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オンライン研修の設計ポイント

こんにちは、富山県で人材育成にかかわる仕事をしている平井と申します。

私の所属している会社では、企業研修と学校でのキャリア教育を事業にしております。これらの事業は、キャリアコンサルタントの考えがベースにしており、これまで様々な企業の研修設計や学校での講義をおこなっています。

今回は「オンライン研修」についてお話したいと思います。


・オンライン研修の2つの誤解

■オンライン研修は、実施しても意味がない!?
⇒もちろん、研修効果はあります。

ただし、対面とオンラインでそれぞれのメリットが異なるため、対面のメリット、対面ではできないことを考えて、必要に応じて、使い分けることを心がけましょう。


■オンライン研修とオフライン(対面)研修に違いはない!?
⇒講師と受講者両方経験した立場からいえば、全然違うものだと思います。

オンライン研修は、物理的に一人で受講することが多いため、自然に自分と向き合うことが多い印象です。そのため、講師からの問いに自分でじっくり考える際に、オンライン研修の方が集中できると思います。

一方で、対面研修の場合は、良くも悪くもまわりの影響を受けやすいです。まわりが活発で集中している環境下だと、触発されて自分のモチベーションもどんどん高まります。


・オンラインとオフラインの違い

例えば、すごく威圧感があって、緊張感を醸成できる講師がいたとします。このような講師がオンライン研修で登壇したとしても、対面に比べて雰囲気が伝わりづらいため、受講者の様子を無視して厳しくフィードバックしてしまうと、ほとんど研修の話を聞いてくれなくなります。また、同じ空間にいないことを多いため、他の人が集中して取り組むから自分もやろうといった波及が起こりにくいです。

つまり、オンラインだと運営側の影響を極めて受けにくくなります。

そのため、オンライン研修では、対面では想定されない部分を考えていく必要があります。


・オンライン研修のポイント

オンライン研修の効果を高めるために、3つのポイントをご紹介します。 すべて対面研修でも大事なポイントですが、オンライン研修では、より効果を発揮してくれるので、是非意識してみてください( ´ ▽ ` )ノ

・事前準備
・受講者の関心が向きやすいテーマやワークの設定
・対話


-事前準備-

オンライン研修は、対面研修よりも事前準備が肝になります。

研修の中身に関する準備です。

特に、ポイントとワークの説明にかんしては、誰にでも分かりやすく伝わる文章表現が必要になります。

対面であれば、目の前の受講者の様子をみて補足を入れたり、話をきいてまわることができますが、オンラインの場合はそうはいきません。

更に、対面だと近くの受講者同士で「いま、講師の言ってたことってXXだよね?」と確認し合うことができますが、オンラインの場合はできません。特に、受講者が大勢いる場合は、全体からの質問がしづらいため「結論は何か?」「ワークの場合、いつ迄に何をしてほしいか?」等をとにかく分かりやすく説明する必要があります。

端的に話す練習はもちろんですが、スライドや共有する資料をシンプルなものを用意しましょう。

また、チャットに打ち込む文言の中で、事前に想定できることはPCのメモにあらかじめ用意しておき、すぐにコピペできるように準備しておくことをオススメします。

◼️例(チャットへ打ち込む文言)
【振り返り 個人ワーク(テキストP.○)】
① XXについて、自分のできたこと/できなかったことを書きましょう。
② ①のできなかったことに対して、改善策を考えてみましょう。
時間:XX:XX迄

事前に準備しておけば、進行の負担が軽くなる上に、作り込みができるため端的にまとめておけます。


-受講者の関心がむきやすいテーマの導入-

これは、対面研修でも必要ですが、オンライン研修ではより重要になってきます。画面のむこうで受講している以上、研修効果は受講者自身がいかに主体的に参加してくれるかが鍵になります。

