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【スターチスの枯花 〜入院の記憶〜「小田倉麗奈」】11話

⚠️閲覧注意⚠️この先ストーリーが進むにつれ、読む人によっては不快な内容が含まれます。

「○○くん、寝れそうですか?」

消灯時間30分前。

「いいえ.....全然」
「それ、面白いですよね」
「先生も読んでるんですか?」
「えぇ....全員が主人公の作品は珍しいので」
「誰のお話が好きですか?」
「私は村山美羽ちゃんのお話が好きです」
「あ〜いいですよね。あの独特の空気感」
「そうですね。沢村くんとの会話が好きです」
「分かります」
「ふふっ笑 なんだか私たちの会話のトーンに似てますね笑」
「僕もそう思ってました笑」
「笑笑」
「その.....守屋さんは?」
「とりあえず○○さんに使われた新薬の成分は検出されませんでした」
「体調は?」
「ふふっ笑 ご自身の心配が先では?笑」
「あ、笑」
「守屋は普段から睡眠薬を使用しておりまして、何を間違えたか薬の量の調整をミスったようです」
「.....大丈夫なんですか?」
「もちろん看護師として、あってはならないことなので3日ほど休養させます」
「看護師さんストレス溜まりますもんね.....」
「まあ....否定はしないでおきます」
「ですよね笑」
「その......やはり通報はしませんか?」
「ええ......できるなら彼女を悪者にしたくありません」
「大園玲さん....でしたっけ?」
「はい」
「どんな方なんですか?」
「一言で言えば優しすぎる子でした.....」

ーーーーーーーーーーー

大学4年生の秋、僕達は同棲していた。

「玲〜、ご飯できたよ〜」
「ありがとう....置いといて」
「勉強は順調?」
「うん」
「そっか......息抜きしてね」
「必要ない」
「......頑張って」

周りから見たら完全に冷めきっていたけど、僕たちにはわずかに線が繋がっていた

.......はずだった。

『今日未明、世田谷区の住宅街から子供の遺体が発見されました。警視庁によるとー』
「消して」
「ごめん.....居たの気づかなくて.....」
「あ....いやこっちこそごめん.....強く言いすぎた」
「......なぁ玲」
「なに?」
「あれは別に玲のせいじゃないから.....」
「でも助けられなかったのは事実.....何のために勉強してるんだか......」
「玲が1人で背負うことないよ」
「やめて!!」
「.......」
「私がちゃんと勉強してたらあの子は助かってた!!」
「でも先生だって難しかったって!」
「......そういう問題じゃないの」
「玲.......」
「○○くんには分かんないよ.....」
「.......」
「.......ご飯、ありがとね」
「ううん.......」
「......おやすみ」
「おやすみ......」

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