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【旅日記】雨の誕生日は森の中の喫茶店で
九州を出発して50日目くらい。
ついに北海道までやってきた。
そして今日はぼくの21回目の誕生日。
ここんとこは車のルーフテントで寝ている毎日。
でも誕生日くらいはあったかい宿に泊まりたい。
そう思ってGoogleマップで宿を探して予約した。
![](https://assets.st-note.com/img/1714998624933-yRM40KgHv1.jpg?width=800)
宿につくと気さくなおじさんが中に入れてくれた。
よるごはんはセコマで買ってきた親子丼。
「帆立の稚貝よかったら食べない?」とおじさん。
GW用にたくさん仕入れてあまったらしい。
食べてみたらめっちゃ美味しかった。
おかわりしてガサッと3杯、20匹は食べた。
夜の11時くらいまでおじさんや宿泊客と話した。
そして日付けが変わる前に寝た。
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次の日起きたらぼくは21になっていた。
実感が湧くにはまだしばらく時間がかかりそうだ。
この日は雨だったからなにしようかなーと考えた。
おじさんは「絶対宗谷岬行くべきや」と言った。
ここまで来たなら雨でも行っとくべきやと。
遠いけど向かうか〜と思い宿を出た。
北に1時間ほど車を走らせると旭川まで来た。
郵便局でお金をおろしてガソリンを入れた。
そしてもう一度考えてみた。
うん、やっぱり雨だから喫茶店でゆっくりしたい。
こうやってよくその時の気分でプランを変更する。
これもひとり旅の醍醐味のひとつである。
Googleマップで「ゆっくりできる」と検索。
街のはずれの森の中に小さな喫茶店をみつけた。
「今から行きます」と電話して向かう。
街を抜け田畑を抜け最後は少し砂利道を進む。
そして森に一歩踏み入れたところに喫茶店はある。
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やわらかくてやさしいおばさんが迎えてくれた。
「あら~若いね!」とおばさん。
「今日21になりした!」とぼく。
誕生日だってことを早めに打ち明けておいた。
お店の中には古民具がめっちゃたくさんあった。
よく見るとひとつひとつ値札がついていた。
しかもどれもこれもどう考えても安い。
お店の奥におじさん(旦那さん)が座っていた。
古民具の数々はこのおじさんが集めたものらしい。
なんだかわくわくする不思議な空間だ。
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おばさんがメニューを渡してくれた。
ぼくはコーヒー(350円)を注文して席についた。
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窓から外を眺めると、むむむ!きつねがいる?!
「いつも遊びに来るのよ」とおばさん。
いじめないからこわがらないらしい。
それから小鳥たちもたくさん遊びに来ていた。
鳥かごの中にパンが入れてあるのだ。
きつねはそのパンを小鳥が落とすのをまっている。
![](https://assets.st-note.com/img/1715030283547-ifJnbfMmo7.jpg?width=800)
おばさんがコーヒーとビスケットを出してくれた。
おばさんとおしゃべりしながらゆっくりした。
このお店は20年くらい前に建てたらしい。
だけどネットに情報が出はじめてからは7年くらい。
それまでは友だちが遊びに来る場所だったらしい。
なんて贅沢なー!
ぼくがいる間にもふたりの常連さんが訪ねてきた。
そのうちひとりのおばさんはパンを持ってきた。
「はいこれ、小鳥ちゃんに」って。
なんていいところなんだろう。
おばさんはコーヒーのあとにお茶を出してくれた。
そしてお茶がなくなったらぶどうジュースを。
ぶどうジュースがなくなったら今度はまたお茶を。
ビスケットを全部食べたらチョコが補充された。
どれもおいしくて幸せな気持ちになった。
「せっかく誕生日なのにこんなところに、、、」
おばさんは少し気が引けたような口調で言う。
「いやいや、こういうとこに来たかったんです!」
「それだったらあそこも好きかも」とおばさん。
友だちがやってる森の中の喫茶店を教えてくれた。
ふむふむ、行ってみよう!