例えば、私がプレゼンテーションの講義を担当した際、自分の好きなもの(アイドルやアーティスト、アニメ・映画等)の魅力を人に紹介してもらうワークを用意しました。

何名かの受講者に発表していただき、その後対話を通して内省をおこない、他の受講者にプレゼンテーションの感想を聞きます。

みなさん、自分の好きなものについて話すので、画面越しからも情熱が伝わってくるプレゼンテーションをしてくれます。「プレゼンテーションは、伝えようとする情熱が大事ですよ!」と講師の口からレクチャーするよりも、重要性が効果的に伝わります。

その後、より相手に伝わりやすい文章構成などをレクチャーし、再構成してもらうことで、受講者の主体性が高い状態でプログラムを進行することができます。


-対話-

もう1つの特徴として、対話があります。

現状のオンラインツールの性質上、同時多発的にコミュニケーションをとるのが難しいと考えています。そのため、良くも悪くも一人ひとりの発言を全員が聴いている状態が生まれやすいです。

受講者には、あらかじめ数名の方に意見をうかがうと話しておき、みんなが画面に集中している状態で、1人の受講者と対話してみてください。

その内容は、受講者にも反映されます。

何を考えたのか?
なぜ、そのように考えたのか?
もっと良くするためには、どうすればいいか?

対話している様子をまわりの受講者がみているので、一受講者に投げた質問や受講者の考えている様子が、まわりに波及していきます。


・オンライン研修の留意点

先ほどは、研修効果を高めるポイントをお伝えしましたが、ここからは研修効果を大きく下げないための留意点を2つご紹介します。

・環境設定
・研修設計

1つ目は、環境設定です。

オンラインは、通信環境の事前テストやオンラインツールの機能を使いこなせること、先方の担当者やサポーターとの事前打ち合わせが必須になります。

カメラ越しの講師の見え方やマイクテスト、研修で使用予定の機能一覧は事前にテストしておきましょう。例えば、Zoomは定期的にアップデートされます。アップデートに応じて機能の仕様やできることが増えるため、研修前に確認しておいた方がベターです。

また、当日は、Webの技術的サポートや進行をアシストしてくれる存在(運営サポート)がいるかどうかも非常に重要です。どうしても都合がつかない場合を除き、なるべく運営サポートをつけましょう。

なお、通信回線に支障が出た場合を想定し、電話回線の用意をしておくと安心です。いざとなった時にこちら側がパニックにならないように、もしもの時の対応策をチェックリストにまとめておきましょう。

◼️例(トラブル対応のチェックリスト)
【受講者のオンラインツールの理解不足】
⇨事前レクチャーや操作方法の資料送付
【受講者の手元に資料がない(届いていない)】
⇨資料データを画面共有できる状態に準備。もしくは、資料のリンクをチャットに貼り付け、ダウンロードできる状態にしておく。
【回線ダウン】
⇨運営サポートと事前に認識共有。予備の電話回線を準備。


2つ目は、研修の設計です。

オンラインでは、対面以上に連続して講師の話を聴きつづけるのが難しいです。そのため「講師の話・個人ワーク・チャットへの書き込み・受講者との対話・グループワーク」を細かく分けて展開していきましょう。

個人ワークも、自分の意見をまとめたり指定したワークへの取り組み、振り返りと複数の属性に分けることで、受講者の集中力低下を防ぎます。

研修の流れとしては、別の記事でもご紹介しましたが「EAT」がオススメです。

-EATの研修デザイン-

これは「経験→気づき→理論」の順番で研修を構成することです。

・E(Experience)経験
・A(Awareness)気づき
・T(Theory)理論

ここでの経験は、ワークやロールプレイング、ケース研究を指します。実際に経験した後、気づきを促して理論を解説することで、受講者が主体的になったり、情報を関連づけて整理することができるため、結果として、理解度や納得度が高まります。


コロナウイルス感染症が収束したとしても、オンライン研修は残っていくと思いますので、是非ポイントをおさえて運営してください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


・参考書籍


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