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武知志英
2024年1月24日 19:17
第八章 同志となった吉田と蒼生中高年のぼやきは、ビジネスの種? 蒼生は母の葬儀から戻り、また仕事の日々が再開した。 その頃、蒼生の勤務先であるインフィニティヴァリューの社長の吉田は、社内に新たなプロジェクトの立ち上げを宣言し、そのメンバーの募集を告げた。 新たなプロジェクトは、医療のビッグデータを扱う新規サービスの開発から顧客の創出、そしてそれらを近い将来吉田の会社の事業の柱の一つに
2024年1月20日 19:42
第七章 末期の水、後悔の念 蒼生は母の死を父から聞いてから急いで実家に戻ったものの、到着したのは母の納棺が終わった後だった。 蒼生は、自身の仕事の引き継ぎや客とのスケジュールの調整などに手間取ってしまった。 なんとか都内の職場から自宅に一旦帰り、礼服や香典などの葬儀の用意を整え、着替えをたずさえ、新幹線に飛び乗って移動したが、実家に着くまでに半日近く時間を要した。 棺の中の母は、テレ
2024年1月20日 19:40
第六章 スマートフォン越しの母子 蒼生が母とスマートフォンのアプリ越しに顔を見ることができたのは、その頃のことだった。 蒼生の父は高齢であることを理由に、携帯電話はガラケーだった。だが、蒼生の母はスマートフォンを使っていて、それにカメラで対面で話せるアプリを入れていた。 蒼生は父に頼んで、母の病室に入った時にスマートフォンのアプリでテレビ通話できるようにしてもらった。 蒼生の父は、自分が
2024年1月20日 19:37
第五章 父と母のひとときの儚い幸せ 退院後、蒼生の母の開口一番は「ああ、やっぱり家はゆっくりできる」だった。 蒼生の父は、自宅で妻と他愛の無いこんな話ができることを心から喜んでいた。 いつものように妻が作るご飯を食べ、妻と一緒に庭に咲くさまざまな花の手入れをし、休みの日には時折遠出をして、年に1回くらい県外に旅行に出掛けて・・・。 そんな日がまた戻ってくると、蒼生の父は信じて疑わなか
2024年1月20日 19:34
第四章 母のリハビリ、父のお見舞い その日から、蒼生の父は毎日、妻が入院している病院にお見舞いに行った。 連日、車で往復130km以上の距離を、妻の着替えや入院に必要な書類などを携え、自分で軽自動車を運転した。愛する妻に会うために、蒼生の父はハンドルを握った。 大雪が降る日は、交通渋滞やノロノロ運転の中、片道2時間以上かかることもあった。それでも蒼生の父は、妻のお見舞いに行った。 何があ
2024年1月20日 19:25
第三章 蒼生の母の病、夫婦の愛 蒼生の両親は、東北の雪深いある地方に住んでいた。 蒼生の母は、膠原病という難病を20年以上患っていた。蒼生の母は、膠原病によって腎臓が痛んで、高血圧になっていた。そのため、血圧を下げる薬と、血液をサラサラにする薬と、膠原病の炎症を抑える薬を服用し続けていた。 主治医の治療のおかげで、治療開始後まもなく血圧は順調に低下した。だが、膠原病による腎臓の炎症だけがい
2024年1月20日 19:17
第二章 日本のIT業界の革命児 吉田 蒼生と吉田の二人の飲み会から、数年ほど時間を遡る。 吉田は、日本のITの世界では名が知られている存在だ。 吉田は日本でのIT業界の先駆者であり、今でも最先端の生成AIや機械学習、ビッグデータの解析プラットフォームの開発、そしてそこに関する新しいサービスの開発にも自ら陣頭指揮を取っている。 テレビやビジネス雑誌にも頻繁に登場し、取材を受け、最新のAI