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【ショートショート】イモムシに餌を与える

(535文字)

今日もせっせとイモムシに餌を与える。
イモムシはかなり巨大で、どれくらいの大きさなのか分からない。
しかし、この広大な空間に、同じようなイモムシが沢山いて、同じように餌を与える人たちも沢山いるので、イモムシの大きさや形が分かる。
イモムシの大きさはバラバラだ。
一際大きなイモムシが二匹、その次がオレたちのイモムシ。
昔は2番目に大きかったらしいが、今は3番目になったという。
与えている餌も何なのかよく分からない。
時々、色や形が変わる。
先輩が言うには、何でも「エライ人」が決めているそうだ。
餌を与えるのは重労働だ。
しかし、これが何のためなのか分からない。
無駄なことをしているようで苦痛に感じることもあるが、先輩たちはただ「考えるな」と言う。
誰もこのイモムシが何なのか、この仕事が何なのか知らない。
かなり遠くで「パン」という破裂音が響いた。
時々、イモムシは急に成長し始める。
すると、労働者たちがもらえる金が増える。
喜んだ彼らはいつも以上にどんどん餌を与える。
そしてある日、急激に大きくなったイモムシは弾けるように破裂するのだ。
そろそろ今日の労働時間が終わる。
明日も同じ1日を繰り返す。
もう何のためになんて考えるのはやめた。
みんなそうなんだろう。
仕組みだけがあって意味なんてないのだ。

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