雨の中で

寒さも少し和らいだ空気のなか
しとしとと柔らかな雨が降り注ぐ

ここ数年、妙に晴れ男になった僕
今年も傘をさして歩いた記憶はほとんどなくて
仕事に向かう道のりを傘をさして歩いているのは今年初めてかも知れない

雨の日用の靴を履いてきたから
しっとりとしたアスファルトを踏みしめながら
歩く足どりは軽くて心地よい

週末に思いつきで
先週に温泉のエキスパートの方に教えてもらった
群馬県にある四万温泉というところに小旅行に出かけてみた
千と千尋の神隠しのモデルになったといわれる古い温泉宿
片道四時間近くかけて道中で予定をたてながら
ゆっくりとした旅の時間を過ごす
湯治で利用されてきた宿の部屋は何十年も前にタイムスリップしたみたい
ほぼ貸しきり状態の温泉に浸かっていると
日頃の雑踏に身を任せて生きている時間がまるで夢の中のように感じる

日常と非日常。現実と非現実。
旅行業界の人たちがマーケティングをするときに話していた言葉をふと思い出した

旅路を終えて東京の雑踏の中にもどってきた時
なんだかいつもの生活の世界に帰ってきたようで
見知らぬ土地を散策してたくさん歩いたせいもあったのか少し安堵した気持ちになった

今朝眠りから覚めて
新しい一日、新しい一週間がはじまることを考えていた

日常も非日常も、現実も非現実も全部繋がっているんだろうな

心の起伏、いろいろな感情、楽しいことや悲しいこと、やる気がでたり落ち込んだり
無理して笑う必要もないし
へんに自分のプライドを守って怒る必要もないし
穏やかな日々を送れることに感謝するだけでいいんだろう。

寒さも少し和らいだ空気のなか
さっきまでしとしと降っていた雨はあがっていた

梅の花が雨に濡れて
今年一番鮮やかに綺麗に見えた。

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