【旅日記】いい一日のおわりとはじまり
車ごとフェリーにのって小豆島にきた。
船からおりて車で町を走ると、窓を締めていたのに醤油のにおいがしてきた。
周りには木造の古い醤油蔵が建ち並んでいる。
「マルキン醤油記念館」で醤油の基礎知識を身につけて、醤油文化のメッカといわれる「ヤマロク醤油」へ行った。
2年くらい前にフランスからやってきたという外国人のおにいさんが上手な日本語で案内してくれた。
醤油蔵の扉が開くと自分よりずっと背の高い杉桶がいくつも並んでいた。
匂いと温度と静けさと、言葉ではなんとも表現しがたい空気感だった。
お昼になったから知り合いに勧められていたカフェ「ウチンク」でランチを食べた。
ごはんのうえにサラダが乗っててその上にハンバーグが乗ってる。
ハンバーグにスプーンをぐさっと入れると中から半熟たまごのおでまし。
まさにぼく好みという感じだった。
それからしばらくドライブして、もうひとつのおすすめカフェ「タコノマクラ」にも行った。
名前からかわいいけど、店もやはりかわいかった。
おしゃかわだった。
店内でネバヤンやハンバートハンバートが流れてるところあたりからもセンスのよさが伺える。
さつまいもプリンとコーヒーをいただいた。
めっちゃおいしかった。
店を出ると、目の前に広がる海に夕日が沈みかけていた。
夕日をみながらギターをぽろぽろ鳴らして暗くなったから小豆島の西の端、土庄町まで車を走らせた。
ここでごはんを食べて寝るだけだ。
「いい一日のおわり」がはじまる。
ぼくはまず無料駐車場に車を停めて近くにあったいい感じの居酒屋の暖簾をくぐった。
お店の人がカウンターに座ってるお客さんに「ごめん、お願い」と言うと、そのお客さんがぼくに英語で「reserved(貸し切りです)」と伝えた。
ぼくは日本人です。
次の店をあたろうとグーグルマップを覗くと、近くに「かまる」というお好み焼き屋さんがあったから電話をかけた。
おばさんが答えてくれた。
いけるっぽかったので行ってみた。
がらがらとドアを開けると鉄板を囲む6人がけくらいのダイニングテーブルがひとつ。
あとは隣にコンパクトなキッチンがあるだけだ。
やさしそうなおじさんとおばさんが迎え入れてくれた。
テーブルには先客がふたり。
この店には相席しか存在しない。
先に来ていたふたりは、ひとりは姫路の人でもうひとりは台湾人だった。
優柔不断なぼくは、いつものように何分もメニューとにらめっこしていた。
するとさらにふたりご来店。
今度はオーストリア人と香港の人の(たぶん)カップル。
なんとまあ国際的。
ぼく以外は英語ペラペラだから、英語で会話が弾んでいた。
ぼくは実力不足のためあまり弾まなかったけど、姫路の人が通訳してくれて輪の中には入ることができた。
悩みに悩み、おすすめの豚玉+もち+チーズを注文した。
お好み焼きをやきやきしながらおしゃべりを楽しんだ。
オーストリアの人がスーパーで「ミズクダサイ」というと味噌を渡されたという話がおもしろかった。
1時間くらいかけてゆっくり食べたら、おじさんとおばさんがデザートをサービスしてくれた。
お好み焼きおいしかった。
いい出会いだった。
よかった~、このお店に来て!
ひとりで旅してるとこうやってコミュニケーションとれる時間がすごくうれしく感じる。
いい一日の終わりだった。
その日の夜は、海辺の駐車場に車を停めてルーフテントでねた。
次の日は目が覚めるとちょうど日の出の時間帯だったから、エンジェルロードから朝日を拝んだ。
それから車のとこに戻ってギターを弾いていたら、車中泊で旅をしているというおじさんが来た。
いろんな話をしているうちに仲よくなった。
1時間くらい海辺で話をしたり朝ご飯食べたりギター弾いたりしていた。
すると今度は船乗りのおじさんがぼくらのもとへやって来た。
「旅をされてるんですか?」とか言いながらおじさんはぼくにひとつ紙切れを渡した。
そこには「クルーズ30分1500円」と書いてあった。
これはおもしろい展開。
車中泊おじさんと顔を見合わせにっこり笑って「いくか!」と言った。
船乗りおじさんはまず、地図を見せながら小豆島の地形について話してくれた。
「あっこにみえるのが高校でな、そのとなりが老人ホームシャインシャイン」
正直どうでもいいような情報も、なんかおじさんには思い出が詰まっているようでよかった。
船乗りおじさんに言われるがままに船に乗り、出港した。
朝の澄んだ空気と冷たい水をかき分けながら船は走った。
おじさんはずーっとマイクを使って見えているものの説明をしてくれた。
人の手が加えられてない自然地形を見ることができた。
ぞうみたいな岩もあった。
遠くに見えるのは小豆島富士。
エンジェルロードから連なる半島をぐるりと回って戻って、港に戻ってきた。
2人のために船を出してガイドして1500円は安い!
いい一日の始まりをありがとう!
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?