気づけばもうお店に来て3時間くらい経っていた。
ぼくは最後に1600円のオイルランタンを買った。
中国製の水色のけっこう年代物っぽいランタン。
火の明かりを灯すっていいなって思って。
これは300円引きの1300円にしてくれた。
その上コーヒー代はただにしてくれた。
「誕生日だから」って。
「またね、気を付けてね」と見送られ店を出る。
そこから少し峠を登ると和寒町に入る。
ちなみに読み方はwassamu。
冬はちょっと驚くくらいさむくなるんだろう。
和寒に入ってわりとすぐ、ログハウスが現れた。
ここがおばさんの友だちの喫茶店「覚礼」だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1715037208095-GWLcU51kIg.jpg?width=800)
ママさんは7年前まで東京で暮らしていたらしい。
だけど馴染みすぎてて全然そんな感じがしない。
ストーブに薪をくべて、お白湯を出してくれた。
ログハウスは丸太が太くてどっしりとしていた。
20年くらい前にカナダから輸入して建てたらしい。
窓の外にはヤマバトが遊びに来ていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1715037879173-RL8cjCH3eJ.jpg?width=800)
「おなかはすいてる?」とママ。
「さっき魔女来夢さんでお菓子を食べてきました」
「それだけ?そりゃぁ、、、」と何か出してきた。
そして火鉢の上に網を乗せて何かを焼いている。
「おっ、おもちですか?!」
「かぼちゃもち、和寒はかぼちゃが有名なのよ」
ほへーーー。
![](https://assets.st-note.com/img/1715038464109-8ttOqYjHDR.jpg?width=800)
火鉢はあったかかった。
「このあったかいってのがごちそうだったのよ」
昔はよく「火の気がごちそう」って言ったらしい。
「お茶してく?」じゃなくて「あたってく?」って。
なるほどな~、こりゃごちそうや。
ここ道北エリアは道内でも寒さが厳しい地域。
寒いときは−40度くらいまで下がるらしい。
でも冬は1日中ストーブついててあったかいらしい。
家もちゃんと熱が逃げないようにできてるし。
だから意外と今頃が一番肌寒く感じるんだって。
ストーブつけるか迷うくらいの季節がね。
冬は雪国より九州のほうが肌寒く感じる現象だ。
さあ、やけたやけた。
かぼちゃもち、いざ実食!、、、!?
中にかぼちゃペースト!すご!!
かぼちゃ練り込んだもちの中からかぼちゃ。
この辺ではよくやるんだって。
これがいわゆる「おばあちゃんの味」らしい。
こんなんおばあちゃんがつくってくれるんや!
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「こんにちはー!」と常連さんがやってきた。
「はいにんじん」と大量のにんじんがやってきた。
うれしそうなママさん。
田舎の物々交換文化にほっこり。
ママさんがコーヒーも入れてくれた。
ゆっくりここでも2時間くらい過ごした。
帰り際、お支払しようと思ったけどいらないって。
友だちの紹介だから友だち判定なのかも。
わーい!ごちそうさまでした!
そこから車に乗ってオホーツク海めがけて3時間。
海沿いの温泉に入って今日は車中泊。
北海道は寒いな〜と思ったら外は3度。
でも大丈夫、心はぽかぽか。
いい誕生日でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1715045674361-583FnXcFvS.png?width=800)
(追記at翌朝)
今日は早くおきたからモーニングにきた。
トースト単品(450円)を注文。
そしたらサラダとゆでたまごもつけてくれた。
それから昆布茶と昔ながらのお菓子も。
さらに友だちがもってきてくれたという卯の花も。
昆布茶のおかわりもくれた。
もーまったく、あったかいんだから~!
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![](https://assets.st-note.com/img/1715046011435-SX6GN32Rhy.jpg?width=800)
(また追記)
↑これをゆっくり書いてたらお昼が近づいていた。
出よっかなって思ったら「ちょっとまってね」と。
そしたらジャージャー麺ときのこでてきた。
ん?ここおばあちゃん家?
そしてまた誕生日祝いでトーストも無料になった!
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