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菊池寛実記念 智美術館を巡って(東京都・港区虎ノ門)

<美術館紹介>

実業家であった菊池寛実の三女である菊池智の現代陶芸コレクションを一般公開することなどを目的として2003年に開館した美術館。明治・大正期の資産家・千葉亀之助氏の邸宅を菊池寛実氏が引き継いで竣工。美術館敷地内には国登録有形文化財となっている大正時代の洋館「菊池寛実記念智美術館別館」が建っています。下の写真で右の建物が別館。左が美術館になります。

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ゆえにレトロでモダンな造りをしています。東京の虎ノ門と六本木一丁目の間、ホテルオークラ東京から程近くにあり、現代陶芸を中心に展覧会を開催しています。静かで落ち着いた空間で都会のど真ん中にいることを忘れさせてくれます。

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日比谷線神谷町えきから6分ホテルオークラを目指してお進み下さい。
新しくできた日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」からは、道がまだ工事でお分かりになりにくいかもしれません。

<訪ねた日>

2020年7月5日

<展示に関して>

残念ながら現在は行われていませんでしたが、西洋館の見学も不定期に行われルようです。

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会場で撮影不可、図録も特になく、今回の展示物の葉書はなかったので、感想書き留めるための鉛筆のご用意なさるとよいかもしれません。まず入り口の、篠田桃紅さん(1913~)作 『ある女主人の肖像』に静かに魅せられてお進み下さい。この館の女主人としての智さんを象徴的に表しているようです。

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外内ともに陶芸を拝見するための素晴らしい設計です。地下に降りる螺旋階段の硝子の手すり、壁のまた篠田さんの「いろは歌継ぎ」に酔いながら地下展示室へ。

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今回展示『継ぐ』11月29日までの会期継承するやきものに焦点を当てた展覧会です。今泉今右衛門、酒井田柿右衛門、三輪龍氣生、樂直入の作品を、継承する焼き物に表す製作者の挑戦と創意のかたちが紹介されています。

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2019年は京都と萩の伝統ある陶家で改名と襲名が行われました。京都では、15代樂吉左衛門(1949~)樂直入に改名し、長男の篤人(1981~)が16代を襲名しています。樂家は桃山時代に長次郎が千利休の思想のもと樂茶碗を創始して以来、約450年にわたって一子相伝で技法を伝え、現代まで継承してきました。

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一方萩では12代三輪休雪(1940~)が三輪龍氣生に改名し、弟の和彦(1951~)が13代を襲名しました。三輪家は長州藩の御用窯として江戸時代前期から続いてきた萩焼の名門陶家で、歴代、休雪を継承し、萩焼の技法を伝えてきました。龍氣生が伝統をふまえながらの現代美術陶芸は、私が特に惹かれた作品です。

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有田では代表的な窯元として14代今泉今右衛門(1962~)と15代酒井田柿右衛門(1968~)が伝統の色絵磁器を継いでいます今泉家は佐賀鍋島藩の藩窯の「色鍋島」において代々赤絵師を務めました。廃藩後は、素地作りから焼成まで一貫した色絵磁器の生産に取り組み現在まで受け継いでいます。

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酒井田家は、日本で初めて磁器の上絵付けに成功したとされ、江戸時代前期から有田を代表する窯元として活躍してきました。濁手と呼ばれる乳白色の白磁胎に余白を大きく残して描かれる左右非対称の色絵を特徴としています。大型作品の硝子無しの展示は、美しいのでお子様はついお手を触れてしまうかも?コロナの騒ぎが無ければ、子供のための鑑賞会も、また夜の鑑賞会、コンサートもと関連行事が沢山開催される美術館なので、またこちらにも参加したく思いました。

<売店に関して>

比較的、こじんまりとしたスペースで一筆箋と柿右衛門のお皿などが販売されています。手軽な価格で欲しいと思う、文房具などがないのが残念でした。

<カフェに関して>

カフェはありません。以前はレストランがあったようですが閉店してました。近くにはホテルオークラがあつので、そちらのオーキッドに行って、一休みしました。

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オークラは新装しましたが、以前のロビーと変わらない雰囲気にびっくり。

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マンゴのショートケーキと紅茶をいただきました。2杯目のポットもいただき、長居させていただきました。

文学賞候補を読んで感想を書いていきます。今後の本選びの参考にしていただけると嬉しいです