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仕事の詰めが甘くても余裕で生活できる人

一言でいうと羨ましいって話なんですが笑
そして「おまゆう」っていうツッコミもうけそうなのですが、先日友人から聞いた話でインスパイアされたのでここに記しておこうかと思います。

仕事の詰めが甘い=相手の期待値を超えることなく納品したら、当然支払い(給料)は据え置き、もしくは降給という労働環境でひいひい働いている私達はマルクスの言うところの労働者であるわけですが、まぁそれなりに精度高い成果物を出そうと日々必死になっているわけであります。日本人の労働人口の95%ぐらいの人はそう感じて働いているのではないのでしょうか。ああ、哀しき労働者。

※まさに「働く男」の歌詞そのまんま。30年ぐらい経っても変わらない価値観の中に私たちは生きている

ところが、残り5パーセント弱のいわゆる資本家の人、特に都内に不動産を持っている人たちは、成果物なんか、ひいては世の中の判断なんて気にしなくてもよかったりするんですな。どういう人かというと、親の遺産で食べていける人たちです。この人たちが「ブルジョワジー」と呼ばれるにふさわしい人たちではなかろうかと。

それらを紐解くと私達より前の世代、つまり昭和時代に町工場的なものを不動産含め所有していた彼らの親は町工場のオヤジであり、中小企業の経営者であって彼らは「ブルジョワジー」という響きからはほぼ遠かったけれど、日本の高度成長期とあいまってそりゃガムシャラに働いていたわけです。月末にはなぜかセカンドバッグを持って取引先や銀行に走り回る彼らを町工場が多い地域ではよく見かけたものでした。インターネットが主流になった時代、こういう風景はあまり見かけなくなりましたね。

で、彼らの子供たちは、親たちが資金繰りに死ぬほど苦労するのを間近に見てたいていは稼業を継ぎたくない、と思ったりするわけです。(もちろん親の稼業を継いで現在の稼業にピッタリフィットさせるアイリスオーヤマみたいな企業もあるのですが、少ないと思います)

そしてその子供たちはどう考えるか。教育や生活品はわりと潤沢なものを与えられる彼らは知的労働者を目指すわけです。そう、医者や弁護士、いわゆる「さむらい」稼業ですね。幸い、親が持っている不動産やビルがあるのでそこで開業すればよいわけです。資本家はますます富む図式ですね。ピケティのいうところのこの図式です。

r(資本収益率)> g(経済成長率)

ぶっちゃけ早い話、過去に蓄積された富は労働で得る富より成長が早いってことになります。結果富裕層がますます金持ちになる仕組みです。そう、たとえそれが兄弟姉妹の中に知的労働者になれなかった人がいたとしても。

めちゃむずい本です。偉い人に勧められて今年のお正月に読み切ったのは私の自慢です

まぁ、言いたいのはここからで、友人から聞いた話。

都心で町工場をやっていた経営者が亡くなり、兄妹3人誰も稼業を継ぎませんでした。幸い、上二人は自営業、(2人目は医者)で自分自身で生計をたてていけましたし、親が所有している不動産やビルで開業することができました。3人目の彼女は親の工場で働いていました。親を見ていた彼女はその工場を回せる経営能力が自分にはないと痛感していたので、親が趣味でやっていたおしゃれな雑貨屋だけを引き継ぎます。近所では評判のおしゃれな雑貨屋さんですが、手作りの雑貨を作るのは彼女が依頼した職人であり、店舗のオペレーションをするのはパートさんです。彼女は奇しくも親と同じ立場の経営者ですが、友人の話では雑貨が売れること以外はあまりうまくいっていない様子です。

それはなぜか。

友人の話を聞いた限りでは、彼女自身が店舗の収益をあげたい思っていても、本当にあげたいのかどうかわからない発言をしているからだと思いました。

友人はWeb構築の仕事を依頼され、経験がまったくないながらも、既存ツールを使って頑張って納品します。社員とパートさんに運用方法を教えたのですが、どうやらうまく引き継いがれていない様子でした。データの管理もさることながら、もっとも酷いのはWebサイトの店舗のデザインで、トップページにあるファーストビューは「Adobe Stock(文字付き)」の写真を貼りつけているままで、サイトオープン後もまだ納品されていない状態でした。さすがに友人はこれはないだろうと彼女に進言したところ、

「ここでデザインの依頼を打ち切るとデザイナーのためにならないからこのままWebサイトをupする」

といった返事がきてびっくりしたそうです。

私はお茶を飲みながら、こういう仕事の仕方もありなんだなーとある意味感心しながら聞いてました。

もちろん、一番仕事の詰めが甘いのはデザイナーなのですが、それを許容する彼女は余裕なんだと思いました。持つものと持たざるものの格差は、仕事の出来不出来も気にしないのかと思い、彼女にしてみれば余剰資本の一部がたまたま不具合をおこしているだけで問題ないという考え方なのかなとも。

人生は生まれつき不平等で資本の差で境遇が決まる経済学そのままのエピソードで、結局「持たざる者」は死ぬまで稼がなくてはならないことを強く実感しています笑

ピケティは経済格差の是正に最も有効なのは生産性の向上で、それは技術と知識の普及伝播と言ってましたが、今から勉強して追いつくでしょうか。経済の仕組みを少しでも肌で感じられたことを感謝しつつ、お正月頑張って本読んでよかったなぁと思うことにします。

さて、頑張って経済成長率をあげていこう笑

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