系の体色である中で、数少ない派手な色を持ち、また、比較的大柄(1.6cmほど)であるため、かなり目立つ存在である。捕まえようとすると腹部後端より派手な音を立てて刺激臭のあるガスを噴出する。

外敵からの攻撃を受けると、過酸化水素とヒドロキノンの反応によって生成した、主として水蒸気とベンゾキノンから成る100°C以上の気体を爆発的に噴射する。これに接触すれば皮膚炎を生じる。

このミイデラゴミムシの名前であるが
滋賀県大津市にある天台寺門宗総本山の園城寺
またの名を三井寺が由来とも言われる。

三井寺が所蔵する放屁合戦絵巻が根拠になるそうだが、
これは半分正しいと思うが、本質とはズレると思う。

三井寺には秘仏の黄不動がある。仏画で非公開。
別名金色不動明王。

ちなみに三不動と呼ばれる不動は
高野山の赤不動、京都青蓮院の青不動、三井寺の黄不動である。

この不動の色に、密教の錬金術が深く関わっていると思われる。

オナラは硫黄臭とも言われる。
ミイデラゴミムシの発射する高温ガスは、
温泉が吹き出す象徴と考える。
温泉場の近くには、金が産出される事が多い。

さて、温泉を掘り当てるには掘削技術が必要になるはず。
その技術が、火薬。
火薬の材料は、硝石、硫黄、炭粉。
硝石は、ヨモギを尿と発酵させて生成することができた。

黄鉄鉱と呼ばれる鉱物は、鉄と硫黄からなる。
色は真鍮色で金属光沢を持つ。
その淡黄色の色調により金と間違えられることが多いことから、「愚者の黄金」とも呼ばれる。
硫酸の原料として用いられた。

硝石を硫酸に溶かすと硝酸ができる。
鉱石を溶かし出す事が可能になる。また爆薬の原料にもなる。

金鉱石から金を抽出するには同時に銅、銀の抽出もセットになっている。

飛鳥京跡の「飛鳥池工房遺跡」において、近世に導入された骨灰を用いた灰吹法と同じ原理の、凝灰岩製坩堝(るつぼ)を用いた灰吹法、銀の精錬が行われていたことが判明した。国内で確認されている銀の精錬は、16世紀の「石見銀山」(島根県大田市)が最も古い例とされていたが、 これらは7世紀後半となり、国内最古の銀の精錬となる。
金を含有する灰吹銀は山吹銀と称し金銀吹分けが行われた。金と銀を分離するには、硝酸で銀を溶解する。


京都青蓮院の青不動は、銅の錆である緑青を象徴しているように思う。青銅は銅と錫の合金で、錫の量によって赤銅色から黄金色、白銀色にまでなる。

高野山の赤不動は、水銀の象徴。朱色の原料だが、
水銀は古代から金銀の抽出に用いられてきた。    高野山周辺は水銀の産出地である。

このように、金、金色を作りだす、生み出す錬金術のそれぞれの技が、三不動の色に象徴されていると思う。

黄色と褐色の斑紋をもつミイデラゴミムシは、その錬金術の内、硫黄に絡む錬金術の象徴になっていると思う。三井はサンセイと読める。酸精である。昔、三井寺では爆音と硫黄臭が立ち込め、皮膚炎の人々が多くいたのではないだろうか。

平安時代の密教ブームと不動信仰の厚さは、錬金術と密接に絡んでいると思う。

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