短編: 夢と現実の不安定さ
春の夢。
私が目覚めると笹の茂る中に無造作な形で横たわっていました。
これは夢だと頬に手をやると太い筒のような爪。
立ち上がっても四つん這い。両腕から下を覗き込むとフカフカのしっぽが目に入ります。
リスに化けている……
「ここはどこ?」考える間もなく不穏な獣の鳴き声はけたたましく林を裂き、やがて銃声が轟きます。
「今はまだ猟期なのね」
私は人間であり、これは夢なのだと笹の茂みに座っていると、
「リス鍋は美味いぞ。マンガで見たんだ」男達の声が近くなります。
茂みを割って